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第53話「荒野のポンポコリン」


「あ~、お腹ぱんぱん……」


 ナルニアが椅子に保たれていた。彼女だけでなく他の方々も似たようなものだ。


「た、食べ過ぎましたわ」

「私も思わず……」


 チェリナとフーゴ料理長も椅子から動けないでいる。


「わはは! ヒューマンは貧弱じゃの! しばらくぶりに腹いっぱい食ったわ!」


 腹いっぱいとかいいながら酒をパカパカ飲んでいるハッグ。お前はこの家の酒蔵を空にする刺客かなにかなのか?


「俺、戦士……問題、ない」


 いや、明らかにギリギリだろう。お前らハッグ以外は全員お腹ポンポコリンじゃねーか。


「調子に乗りすぎなんだよ、だいたい熱くて食えないんじゃなかったのか?」

「不思議なのですが、一度慣れてしまうと、止まらないのです、あのソースの香りが反則なのです。たこ焼きは悪魔の食べ物です。教会に持って行ったら認定されると思いますよ」

「大袈裟な……」

「おそらくですが、少し上品さが足りない部分が余計に理性を無くす原因なのではないでしょうか。綺麗に皿に盛られて運ばれてくる料理を際限なく食べる方はいません」

「その上で、目の前で料理していく様を見せるというパフォーマンスも食欲を刺激し続ける要因なのではないでしょうか?」


 流石に商会の人間は分析が上手いな。


「なるほどね。俺は単純に美味ければなんでもいいんだがな」

「さすがに貴族には広められませんね」

「それ以前にこのソースも作れません、醤油以上に甘みと深みと塩味が複雑怪奇に絡まり合って、こんなソースはどこにもありません」

「フーゴでも無理ですか?」

「すぐにどうにかなるシロモノではありませんね。材料の想像すらつきません」


 まぁかなり色んなもんが入ってるからなぁ。


「ま、その辺は頑張ってくれ。食べたくなったら実費で作ってやるよ」

「トンカツといいたこ焼きといい、アキラの底がしれんな」


 ハッグの酒を飲むペースがようやく落ちていた。さすがに満足したのだろう。


「私……お兄ちゃんと結婚する……そして毎日美味しいご飯を食べるの……」


 勘弁して欲しい。そもそもこの世界で主夫は許されるのか?


「あと10年してから言ってくれ」

「えええええええ! お兄ちゃんとなら合体してもいい!」

「ど阿呆」


 俺はナルニアの脳天にチョップを落とす。幼女と合体する趣味はない。せめてこっちの紅いねーちゃんくらい育ってから言ってくれ。


「なるほど、アキラ様とチェリナ様が婚姻してしまえば、その技術を全て取り込めるのですね……」


 おい料理長、微妙に不審なセリフを言ってんじゃねぇよ。


「誰とも結婚する予定はねーよ。面倒くさい」

「理由が面倒くさい……ですか?」


 チェリナが目を丸くする。


「ああ、他にあるのか?」


 どういうわけか全員の視線が痛い。


「いえ……人それぞれですから」

「人は結婚したがりだと思っておったわい」

「生き物として、不自然」

「お兄ちゃん……なにかあったの?」

「あったのでしょうね……」

「お前らそんな惨めな奴を見る目を向けるんじゃない!」

「そのまんまだし~」


 マジか!


「ええい! パーティー終了! 帰るぞ!」


 俺は勢い良く立ち上がった。


――――


 帰り際、また招待しますねとチェリナに言われたナルニアは凄く嬉しそうにしていた。


「うわー。なんか夢みたいだよ~。チェリナ様と仲良くなれるなんて」

「わりと近所に住んでるんだから、そういう事もあるだろうよ」


 この国自体が大して広いわけじゃ無い。


「お兄ちゃん全然わかってないね」

「何がだ?」

「ヴェリエーロ商会がどれだけ凄いかって」

「あー、漠然とはわかるぞ」

「わかってないと思うよー? 普通ヴェリエーロ商会と懇意ってだけでこの国じゃ凄い信用があるって思われるのに、チェリナ様と顔見知りだなんて、もう自慢とかのレベルじゃなくて、それだけで宿の格が一つ上に見られるレベルだよ?」

「マジか」

「うん。たぶん何日かしたらヴェリエーロ商会に取り入りたい行商人さんとかが、別の宿からウチの宿に移ってくるんじゃないかな?」

「おいおい、こっちに来たってお前が何がしてやれる訳じゃないだろ」

「チェリナ様の知り合いってだけで十分だよ。ヴェリエーロ商会と繋がりのある宿を使っていますよ! ってだけでアピールになるじゃん」

「そのレベルかよ……ちと想像できねぇ」

「数日でわかると思うよ?」

「実感が湧かないぜ……お?」


 宿に着くと店主がカウンターから飛び出してきた。


「……ウチの娘が、迷惑を掛けなかったか?」


 いつも憮然とした態度でカウンターに座っている店主とは思えない腰の低い態度だった。


「いや、むしろチェリナは可愛がってたぜ?」

「そ、そうか失礼がなかったのなら良い。あんた、凄いんだな……」

「何も凄いことはしてないが……ただ一緒に飯を食っただけだ」

「それが凄いんだが。まあいい。部屋に薪を運んでおいた。使ってくれ」

「そりゃありがとう」


 この時間から一気に気温が下がるんだよな。

 今日はよく眠れそうだ。

 ……神さんよ、たこ焼きは戦争を引き起こす危ない食べ物だった。

 面白いからまたついカッとなって作ってやろう。

 もちろん反省する予定などは無い。


 本日新たにSHOPに増えた商品一覧


【玉ねぎ=37円】

【ピーマン(一袋)=97円】

【ニンジン=53円】

【片栗粉(375g)=157円】

【みりん(600ml)=360円】

【料理酒(1000ml)=265円】

【穀物酢(500ml)=116円】

【とうがらし(1kg)=698円】

【ポン酢(500ml)=700円】

【白菜=486円】

【白ネギ=90円】

【春菊=398円】

【水菜=299円】

【椎茸(6個)=399円】

【エノキ=113円】

【豆腐=74円】

【味噌(750g)=285円】

【わさび(チューブ)=145円】

【昆布だし(顆粒1kg)=1257円】

【かつおだし(顆粒1kg)=1040円】

【天かす=208円】

【紅しょうが=148円】

【鰹節(4.5g×5袋)=190円】

【青のり=331円】

【たこ焼き鉄板=1578円】

【ピック(2本)=540円】

【陶器の水入れ(15リットル)=3800円】


 ピックとたこ焼き鉄板だけは自分で持っておきたかったのでチェリナに精算を頼まず自費で購入した。

 あと箸はいらないようなので回収しておいた。


 残金91万0758円。


 陶器の水入れというのは、おそらく料理を始める時に一度コンテナに仕舞ったから同じものが追加されたようだ。どうも一度コンテナに仕舞うとその商品が購入できるようになるみたいだな。

 寝る前にちょいとハッグに相談を持ちかけてから眠りについた。

 なんか妙に長い1日だった気がするぜ。

 おやすみなさい。


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評価・ブクマ・感想(感想は活動報告にて受付中)お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] とうがらし1キロ!?と思ったんですが調べたらキムチとかに作る人向けに普通に売ってるんですね 関係ないのに他の商品も無意識に買い物気分で値段見てしまいました
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