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第三十五話 激励



余裕ができたので投稿再開……。


土日に余裕が出来るのは当たり前ですが……。





「おう、来たか」


ルートが、フラッシュとレイを連れてマックの執務室に行くと、マックが待ちかねていたようで立ち上がって執務机を回り込んでやって来た。


「で、どうしたんですか、いきなり」

「いやなあ、大事な作戦の前にこんなことを言うのも何なんだが……」


マックは何かを言おうとしているようだが、渋っているのは、恥ずかしいのか分からないが言いあぐねている。ルートとフラッシュはそんないつもの彼らしからぬ行動に首をかしげるが、レイだけは笑いを堪えているのか肩が若干震えている。


「言いたい事があるならさっさと言ってやれ、マック」

「ちょっと待て、こういうのは結構勇気が……、っておい、なんで昔に戻ってるんだ」


レイが普段のように敬語を使わず、ニヤニヤしながらマックに言うと、それまでグズグズしていたマックがレイを睨み返した。しかし、レイはその持ち前の鉄面皮のおかげか、憎たらしげなマックの視線はレイの表層で弾き返される。


「レイが旅団長にタメ口とか、久しぶりだな」


ルートが意外そうな顔を隠そうともせずにレイを見つめる。フラッシュも、普段そういうことにうるさいレイのいわば暴挙のような行動に驚いている。


「こういう時のマックはな、むしろ弄ってやるべきなんだよ」

「レイ、てめえ何勝手な事をぬかしてやがる……」

「あ、旅団長が素に戻った」


うっかり素が出たマックはしまった、という表情をしてレイを睨み付ける。レイが口元を抑えて笑いを堪えていることをワザとらしく見せつけると、マックは今にも飛び掛からん勢いになってしまったため、ルートとフラッシュが慌ててマックの両手にしがみ付いてそれを押しとどめる。


「それで、旅団長、何を、言おうと、してたんですか!」

「ちゃっちゃと言って、レイと出てきますから!」


暴れるマックを2人がかりで来客用のソファに押し込むと、反対側のソファに2人は座り、まっすぐマックを見つめる。レイはあえてマックの背後に回り、そこからルートとフラッシュを眺める位置に立った。


「はあ、まったく、レイ、いつからそういう性格になった?」

「少なくとも、この2人が入団した頃からだと自認しているが」

「……あの発言、随分と広まってたな、お前の仕業か?」

「フェイナだ」


あの発言、ルートとフラッシュは知らないが、マックの中では黒歴史に真っ先に送られたレイの一言。それを思い出してマックに黒い影が差したように目の前の2人は感じ、それが聞いてはいけないことであると、本能的に感じ取った。


「あ~、この年になってこういうのも何なんだが、育ての親として言わせてほしい。絶対に死ぬんじゃないぞ」

「「えっ」」


見ればマックの顔が僅かに赤くなっている。恥ずかしいのを隠すかのように頭をかくと、そっぽを向いてしまう。


「ツンd「言わせるかあ!!」ガフッ」


何かを言おうとしたレイの顎にマックの強烈なアッパーが入り、きれいな放物線を描いて床に落着して、以前ではまず聞かなかっただろうドスンという大きな音がしてレイは倒れ込んだ。


「相変わらず手が速いな、今の俺を浮かすとは……」

「10キロほど重くなったな。総重量はどのくらいだ」


殴ったマックがその手を撫でながらソファの背もたれ越しにレイに振り向く。ガチャガチャと聞きなれない音を響かせながら立ち上がると、レイは袖をめくって人工皮膚で覆われていない腕をマックに見せた。


「95キロだ。レールガン用の配線を取り付け、専用の装置が幾つか増えたし、後は今までの古い武装を新しい物に変えたから若干重量が増えたな」

「おいおい、重すぎるだろう。動けるのか」

「まあ、問題ない。固定砲台役でも引き受けるさ」


顎を摩りながら袖を元に戻すと、レイはソファの横に移動してマックを見下ろす。


「すまんな、ルート、フラッシュ。こいつはお前らを親として心配してるんだ。素直に受けてやってくれ」

「素直も何も、俺はいつもこの調子だ……」


照れくさそうに頭をかくマックはルートたちにはあまりに新鮮で、懐かしいものであった。いつもの「旅団長」としてのマックではなく、1人の男、親としてのマックがそこにいたのだ。それが分かると、ルートとフラッシュはお互いの顔を見合わせ、苦笑した。


「旅団長、いえ、父さん、任せてくれ。俺は、絶対に死なないよ」

「死亡フラ「レイ、少し黙ってようか」、すまん、フラッシュ……」


妙な事を口走ろうとしたレイにフラッシュが釘を刺す。


「ま、言いたいことはそれだけだ。それ以上言うべきことはないだろうからな」

「えっ、それだけですか?」

「まあな。そら、さっさと行け。これ以上ここにいられると俺が恥ずかしくてかなわん」


シッシとルートたちに出ていくよう仕向けるマックの図はあまりにも普段とかけ離れているがために、それを面白そうに見ていたレイは良い物が見れた、と呟いて背後からマックの飛び蹴りを食らったのはまた別のお話。















「そういえば、フェイナには言ったのか?」


執務室から強引に追い出されて、格納庫へ戻ろうとしていた時、ルートはマックに飛び蹴りを食らって仕返しにその足を掴んで放り投げたレイに対してそう言った。


ちなみに、3回転半ほどしてマックは見事に尻から床に叩き付けられ、「またやってしまった……」と呟いていたとかいなかったとか……。


「ああ、フェイナが『ニースローグ』に発つ前に一言かけていったが、まあ、あいつはもう子供じゃないからな、どこかの誰かさんと違って」

「……どういう意味だ、15歳児」

「正直言って、15歳児は悪口になって無い気がするのは僕だけかな? 5歳児とかならまだしも……」


レイにはからかわれ、フラッシュには掩護してもらえず、両サイドを敵に回したルートは大きく肩を落としてため息をついた。


「……それで、親としてのお前からは、俺たちはどう映ってるんだ?」


今まで聞く機会もなかったので、ついでに聞いてみる。レイは今ではルートの部下ではあるが、少し前まではルートを教える立場にいた。ルートの得意なことも、苦手なことも、ちょっとした癖も、ほぼ全てを把握していると言っても過言ではないだろう。


「ふむ、指揮官としては随分と成長したな。やはり未成年でこれだけの事が出来るというのは大したものだ。若干周りへの意識が足りないこともあるが、正直問題ないだろう。少なくともお前がよっぽどのとんちんかんをしない限りは敵はいない。フラッシュは、……もう少し強気になった方がいいと思うぞ」

「やっぱり、そう思う?」


フラッシュががっくりと肩を落とす。

もとより、フラッシュは人を怒鳴りつけたりするのがあまり好きではない。今でこそ命令という形で指示を飛ばせるようになってはいるが、少し前までは年上の旅団の人間に命令するのは気が引けるとか言って部下に敬語を使うということをしていた。マックの聞き及ぶところになって矯正されたようだが、やはり原点である丸い部分はそのまま、どうしてフラッシュが指揮官になれたのか、レイは心底不思議だった。


「……よく面接通ったな」

「頑張ったんだよ、いろいろ……」

「まあ、自分の道を行くのも良いんじゃないか、レイ? 確固たる自己を持つことは大事だと旅団長にも言われた気がする」

「よく覚えているな。お前らが入隊する前の話だぞ、それ」

「そうか?」


ルートは自分でよく覚えていたな、と思いつつも、今自分で言った言葉を自分に照らし合わせてみた。

己が道を行く、それは言うが易し、行うが難し、である。

マックは自らが正しいと思うことならたとえ非難されようとも絶対にやり遂げる。

フラッシュは自らの心に嘘はつかずに、下手に体裁を整えようとはせず、素の自分を貫いている。

レイは自分のすべきことを心得た上で、それを実行するだけの実力が無ければ動かない。要は勝てない戦いは仕掛けない主義だ。ルートの部下になってから随分と変わってきたようだが、やはり絶対に勝てる戦いしかやりたがらないのは確かだ。


では、自分は?


ルートは自問する。


レイに支えられ、マックに憧れて指揮官を目指した。そして、フラッシュとフェイナと共に旅団内でも屈指の猛者に成長した。

ルートの主義は、マックから受け継いだものだとルートは考えている。それは、まず第一に仲間の生存を優先すること。第二に、命の無駄使いはしないことだ。当たり前の事なのだろうが、ルートにとってそれは心がけであり、規則であり、法であった。仲間を消耗した戦いは例え結果的に勝ったとしても、ルートにとっては負けなのだ。


指揮官になってまだ2年と経たないが、やはり戦場に出れば味方にも死者が出る。ルートも何度となく仲間の死に立ち会ってきた。戦場では、死亡がしっかりと確認されないこともある。行方不明になり、遺品も回収できずに終わることも少なくない。むしろ、穏やかに死ねる方が珍しいのだ。

その点で言えば、先代旅団長、ミフネ・マッケインの死に様は穏やかだった。あれだけ戦場に立っていたにも関わらず、彼は老衰で逝去した。医務室のベッドで、部下に看取られながら、逝ったのだ。傭兵をしていてこんな死に方、出来るのかと思わせるくらいのものだった。


死を目の当たりにして、ルートの覚悟も確固たるものになっていた。

絶対にこれ以上の犠牲は出さない。仲間を1人守ることは敵を10人殺すことになる、とはマックの言葉だったか。


「俺は、立派な隊長か、レイ?」


ふと、聞いてみると、レイが意外そうな顔をするが、すぐに笑みを浮かべて首を縦に振った。


「これ以上になく、優秀な隊長だ。上にはマックとミフネしかいない」

「あの2人と比べるなよ……」


育ての親にして、憧れであり、上司であり、尊敬する人であるマック。それはフラッシュにとっても同じことだ。彼を見て、育ってきた彼らにとって、ある意味マックはヒーローなのだ。たとえ人殺しだとしても、理解できるのだ、自分たちを死から救ったが為に、彼自身が死を振り撒いていることに。


「まあ、あの2人は別次元だよ」

「旅団長なんてストレスしかない場所で生きていけてるんだ。やっぱりそうだよな。ところでレイ、さっき言っていた追加した装備についてなんだが、どういうものなんだ?」


レイの腕を指差して聞くと、レイは袖と裾をまくり、換装のために人工皮膚が剥がされ、そのままになっている箇所を指差しながら言った。


「腕には給電用の連結部、体内に電気変換用の装置、脚部に反動を抑えるストッパーが格納されている」

「本気で固定砲台にでもなるつもりか……?」

「撃つ時は、な。それ以外は移動砲台だ」


レイは引き金を引くそぶりをすると、足のストッパーを展開してみせる。

腱に沿って格納されていた鋼鉄製のストッパーが勢いよく展開されると、思い切り床を叩き付けた。そして横から少し細いパーツが出現すると、左右への衝撃に対するストッパーの役目を果たした。


「これだけか? レールガンの衝撃を受けるには少しちゃちじゃないか?」

「腰から背中にかけてにもう2本大型のストッパーがある。ここじゃ見せられないから、実戦でのお披露目だ」

「そいつは楽しみだ」

「カメラ持ってこうか」


ルートとフラッシュがレールガン片手にド派手な砲撃をするレイを想像しながら、3人は格納庫へと続く通路を歩いていった



作者「どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ。作者のハモニカです」


道男「どっかのゾンビ教師みたいに言うな。ルートだ」


作者「俺は挨拶を欠かさない、そんな男だったあ、でしたっけ?」


道男「はいはい、分かったから。それよりもプレゼンはいいのか?」


作者「はい、仕事分担が終わったので、資料調べという名の空き時間が出来たので」


道男「お前も調べろや……」


作者「調べてますよ? ただ、こう言っちゃなんなんですが、私の得意分野なので、正直あとワードさんでまとめるだけなんです」


道男「はあ、そんなことをやっていると、結局〆切ギリギリになるぞ」


作者「〆切? ナニソレ美味しいの?」


道男「いっぺん死んどくか?」


作者「すいまっせんでしたああああ!!」


ズザアアアッ


道男「うお、ジャンピング土下座」


照男「作者さんもルートの恐ろしさが身に染みてるんだよ……」


作者「あれ、照男さん、どうしてここに? 今日は出番ないはず……、ってまさか、あなたルートがいる前で言おうというのですか?!」


照男「そんな命知らずじゃないから! ってルート?! 違うから、あれからまだ1回も言ってないから!」


道男「まだ?」


照男「2度としませんから!!」


作者「え~、と。照男さんが道男さんにジャンピング土下座しているのはおいておくとして、更新が遅れた事をまずはお詫びしておきます。これまでも1日抜けたりとかいろいろ不安定でしたが、プレゼンが終わるまでは忙しいので今までのようにほぼ2日に1回ペースで投稿するのは厳しい状況です。一応ストックがある限り安定した投稿が出来ると思いますので、読んでいただけると嬉しいです」


道男「おい作者、ちゃんとこの物語終われるんだろうな?」


照男「あ、それは気になるね。どうなの? まさかと思うけど、終わりが見えないとかないよね?」


作者「そんなことあるわけないじゃないですか~。なんたって私は始まりと終わりが見えているのに中身が作れない駄作者なんですから」


道男「胸を張るな」


作者「中身を必死に振り絞って30話ほど書いたんですから、一応終わりは見えてます。けれど、いつ終わるかはまだはっきりとはわかりませんね」


照男「最終決戦なんでしょ、これから。なのに?」


作者「まあ、そうなんですけど、正確な話数はちょっと……。『血の盟約』戦以上の長さになっちゃいそうなんで」


道男「まあ、挫折しないだけましだな」


作者「ぐっ、まあ、挫折する気はさらさらないですけど……。実を言うと最終決戦でも新キャラが何人から出てきちゃうんで、台詞回しが大変なんですよね。忘れないようにしないといけないから。いつぞやの誰かさんみたいに」


照男「…………」


道男「あの時の倍か、同時に動かすキャラ」


作者「そんくらいですね。描写されていない部分を視点変えて書くわけなんですが、忘れないように頑張ります」


照男「2度と、僕のような犠牲者は出さないでね……」


作者「おおっと、照男さん立ち直り早かったですね」


照男「それはともかくとして、今書いている続きに出てくる、これって……」


道男「どれどれ、……おい、いくらなんでも酷くないか? 俺を殺す気か?」


作者「大丈夫! 本編では死なせないから!」


道男「俺の頭をグラウンド・ゼロにする気か!!?」


照男「あの人、ルートにとって核並みなんだ……」


作者「まあまあ、死にゃあしませんよ。っと、これ以上はネタバレになっちゃいますね。それではまたそのうちお会いしましょう」


ノシ











道男「だから、こんな、終わり方は嫌だって言ってんだよ!!」


 (`皿´)⊃)З・)


作者「げぼおおお!!??」



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