はじまり
「うーむ。」
俺はひとまず女物のパンツを前にして唸っていた。
まずは観察からである。
見たところさっき風呂に入る前に見た時と何ら変わりがないように思われた。時間経過で変化する代物ではないらしい。
これが大学の実習であるのならスケッチをし、偉い偉い教授様方に提出をしなければならないところである。しかし、もしかしたらパンツであるかもしれない物体をスケッチをするという行為は変態と呼ぶにふさわしい行為・・・・ではないのか?という恐れから、なんとか理性が逸る手を制止していた。本当はすごくスケッチしたいというのが自分の偽らざる本音であるのは確かというのは認めなければならない。これは少し悔しいところだ。変態の一歩手前である。自分は変態ではないのである。また、変態紳士でもない。
次に俺は実験用に使う透明なゴム手袋を慣れた手つきではめる。ひっくり返すためだ。表と裏で何か違いがある可能性がある。
ゴム手袋をつけないと対象物の組成に大きく影響を与えるかもしれない。これはそれに対する配慮である。本当はピンセットを使って裏返したいところだが、残念ながら我が家にはそんなものはない。俺は恐る恐る手を伸ばし、まずはパンツらしき物体をつかむ。感触は少し男のパンツよりもきめ細かい・・・。気がする。人差し指を縦にすーと動かしてみる。特に感想はない。俺はひっくり返してみた。
しかし、これといった違いはない。男物のパンツもそんなに違いはないからそんなものなのかもしれない。しかし、なんだろう。さっきから全身に駆け巡っている背徳感は。
顔の前まで掲げてみる。蛍光灯の光に照らしてみるが、特段変わった様子はやはりない。少しだけ透けている。といったところだろうか。次に引き延ばしてみる。
こんな調子で俺は調査を進めていった。そして、ネットで調べたりした結果。これは女物のパンツに相違ない。という結論に至ったのである。
「うーむ。」
俺は再び唸った。
これは仕方のないことだ。何しろ目の前に女物のパンツがあるのである。これはどういうことだろうか?いや、まだパンツと決めつけるのは早計・・・。女という生物に慣れていない俺が出した結論だしどうも自信がない。
そこでまだしていないことに気が付いた。俺はうっかりしていたと頭を抱え、その作業を遂行しようと口を開け、ベロを伸ばしかけた。
しかし、その行為は行われなかった。なぜなら
「何しようとしとんじゃわりゃー!!この変態が!」
という女の子の声が聞こえたと思うと、顔面を殴られたような衝撃が走り俺は後ろにのけぞってしまったからだ。




