one 〜第1章〜
バトルロワイヤルへ
出場し、現チャンピオン
であるシデンを倒すと
決めたカイトだが…
10年間無敗記録を持つ
シデンを倒すのは
至難の業だ。
ましてやカイトはまだ
バトラーですらない。
バトラーになるためには
『開呪魂師』と
呼ばれる人間の力が
必要になる。
彼らはその人間に
秘められた力、
『呪魂』を導く
大切な存在なのだ。
ただし、誰にでも
開呪魂師に会う権利が
あるわけでは無い。
『呪魂』それは
その人間の精神から
成り立つものである。
並外れた精神力が
無ければ開呪魂した際、
呪魂に精神を全て
吸い取られてしまい
植物状態に陥る。
そのため、
世界最高機関、通称
『ヴァルザス』により
開呪魂する際
『spirit meter』と
呼ばれるもので
精神力を計測し、
基準に満たない者は
開呪魂を認めない
と定められた。
この基準がかなり
厳しいため、
年間バトラーは
およそ50人程しか
生まれないらしい。
そんなことも知らずに
カイトは開呪魂師の
元へと急いでいた。
「あ!あれかな〜」
小さな寺のような建物の
中で受付をしていた。
「開呪魂しに来た方は
こちらの列に並んで
お待ち下さ〜い」
係員のような人の声。
言われるがまま
列の後ろについた。
今日は運が良いのか
空いていたが、多い
時には100人程の
長蛇の列になるらしい。
「それでは
次の方どうぞ〜」
「よしっ!
やっと俺だぜ」
カイトは高ぶる感情を
抑えながら前へ進んだ。
そこには妙な
機械があった。
「メーターとかあるし…
何か測るのかな?」
「これは
『spirit meter』と
言って精神力を測る
機械なんですよ〜」
「はぁ!? そんなの
聞いてねーぞ!?」
あえて口には
出さなかった。
「それでは今から
計測を始めますんで。
精神力を高めるには
人それぞれなんで
基本自由に動いて
もらって構いません。
ただし、あんまり
激しい動きは
ご遠慮ください。」
「えーマジで!?
どうしようどうしよう
精神力…精神力…
何だそれ!? 考える程
わかんなくなってく…
よしっ ここは一発
言ってやるとするか!」
頭の中で考えた結果、
「俺はぁ〜!!
チャンピオンの〜!
シデンさんを〜!!
倒〜〜〜す!!」
叫ぶことになった。
「な、何だと…!?
こんなのこと…………
あのシデン以来だ!」
メーターが計測不能を
示していた。
「どうぞ、
次へお進み下さい…」
「やったぜ!!何か
よく分かんねーけど
クリアってことだな?」
本当によく分からない
まま奥へ進んだ。
そこには開呪魂師が
立っていた。
「あなたは
精神力の高さの基準を
突破した者。
ましてや計測不能…
開呪魂師としての
腕が鳴るわね…。」
「そこに立って…」
言われた通り
星型の魔法陣の中に
移動した。
「偉大なる創設者
『アリア』よ!!
この者に力を!!!」
魔法陣が光り輝き、
その光がカイトを
包み込んだ。
「な、何だこれ!?」
思わず口にする程の
神々しさだった。
「私の出来ることは
やりました…。後は
あなたが自分の力を
信じ、願えば、あなたの
呪魂はきっと応えて
くれるでしょう…。」
「あ、ありがとう
ございます!!!」
礼を言い、開呪魂師の
元を後にした。
自分の力を
信じ、願うこと。
「俺なら出来る。
俺ならきっと……
俺ならきっと
倒せるはずだ!!!
憧れのシデンさんを!」
そう思って、
拳を振り上げた。
それと同時に、強い風が
吹き上がった。
「ん?」
次は振り下ろしてみた。
下向きに強い風が
吹いたのだった。
「これが俺の力か!」
そう思った時
「『双迅・疾風』
(そうじん・はやて)
それが君の力だ。」
そんな声が
聞こえた気がした。
ついにバトラーに
なったカイト。
呪魂を使いこなす
ために次なる場所
へと向かって行った…