小さな鼓手
ラパパン・パン、ラパパン・パン、
あらゆる所から響く子供の声。
それはあるお方の誕生を祝う歌、
誰が最初に歌ったのか、それは誰にも分からない………
遠い遠い異国の空の下、
俺は一人で冬を迎える。
周りはとても楽しそうなのに、
此処になじめない俺は、独り。
あちらこちらから打楽器の音が聞こえる。
ラパパン・パン、ラパパン・パン。 と、
それはこの国の子供たちがイブに歌う歌。
聖なる夜を告げるための歌らしい。
ホテルの酒場で独りなれないワインを飲む。
そして家族が恋しいと涙ぐむ………
とんとん、と肩を叩かれた、
ふりむけばそこには小さな子供。
なれない言葉でどうかしたのかと問いかける。
そしたら懐かしい俺の国の言葉で話しかけられた。
思わず目を見開いた俺に気を良くしたのか、
その子供が問いかける。
ラパパン・パン、ラパパン・パン、
今宵はイブ、全ての者に温かさを与える夜。
遠い場所でこの日を迎えるあなたに、
どうか、一曲歌わせていただけませんか?
おどける様に話しかけられ、
思わず口元が笑みを形どる。
憂鬱な気持ちは晴れてはいないが、
一曲くらいならいいかと思った。
ラパパン・パン、ラパパン・パン、
子供は歌う、悲しげに、寂しげに………
孤独で貧しい児共の歌を。
尊いお方に届けるプレゼントが無いと悩むその子の姿を………
ラパパン・パン、ラパパン・パン、
その子は続ける、物憂げに、遠慮しながら。
小さなドラムしか持たないその児の歌を、
一生懸命考えるその子供の姿を。
ラパパン・パン、ラパパン・パン、
子供は歌う、明るく、楽しげに!
素朴なプレゼントを思いついた児供の歌を!
自身が考えた歌を送ることに決めたその子の姿を!
ラパパン・パン、ラパパン・パン!
いつの間にか周りにいる大人たちも歌を歌う。
ラパパン・パン、ラパパン・パン!
ワインを片手に陽気に歌う!
彼らに巻き困れ拙いながらも歌う、
気がつけば共に騒いでいた。
気づくと先ほどまでの悲しみが消え、
同時に子供の姿も消えていた………
それはあるお方の誕生を祝う歌。
あちらこちらで響く子供の声。
それはあるお方の誕生を祝う歌、
一説では天使が歌い始めたらしい………
ラパパン・パン、ラパパン・パン。
軽やかに、嬉しげに響く歌がある。
次は誰の側で聞こえるのだろう?
ラパパン・パン、ラパパン・パン__
メリークリスマス!!
こしゅ【鼓手】とは。意味や解説、類語。つづみや太鼓を打つ人若しくはドラマー
ばーい うぃき先生
観測者 7.2号さんの主催する非リア同盟企画のために投稿しました~(二つ目)
こっちでは毎年イブになると子供たちがクリスマスソングを歌いに家から家へと渡る習慣があるんです
なのでその歌のうちの一つを題材にしてみました~
感想宜しくお願いします(ペコリ)