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第四話 行動開始

・・・・・・・・・・・・


『407部隊が南北から潜入しました』

「さすがはフラッシュ、仕事が速いな」


空港から1キロほど離れた区画。15階建てのビルの屋上にヘリに乗っていたレイ以下4名が終結している。


「シャッターが下ろされていてロビーの状況は肉眼では確認できませんが……」

「マックはグッドタイミングで俺をヘリ部隊に出向させたようだ」

「ですね」


レイがにやりと笑う。

現在、レイはうつ伏せになって狙撃銃の照準器を覗き込んでいる。

常人が見れば、スコープ内に見えるのはシャッターの閉まったロビーの建屋だ。

だが、レイは常人ではない。視覚用カメラに装備されている熱源を視覚化して見ることができる赤外線センサーのおかげで、薄い壁ならその奥の人間を確認することができる。そして今レイはそれを行っている。


「……人質は、20名だな。監視が、……4人。うろうろしているのが5人。まだいるな」

「随分と落ち着いているな、連中は。都市が屈すると高を括っているのか?」

「分からんが、何かあるな。人質を救出する段階に入ったらこちらも動こう。それまでは連中の監視に徹する。俺たちがこんなことしていることは都市警察も知らんしな」


そう、レイたちは仲間を掩護するために勝手に行動している。ヘリは所定の場所に駐機しておいたが、その後は警察と合流せずにこのビルの屋上を勝手に占拠しているのだ。レイが狙撃銃を持ち、1人が双眼鏡で空港周辺の動きを監視、残りの2人がレイたちを掩護している。


どうしてそんなことをしているかと言うと、まずは機密保持。

旅団の情報はむやみに外に出して良いものではない。レイが持っている狙撃銃も既製品を大幅改良したオーダーメイドの代物で、まず人間には扱えない威力を持つ。知れば誰もが欲しがる1級品だ。

旅団は技術提供はしていないから、何を言われようとも公表するつもりはないのだが、そうしていると技術を独占していると批判を受けることになる。

だから、ならば最初からそんなものがあると分からなければいいのだ。


主にこれが主要な理由となるが、他にもある。機密保持に関連するが、相手側の信頼度である。都市警察や都市政府がどうも胡散臭い、裏でどこかと繋がっているような都市もある。無駄な戦闘を避けるためにも情報は簡単には表に出さない。


「さあて、フラッシュ、お手並み拝見と行こうじゃないか」












ダクトを通じてイーグルチームの全員が狭い倉庫のような場所に集まった。そこで着々と準備を進める。


『こちらタイガー。電気室を制圧、これより爆弾をセットします』


無線からタイガーチームのリーダーが言ってきた。

爆弾と言っても、ドカンと吹き飛ばすわけではない。ロビーの配電盤を破壊するために少量使うだけだ。豪快に吹き飛ばすだけが醍醐味ではない。


「了解、ではこちらもロビーへ向かう。着いたら知らせろ、オーバー」

『了解』


フラッシュは小銃を担いで扉の取っ手に手をかける。そして、固まる。

即座に耳を地面につける。


「1人、偵察だな」


足音がわずかに聞こえてきたのだ。一定の速度、ゆっくりとした感じから、まだこちらに気が付いていないと判断する。時々扉を開ける音が響くことから1部屋ずつ調べているようだ。フラッシュたちがいる倉庫にも徐々に近づいてくる。


フラッシュが素早く手信号で物陰に隠れるよう指示する。そしてフラッシュは扉の横に身を潜める。

ホルダーから刃渡り20数センチのサバイバルナイフを取り出す。サバイバルナイフというのは用途が幅広く使いやすいことで有名だ。


近づいてきた足音が倉庫の扉の前で止まる。

取っ手を持つ音が聞こえ、取っ手が動いて扉が外に向かって動いた。

扉を開けた相手が室内を覗こうと顔を突き出した瞬間、フラッシュの手が思い切り下から振られ、犯人の首を音もなく切り裂く。

断末魔も残さず犯人の気管、頸動脈、背骨までもがフラッシュによってものの見事に切られて、男が血をまき散らしながら支えを失ったように前に突っ伏した。

爆発的な瞬発力で振られたフラッシュのナイフは背骨をも切ったため、倒れた犯人は倒れた衝撃で首があらぬ方向に曲がっている。


フラッシュはナイフを拭くと、ホルダーに戻し、男の所持品を調べ始めた。

そして、驚いた。


「一昔前の軍隊みたいだな」

「1世代前の正式銃じゃないですか、それ」


覆面をしていた犯人は防弾チョッキを着込み、軍用銃で武装していた。裏ではあまり出回らない物だ。


「無線も持っている。随分と手が込んでますな」


犯人の腰に無線があった。即座にそれを抜き、仲間に渡す。無線の相手が呼びかけてきたときに、時間稼ぎをするためだ。無線越しなら声も多少ごまかせる。


「よし、こいつは倉庫の奥に隠しておこう。とにかくロビーへ向かうぞ」

「「「了解」」」



男を隠して、フラッシュは扉を慎重に開けて、通路を見渡す。幸い今のところ犯人の気配はない。ロビーを集中的に守っているのかもしれない。

天井から下がっている搭乗ロビーと書かれた案内を確認して、その方向に進む。

ロビーへと通ずる通路は防火扉が下ろされている。そこでローグを呼んで気づかれないように扉の一部分をバーナーで焼き切るよう指示する。

すぐさまローグが小型バーナーを取り出して点火、炎を調整して青白い炎にすると、扉の端にバーナーを当てる。

その間も、全員で背後を警戒している。長い通路はどこから犯人が現れるか、という不安を起こす。


「行けます」


ローグが短くそう言うと、そっと焼き切った防火扉の鉄板を持ち上げる。1メートル四方の穴が防火扉に開き、ローグがその先を確認して頷く。


そそくさと穴をくぐって先へ進み、ロビーまであと30メートル弱といったところまで近づいた。近くの部屋に忍び込み、そこでタイガーチームの到着を待つ。


『こちらタイガー、いつでも行けます』

「よし、南から俺たちが出る。出て1秒後に配電盤爆破、人質を救出せよ」

『了解』


全員に暗視ゴーグルの装着を指示、フラッシュも片メガネを伸ばしたような暗視ゴーグルを装備する。

ロビーはシャッターが閉められている。電気が切れれば真っ暗闇となる。


「よし、今だ!」


バンッと勢いよく扉を開き、ロビーからも見える位置まで走る。そして、人質から離れた場所にいる犯人を確認、即座に発砲する。当たらなくてもいいが、注意を引き付けるには必要だった。

瞬間、すべての犯人の視線がフラッシュたちに向けられる。

そして、次の瞬間配電盤が爆破されてロビーの電気が落ちる。真っ暗闇の中で犯人たちの怒号が響き渡る。犯人たちはフラッシュたちがいたであろう方向に銃を乱射するが、もちろんすでにフラッシュたちはいない。ロビーの西に移動する。

そしてほどなくタイガーチームが突入。

こちらは発砲することなく無音で人質たちのいる場所を目指し、手近な犯人を後ろから不意打ち、音もなく撃ち殺す。


「殺せ! 人質を殺せ!」


犯人の1人がそう叫んでいるが、あいにく人質の近くに犯人の仲間はもういない。その間もイーグルチームが人質が射線に入らない程度に犯人を攻撃している。適当に撃っている犯人は完全にワンサイドゲームになっていることに気が付いていない。


フラッシュはロビーのど真ん中で叫んでいる男に照準を合わせる。妙に勘が良いのか、男はフラッシュがイーグルチームの位置めがけて銃を撃ってくる。

照準器を覗き込み、狙いを定めた瞬間、男がこちらを見た。そしてにやりと笑う。その手に丸い物体が握られている。


「やばい! 全員ゴーグル外せ!」


どちらが速かったか分からない。言い終わるとほぼ同時に男をまばゆい光が包み込む。そして暗視ゴーグルの視界が真っ白になる。


「ぐっ、フラッシュバンか!」


閃光弾と言ってもいい。強烈な光が発生し、フラッシュは片目の視力がゼロ近くなってしまった。暗視ゴーグルで光を倍増していたことが仇となった。そして慌ててゴーグルを逆にして見ると、男がいなくなっていた。

そして次の瞬間、空を切る鋭い音が背後から聞こえた。

反射的に屈むと、視界に背後からナイフを持った腕が現れた。銃を捨ててその手を両手で掴むと肩を使って腕を思いっきり曲げる。


ゴキッというくぐもった音がして腕が270度ほどまで曲がる。それにフラッシュが違和感を覚える。


(この感触は……)


そのまま腕を掴んで背負い投げを食らわせ、犯人を放り投げる。だが、犯人は悲鳴すら上げない。


「機械人か……」


見れば男は暗視ゴーグルすらつけていない。この暗闇でフラッシュの位置を正確に把握しており、腕を折られても痛がりすらしない。どう考えても人間ではない。


だが、機械人なら問題ないだろう。

フラッシュは呟くと銃を拾って発砲する。セミオートで機械人の足を狙い撃つ。


パンッパンッという乾いた音が連続するが、機械人の足に当たらない。暗視ゴーグルを装備しているとはいえ、視界が悪いのはそのままだ。なかなか当たらない。

機械人が距離を取って脱兎のごとく逃げ出そうとする。そうはさせじとフルオートに切り替えて撃つが背中に当たっても火花が散るだけ。


「タイガー! そっちに行ったぞ!」


機械人は北の出口を目指していた。人質救出のために軽装だったタイガーチームでは奴を止められない。

気が付いたタイガーチームが発砲するが、それに意を介さず機械人は迫る。そして隊員の1人に飛び掛かった。そして勢いよく腕を振るおうと、


バガンッ!!


できなかった。

機械人が何かに押されたかのようにくの字に曲がり、真横に吹き飛ばされる。


『バースト』


無線からレイの声が響いた。


「助かったよ、レイ」

『なあに、お安い御用だ。俺たち機械人は小銃じゃ死なんからな』

「っと、まだいるか」


隊員のではない発砲音が響き、そちらに体を向けると、犯人が上半身を吹き飛ばされるのが目に飛び込んできた。狙撃銃としては威力が大きすぎる。すぐさまフラッシュはレイの銃の種類に見当が付いた。


対物ライフルなのだ。レイが使ったのは。放たれた弾丸は成形炸薬弾。対象に当たった瞬間メタルジェットを発生させて装甲との接触面が超高圧状態に晒され、液体金属状態になる一瞬の間にジェットが侵徹、協力な貫徹力を生み出す。

これは本来装甲車などを攻撃するためのもの。人間が食らえば、ご覧の通り。

胴体が生き別れ、レベルではなく、胴体を粉砕する。


『反応が遅い』

「オーバーキルだぞ」


シャッターに2つの穴が開いており、外の日差しが細く差し込んでいる。


「人質を確保、犯人グループは制圧した」

『了解。こちらでも確認した』


「任務完了だ」



感想お待ちしております。


もう少し戦闘中の台詞を増やしたいな……

「うおおおおお!」

とか

「でりゃあああ!」

とか……


ガンアクションじゃそういうのやりづらいけれど。

だらだら文が続くより良いんでしょうか?

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