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第三十九話 レールガン



別にコインを弾いたりなんて一切、合切、無慈悲に、パーペキなまでに、出てきませんのであしからず……





え、聞いてない?


そんなことこそ聞いてませんよ?








道男「さっさと始めろおおおおお!!!」





げぼおおおおおおおっ!?





つ、ついに地の文にまで、……そして前書きという安息の地まで……ガクッ



「くくく、愚かな人間どもが、足掻きに来たか……」

「ボス、敵艦に対して『ジャッカル改』が攻撃を開始、1機を残して撃破されました」


ドームを見渡せる観客席の最上部、そこの椅子に腰かけながら、マガスは着々と発射準備が整っていく核弾頭の発射機を眺めていた。


遠くから時折爆発音が振動を引き連れてやって来るが、まだ遠い。


「やはり、な。奴らも馬鹿じゃない、1度戦った相手にそう易々やすやすと負けるわけはなかったか」

「敵はヘリによる浸透、東西から戦車隊、南から艦を突撃させてやってくるようです。東西の『ジャッカル改』と戦車はともかくとして、南門は突破される恐れがあります」


背後にいるのは、『デルジャナ』のAIと接続されている機械人だ。彼がAIの言葉を代弁している。その言葉に耳を傾けながら、マガスは核弾頭をしみじみと眺め、口元には若干の笑みをたたえていた。


「まあ、発射の時間までもってくれれば構わん。私たちがやるはずだった仕事を彼らが代わりにやってくれるのだ、彼らには感謝せんとな、くくく」


反乱軍には、数体の機械人を潜り込ませている。指揮官であるCM-09だけでなく、一般兵も数名機械人に置き換わっている。反乱軍の奴らは気づかないだろうが、戦っている本人、旅団の人間なら気が付くことはあるだろう。


「都市内に浸透した敵部隊の行方はどうなっている?」


唯一の懸案は、対空火器の雨の中を突っ切り、落下傘降下した命知らずな敵だ。拠点防衛に徹しているマガスの兵力は、都市内を遊弋ゆうよくしている敵に対しては不利な立場にある。反乱軍の部隊が都市全体に万遍まんべんなく配置されているとはいえ、1つずつの部隊の規模が小さくなってしまっているという事もあり、浸透した敵を撃破できるか微妙なところだ。


確認された降下戦力は、18名ほど。うち1人は降下中に殺されたようだが、あとの17名は滞りなくビルの合間へと消えた。その後、1度反乱軍の警戒網に1人が引っかかったようなのだが、装甲車1台、歩兵10名程度の戦力では敵をその場に押しとどめる事すらできず、交信と絶った。

その部隊には、マガスが送り込んだ機械人もいて、彼から独自のルートで情報をマガスに上げてきていたのだが、それも絶たれたため、部隊が全滅したことは言わなくても分かる。だが、彼の最後の交信で、敵がドームを目指して着々と進んでいることだけは分かった。ドーム周辺は『ジャッカル改』が固めているが、戦況に応じては『ジャッカル改』を南門に差し向けなければならない可能性もある。そうなれば、マガスに残される手段は限られる。


「現在、敵は1つに固まって真っ直ぐドームここを目指しています。『ジャッカル改』2体を個別操作スタンドアロンに切り替え、偵察を行っています。……、西門で戦闘開始を確認しました」


今までとは違い、遥かに近い場所で、発砲音が響き渡った。


「敵勢力を撃滅しろ。1人も通すな」

「了解」

「それから、『グラディオン』の出力を最大に設定しろ。あの邪魔なふねを巻き込め」

「それではドーム内にも少なからず影響がでますが?」

「対電磁波ネットで核弾頭と発射機は覆われているのだ、問題なかろう。それと『ドーントレス』に燃料を入れておけ」


マガスがドーム内にいる1体の『ジャッカル改』に目を向けた。核弾頭の隣に静かに佇むそれは、本来の『ジャッカル改』の大きさではなかった。高さにして2倍、足元にいる機械人が虫のように小さく見えるほどのそれは、背中に巨大なミサイル発射筒のようなものを備え、腕には巨大な大剣を握り、もう片手は銃を内蔵している。


「やはり、移動式に限るな、こういうのは」


マガスの口元が一際吊り上ったのを見た者は、誰もいなかった。















ルートたちは、広い通りの端を腰を曲げて静かに移動していた。周囲の気配に意識を集中させ、些細な音にも敏感に反応し、目指すドームへと着々に近づいていた。


とはいえ、どこに敵がいるか分からない状況では、無闇に急ぐこともままならない。先ほども反乱軍の部隊に鉢合わせしてしまった。どうもマガスは都市内の遊弋部隊には反乱軍を使用しているようで、数は多いがそれを広く薄くばしたために、1つずつの戦力が小さくなってしまっている。


「あとどれくらいかな」


背後からフラッシュが聞いてくる。

ルートは視線は片目だけのバイザーに映し出された都市内部の地図を時々確認しながら進んではいるが、性能は決して良い物ではなく、地図の拡大、縮小ができない。そのため、バイザーの中に映っていないと目的地までの距離も分からないのだ。作戦前に持ってきたあの地図を広げて、周りの景色と地図を見比べながら、ルートは地図を指差した。


「俺たちはここだ。あと、5キロといったところか」

「そろそろ戦車隊が突入する頃だ」


レイが近寄ってきて腕時計を指差した。見れば、各部隊の突入予定時刻に差し掛かろうとしていた。南からは依然として爆音が響いているが、東西からはまだ聞こえてきていなかった。

そこに、無数の発砲音が響き渡り、振動が地面を揺らしながらルートたちの周囲の窓ガラスを砕いた。


「始まったな」


明らかに近い場所での戦車砲の発砲の音、そこに断続的な乾いた破裂音がかぶせられ、爆発音が不規則に大地を揺るがす。


「こちらも、さっさと進まないとっ……全員伏せろ!!」


レイが不意に通りの反対側のビルを凝視して、大声を発した。瞬時に全員が頭を下げてそちらに銃を向けると、轟音と共にビルの壁が破砕されて巨大な影が通りに姿を現した。そこにはルートたちが以前見たものとは違い、コックピットが無く、代わりにそこでAIが不気味に赤く光っている、巨人が立っていた。


「散開! レイ、無駄弾撃つなよ!」


脱兎の如くルートが巨人、『ジャッカル改』を回り込むように走り出し、フラッシュ、カンナ、ラーキン、フィリップがそれに続く。同時に逆方向をヴィクター隊が移動して、『ジャッカル改』の攻撃を誘う。


その間に、レイがレールガンを撃つ用意を開始する。手に持っていた小銃を傍にいたエレナ隊の男に渡すと、レールガンを手に取り、その給電コードを腕に差し込む。ふくらはぎのストッパーが展開されて、同時に腰から背中にかけて取り付けられていた大型ストッパーが地面目掛けて振り下ろされ、コンクリートの道路に少しだけめり込む。そしてレイはそれに体重を預け、レールガンに充電を開始する。


「ヴィクター、足を狙え!」


ルートたちはレイが撃つまでは足止めに徹する。グレネードで『ジャッカル改』の動きを鈍らせ、間髪入れずにラーキンとフィリップがロケット弾を放ち足に攻撃を集中させる。金属が軋む音と共に黒煙の中から姿を現した『ジャッカル改』が両手の銃で左右のヴィクター隊とルートたちを同時に銃撃する。


「器用なまねを!!」


人間なら、狙ってもできないような事を、AIは簡単に成し遂げてしまう。腕に装備された照準用のカメラが敵を狙うと、『ジャッカル改』は同時に2方向への攻撃を行っているのだ。足元に無数の穴が次々と開き、ルートたちは『ジャッカル改』の背後に回り込もうとする。背後に若干見えている関節の駆動系を狙ってフラッシュがグレネードを発車し、ルートも『ジャッカル改』が手に持つ銃を狙ってグレネードを放つ。


銃に命中すると、何かが詰まったようなくぐもった音が響き、左腕に持つ銃が作動を停止した。銃は繊細な物で、それは大きくなり、装甲が厚くなっても変わることはない。グレネードの直撃を受けて強烈な爆風と振動を受けた銃は銃身がひしゃげ空の薬莢を吐き出すのを止めた。


だが、『ジャッカル改』はその程度では攻撃の手を緩める気は無かった。

背中に装着されていた3メートルはあろう鋼鉄の剣を銃を捨てて左手で握ると、ヴィクター隊に銃を撃ちながらこちらに振り下ろしてきた。


「んな馬鹿な!!」

「避けろ、フラッシュ!!」


片手で軽々と巨大な剣を振るう『ジャッカル改』に一瞬気を取られたフラッシュが動きを止めた。それに気づいたルートは大声を上げながらフラッシュを突き飛ばして、自分もその場から飛び退く。


そこに猛烈な勢いで大剣が振り下ろされ、コンクリートの道路をいとも簡単に切り裂いて無数の破片を飛び散らせる。濛々とした土煙に視界を塞がれるが、その中に、不気味な赤いAIの光が見えてルートは反射的に頭を下げた。刹那、何かがさっきまでの首の高さを通過する音が聞こえ、振り返ると大剣が横に振りぬかれていた。


「速すぎ、だろうが……」

「ルート、さっさとそこから逃げろ!」


煙の先からヴィクターの怒号が聞こえ、ルートは立ち上がると不気味に光るAIに向けて闇雲に銃を撃ちながら後ずさって距離を取る。

『ジャッカル改』は周囲をルートたちに囲まれているにも関わらず、その全てに対してほぼ同時に攻撃をかけるという離れ業をしていた。剣を振るう動作の中で反対の腕に持つ銃で反対側にいるヴィクターたち目掛けて流れるような動作で撃ち続け、決して攻撃の手を休めることなく、ルートたちを追い立てる。


「レイ、さっさと撃て!」

「もう少しだ!!」


『ジャッカル改』の猛攻に耐えながら、レールガンを構えて狙いを定めるレイにルートが怒鳴る。だが、レールガンの充電には時間がかかる。そうすぐに撃てるような代物ではないのだ。おまけに試作機であるために取り回しがこの上なく悪い。激しく動き回る『ジャッカル改』に狙いを定めるのは容易なことではない。


ルートが再び振るわれた大剣を避けると、『ジャッカル改』から銃撃の音が止んだ。すぐに見上げると右手の銃から弾が放たれていなかった。銃身下の巨大なマガジンを片手で器用に外すと、腕が人間なら絶対にあり得ない方向にぐるりと回転して背中の予備マガジンを取り出そうとする。それに気づいたルートがヴィクターと目を合わせて小さく頷いた。即座にヴィクターが頷きを返し、ヴィクター隊がそれを理解して背中のマガジン目掛けて攻撃を開始する。ルートたちもマガジンの巨大な箱を撃つと、すぐにマガジンの薄い装甲を貫通して内部の弾丸に命中、炸薬に引火してマガジン内でも銃弾が飛び跳ね始めた。すぐさまマガジンの装甲を突き破って四方八方に『ジャッカル改』の銃弾が飛び散り、そこかしこに穴を開けていく。


それは、マガジンを背負っていた『ジャッカル改』も例外ではなかった。至近距離から大口径の銃弾を無数に受けて動きが鈍り、呻きのような金属の軋みが響き渡る。


「レイ、撃て!」

「了、解!!」


レイを囲むように守っていたエレナ隊の面々が横にずれ、レイの射線上に入らないように避ける。レールガンを持つレイがゆっくりとその銃口を『ジャッカル改』に狙いを定めると、間髪入れずに引き金を引いた。


銃身が電気を帯び、青白い放電に乗って強烈な光が発せられる。そしてその光に導かれるように銃弾が放たれ、タイムラグなく『ジャッカル改』のAIを貫通、背中から突き抜けて背後のビルの壁に突き刺さった。反動でストッパーをしていたにも関わらずレイの身体がビルの壁まで押され、レールガンが電熱を冷ます冷却水に触れて蒸気を発生させる。


「バースト」


レイがそう呟き、レールガンを下す。

ルートが『ジャッカル改』に目を向けると、先ほどまで不気味に光っていたAIは鈍く点滅しており、振り上げられた剣はその場で静止している。ルートはそれに向けて銃を撃つと、剣が手から零れ落ちて地面に叩き付けられる。そして支えを失ったかのように『ジャッカル改』がぐらりと揺れ、ゆっくりと仰向けに倒れて轟然とコンクリートを砕く。


「ルート、無事か?」


ストッパーを格納してレイが歩み寄ってくる。ヴィクターやエレナたちが『ジャッカル改』を取り囲んで完全に停止したかを確認している。


「なんとか、な。こんなのがあと何体いるんだか……」

「あと29体以下にしてもらいたいな」


レールガンの空薬莢を廃棄して、新しい弾を込める。自動装填オートマチックではないため、マガジンの上にあるスライドを毎回引いて弾を装填しなければならない。


「ドームにたどり着けば良いんだ。ドーム内で派手に撃てば核弾頭に当たるからな」

「確かにな。急がなくてはな」

「ああ」


火花を散らす『ジャッカル改』のAIに開いた穴にヴィクターが手榴弾を放り込むと派手な爆発を起こして再起不能なまでにAIを破壊した。


それを確認してルートは全員を呼び集めて先を急いで出発した。






作者「どうもどうも、前書きであばら骨を3本ほど召されてしまった作者です」


道男「目標では6本やろうとしていたルートだ」


作者「ちょっ!?」


道男「お前が突然あんなことを言いだすからいけないんだぞ! 元ネタも知らんくせに何を言い出すんだお前は!!」


作者「で、でも、世間一般にレールガンと言ったらあれを指すって知り合いが言っていたもので……。トラン〇フォーマーでアメリカの駆逐艦が乗っけてる方とか、メタ〇ギアの奴とか、エース〇ンバットシリーズに出てくる奴とか、私はそっちの軍用的なイメージが強いんですが、知り合いに話題振られてまったく驚かされました……」


道男「だからと言って、元ネタを知らないことをやってコメントを貰ってしまったら、返答に困るだろうが」


作者「そうですね、反省はしてます。という訳で反省タイムは早々に終わらせて、ちょこっと補足をば……」




マガスが眺めていた『ジャッカル改』のデカい奴



作者「大きさは、分かりやすくお教えすると、ガ〇ダムに対する……、ビ〇ザム?」


道男「分かりづらいな……サイコガ〇ダムくらいか?」


作者「もしくはデストロイガ〇ダムくらい? あ、これは少し元ネタに疎いですね……」


道男「種死は中盤すっ飛ばしてたよな、お前」


作者「私は最近のは種で始まり種で終わりましたから。それも漫画から入ってゲームから出たという、ね」


道男「…………ほぼゲームの知識だよな、お前のガ〇ダムネタ」


作者「ほぼ、ですね~。そんなわけで、そのくらいのデカさという設定ですので、あ、でもでもきざな指輪野郎が特攻したり、僕の顔をお食べ的に皆に力を貸す人とか、種が割れてジェノサイドする皆さんとかいないから大丈夫ですよ?」


道男「ちょっとまて、二つ目のはなんだ。さすがに分からんのだが」


作者「『みんなに俺の力を貸すぞ』?」


道男「分からんわ! もう少しまともなたとえを出せ!!」


作者「エ〇さんの『私の命を吸って』って、単なる自殺願望ですかね?」


道男「知るか!! ていうか止めい!!」


作者「はいはい、とまあ、ネタはさておき、ここまで来ておいて未だに終わりが見えない作者ですが、もう少しばかりおつきあいくださいませ。頑張って皆(道男以外)をハッピーエンドに連れていきます!」


道男「ちょっと待てええええいい!!」







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