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\M!RaCle G!RL!/  作者: ジェル
第一章 セレスティナ生徒会
19/21

木ノ内 2



倉庫にいた男たちを全て片付けた私たちは、きょろきょろと入り口から顔を出して辺りを見回した。



「異常なし!」


「こっちもだ」



頷き合う私たちの間には、何やら戦友の絆らしきものが芽生え始めていた。



「ちょろかったっすね!」


「そうだな」


「安斎のいうこときいてないですけど、許してくれますかね!」


「……無理だろうな」


「ですよねっ!!!」



てへへーと笑い合う私たち。

いや、嘘を言った。笑っているのは私だけだった。木ノ内は相変わらず無表情だ。やだ冷たい☆


「木ノ内は、無口ですよね」


「…そうか?」


「ほら、それっす。単語で返すじゃないすか」


「まあ、たしかに」


「喋るの苦手ですか、私うるさいですか」


「苦手って言うほどでもないと思うが。…それから、陽埜は賑やかな方がいい」


「うおっ、あざっす。そんなとこで褒めてくるなんて、テクニシャン☆

あ、あっちですかね?」


どーん、とまた煙が上がる。

曲がり角を曲がると、スーツ姿の男と鉢合わせた。っち。

男が叫ぶ前に接近し、ふところに潜り込む。みぞおちに肘を埋め、そのまま顎へ拳を振り上げる。

脳が揺れて後ろへ倒れこんだ男に馬乗りになり、とどめに腹を殴った。

決まった。

ふっ、現役から離れてしばらく立つが、体はなまっちゃいないようだ。

能力使わなくてもできる女、萩原陽埜ですっ。17歳ですっ。彼氏募集中ですっ。

てへぺろー、とポーズを決めていると、木ノ内に置いていかれそうになったので、瞬時に辞めた。




その後、五人くらい倒すと、騒ぎの中心にやってきた。

死屍累々である。何処からか、もくもくと煙が立ち込め、うめき声すらBGM。

中心に立つ三人は、さながらHEROのようであるが、完全にdangerous boyである。




「よくも俺らのシマを荒らしてくれたなあ…。おこだよ!」



「激おこ☆だよー!お仕置き☆だよー!」



「…言っても、もう意識ねぇけど」



シマ!?

シマですって!!

こ、ここ、これ、あれですよね、ヤクザ様言葉ですよね!


ふらりと遠のきかけた意識でよろめくと、後ろで木ノ内が優しく抱きとめてくれた。トゥクン。



「どうした?大丈夫か?」


「やだ、だめ、こんなとこで…っ!」



「あ?」



すいません。ふざけました。

睨まないでください、安斎様。


安斎様…?


げ、ばれた!!



「あっれー?陽埜ちゃんじゃーん!」



追い打ちをかけるんじゃない佐久良!



「え?萩原さん、なんでここに?」


「う、えと…」


「すまない、俺が連れてき」


「俺、待っとけって言ったよなあ…?」



木ノ内の優しさに再びときめきかけた時、悪魔がよろりと向かってきた。



「ごめんなさい、つい、我慢出来なくて…。てへ?」


「てへじゃねえよ!」


「まあまあ、落ち着けって柚生。みんな無事だったんだからいいじゃないか、な?」


「よくないだろ、お前は甘いんだよ紫苑!」


「えー、柚生めっちゃキレてんじゃんー。ぷぷー」


「瑠架てめえ、何笑ってんだ…っ!」


「いや、だから俺のせいで」


「木ノ内、もういいよ、私が悪いんだよ。本当ごめんなさい、体がうずいちゃって、だって、最近何もしてなかったし!」


「陽埜ちゃんてば、なんだかヒワイ!」


「ふざけてんのかよ!」


「柚生もちゃんと言えばいいのに。心配だから待ってれば助けてやったのにってさ」


「はっ!?ばっ、紫苑!!」


「え?」


「あれれー?」


「柚生、耳赤いぞ」


「ちっ、くそ!」


「照れ屋さん☆だねー!」


「………消すぞ」



「「「「ごめんなさい」」」」





しょんぼりと肩を落とすふりをしながら、私と木ノ内はうつむいてほくそ笑んだ。

楽しそうな山吹と、舌打ちしてる安斎と、スキップをしている佐久良を追う。



「やってらんねえっ」


嫌そうにつぶやく安斎の耳は、まだ赤かった。

まじかこいつ。わかりやすっ!!



「…ちょろかったな」


木ノ内が、私に囁いた。

私はうむ、と神妙にうなづいた。



「終わり良ければすべて良し、ですね!」



木ノ内は、そういう話だったっけ、と言ったけど、無視した。






なんだか、懐かしい風が吹いたような気がして、私は振り向く。


————そうか。

なんだか、似ているんだな。



なんて、らしくもなく感慨深く思って、

デンジャラスパーソンのあとを追った。








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