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第二十話 開戦

なんだかんだで二十話まで来ました。


これからもよろしくお願いします。


登場人物にカンナ、ラーキン、フィリップを少しでありますが載せておきました。



「時間だ」


艦橋内、双眼鏡を手に持ったマックが短く言い放った。腕時計は丁度7時を指している。


「作戦行動を開始する。航空部隊を出撃させ、戦車隊を支援、これより我が旅団は戦闘を開始する!」


艦が揺れる。

巨大な『グランドフリューゲ』が立て続けに起こる振動で人にも分かるくらい揺れだしている。

後部甲板ではカタパルトが立て続けに機体を大空に投げ出し、後部ハッチからは断続的に車両が吐き出される。

その様子をマックは備え付けられたカメラの画像を見つつ、次々に指示を飛ばす。


『全対空兵装使用可能、主砲初弾装填完了、ミサイル諸元入力を開始します』


艦橋下にある戦闘艦橋、戦闘指揮所では薄暗い部屋の中で無数のモニターを睨む隊員が、兵器の使用準備を次々と整えていく。

主砲は装填、照準、発砲、排莢が全てコンピュータ制御されている。戦闘指揮所の主砲管制を行う隊員が諸元を入力して、引き金を引けばその度に発砲される。


『エイジス隊、出撃しました。続いてフランキスカ隊、カタパルトへ移動してください』

『こちら402部隊、全戦車の揚陸を確認した。これより隊形を整え前進を開始する』

『シャイアン隊出動、ホバリングして待機する』


戦闘指揮所では情報がすべて一元化されており、無線も必要な部署にしっかりと送られているが、艦橋では全ての無線が聞こえてくる。

マックが艦橋から下を覗き込むと、戦車と兵員輸送車が整然と並び、その上をヘリが滞空している。見上げれば3機編隊の戦闘機が飛行機雲を引きながら都市へと向かっていく。


『レーダーに感有り、『血の盟約』が航空機を飛ばし始めました。数は、……3、4、まだ増えます!』

「ミサイル諸元、まだか!」

『諸元入力完了、間もなく観測機が都市上空に到着します』


ミサイルも、主砲も、標的となる敵の居場所が分からないと使えない。そのため、都市上空に観測機が常に滞空し、敵の位置情報を逐一伝え続ける必要がある。


『こちらブラックスイーパー、上空に到着した。これより座標を送る』

『エイジス隊、エンゲージ!』

『対空ミサイルだ! ブレイク、ブレイク!!』


都市上空で陸上戦に先んじて戦闘機同士の空戦が開始された。ほぼ同時に放たれたミサイルが白煙を引きながら交錯する。


『旅団長、座標来ました。発砲の許可を』


戦闘艦橋を取り仕切る砲雷長が言ってきた。

一瞬、艦橋の全ての視線がマックに集まり、マックはしばし瞑目する。鼓膜を遠くで起こるミサイルの爆発が僅かに揺らしているのが分かる。


「許可する。艦砲射撃を開始しろ」

『了解』


巨大な主砲がその砲身を持ち上げる。砲塔が若干回転し、微調整が行われる。

そして今まさに撃とうとした時、レーダーが無数の光点を捉えた。ほぼ同時に観測機からの情報が至急で入ってくる。


『レーダーに感っ! ミサイル4基、低空で接近中!!』

『迎撃急げ!』


白煙が真上に上がり、それがぐるりと旋回して地面スレスレを飛び、『グランドフリューゲ』へと一直線に飛んでくる。


『1番迎撃開始!』


砲雷長が叫ぶと同時に艦前部にあるミサイル発射筒からミサイルが発射され、迫りくるミサイルへと飛翔する。

放たれたミサイルは4発、そのうち3発は敵ミサイルが高度を上げる前にその細長い弾頭に命中して大爆発を起こす。だが、撃ち漏らした1発がまっすぐ突っ込んでくる。


「2番迎撃開始!」


マックが叫ぶのと時を同じくして艦側面部に多数搭載されているガトリング砲が火を噴き、無数の曳光弾と共に高度を上げて艦に斜め45度で突っ込もうとする敵ミサイルを襲う。1発の砲弾がミサイルに命中し、艦上空で派手な花火が上がり、マックたち艦橋にいた者たちの目を焼こうとする。


『迎撃成功、反撃を開始します、旅団長』

「1番、2番、主砲発射用意」


マイク越しにマックが言う。同時に艦橋にいた全員が手身近なものにしがみ付く。


「ファイア!!」

『オープンファイア!!』


轟音。


艦内にいるにも関わらず、その音は容赦なく艦橋にいた全員の鼓膜を破らん勢いで襲いかかった。

撃ち出された4発の砲弾が弧を描いて都市へと向かい、消えていく。


「前進!」

「全速前進、目標、廃都市『ブラン・コーリア』!」


旅団の戦いが始まった。














「っ! 聞こえたか!?」


地下駐車場出口付近、上り坂まで戦車を移動させ、瓦礫を破壊する用意を整えて作戦開始の合図を今か今かと待っていると、遠くから遠雷のような低い音が断続的に響いてきたのをルートの耳は聞き逃さなかった。


「ミサイルだな。近い、敵の艦からだ」

「頼むぜ、撃ち落とせよ……」


先ほど、頭上でジェット戦闘機が通過する音が幾つか聞こえ、マックたちが作戦行動を開始したことは分かっていた。後は合図となる主砲の着弾を待つのみ。だが、主砲を撃つためにはおそらく今のミサイル群を撃ち落とさなくてはならない。

暗闇でじっと待機していたルートたちはただミサイルを迎撃し、主砲による宣戦布告が行われることを切に願うだけだった。


再び遠雷の音が響く。ほぼ同時に幾つかが、その少し後にもう1回。

迎撃に成功したと考えたい。


「迎撃に成功したのなら、もうすぐのはず……」


無意識に全員が上を見る。暗闇の向こう側には屋根しかないが、その上を飛んでいくであろう砲弾の音を聞き漏らさんと耳を澄ます。


「……っ! 来るぞ!」


言ったのはレイだ。その瞬間全員が姿勢を低くして衝撃に備える。すぐに爆発音とはまた違う独特の重低音が響き、遠くから風を切る甲高い音が聞こえ始める。


「……5……4……」


発砲からの時間を計算し、レイが秒読みを開始する。戦車内にいる戦車長、砲手にも聞こえるぐらいの声だ。着弾と同時にこの壁を吹き飛ばすのだから、必要不可欠である。


「3……2……1……」

「着弾!!」

「ファイア!!」


発砲。


暗闇に突如太陽が生まれ、目の前の瓦礫に吸い込まれて大爆発を起こす。猛烈な土煙が発生して視界が悪くなるが、外気が入ってくる風を感じ、同時に視界が明るくなるが分かった。


「動け(ムーブ)!」


ルートが大声を上げ、1号車が瓦礫を踏みにじって駐車場の坂を猛然と上り、通りに飛び出す。ルートとレイが戦車の左右を確認し、後続に合図を送る。


「見ろ」


ルートが出てきた全員にある方角を指差して言った。

全員がそちらに目を向けると、黒々とした煙が濛々と上がっている。ミサイルの発射煙でも、主砲の発砲煙でもない、弾着による爆発、炎上による煙がビルの間からでも確認できるほどまで立ち上っている。


「第1波は着弾した。上空に友軍機を確認、作戦が開始されたのを確認した」

「よし、戦車長、敵の戦車をお願いします」

「任せとけ! そっちもしっかりやれ」


戦車長はハッチから顔を出すと短く敬礼した。ルートたちが返礼するのを待たずに戦車が動き始め、3台の戦車は敵を求めるハイエナのように狭い路地へと入っていった。後には6人が残された。


「よし、レイ、道案内を頼む。フィリップ、荷物を頼むぞ」

「おう」


フィリップは重機担当と共に爆破担当でもある。敵艦への潜入で必要になるであろう爆薬を背中に背負ったバッグに詰め込んでいる。

レイの先導で一同は戦車隊が入っていった路地へと入っていく。

途中までは戦車隊の後を追う形で、ほどなくして戦車隊のキャタピラ跡が路地を左折しているのを確認して、ルートたちはその道をまっすぐ進む。

戦車隊は大通りを行く敵を待ち伏せるが、ルートたちは大通りの最深部にいる敵艦を目指している。北門から2本ほどずれて並行している路地を進み、戦車隊に敵が引き付けられている間に敵本拠地を襲う。


6つの影が路地奥へと消えていった。















「状況を報告せよ!」


何時まで経っても姿を現さない離反軍、そしてその代りと言わんばかりに姿を現した傭兵旅団『フリューゲ』に、『血の盟約』旗艦である『ブラッディスカル』内は混乱していた。

情報が錯綜し、怒鳴り声だけが響き渡っていた艦橋に、ボヘミアンの射殺すような鋭い声が響き渡った。

その一言で艦橋内で言葉を発する者は誰一人いなくなり、全員がボヘミアンに顔を向けた。


「副長、敵勢力は」

「はっ、敵は傭兵旅団『フリューゲ』です。現在航空機が発艦、こちらに向かいつつあります」

「迎撃機を上げろ、他は」

「陸上戦力が多数揚陸されています。ビル屋上からの報告では戦車2個小隊6台、兵員輸送車が多数砂丘を盾に接近中、支援のヘリも同伴しています」

「戦車を出せ。ありったけの戦力で敵を叩け。敵艦の動きは」

「現在高高度を敵の航空機と思われる機体が飛行中、おそらく偵察機かと。こちらの座標を送り、艦砲射撃の用意をしていると思われます」

「先手を打て。対艦ミサイルだ」

「りょ、了解!!」


ボヘミアンは一切の躊躇いなく指示を下した。

その自信たっぷりの姿勢はその場にいた全員から不安と恐怖を拭い去り、眼前敵へと立ち向かわせる勇気を与えた。

ボヘミアンは艦内マイクを取り、全艦放送に切り替えた。


「諸君、ボヘミアンだ。待ちに待った時が来た。敵は『フリューゲ』、戦争屋だ。敵は組織化され、機械化された軍隊だ。一切の油断をせず、全力を以て、無差別に、無慈悲に、虐殺するのだ!」


無線からの返事はない。

その代わりに、艦全体を揺るがすほどの歓声が聞こえてくる。


「ボス! 敵艦艦砲をこちらに向けたとの報告が入りました!」

「ミサイル撃て!」

「ファイア!」


『ブラッディスカル』後方、後部主砲背後、つまり艦橋と主砲の間にある発射筒からミサイルが4発発射される。


「迎撃機上がりました!」

「敵戦闘機3機、発進した迎撃機に向かいます!」

「そいつは足止めだ。俺たちの戦闘機を近づかせないための陽動だ!」


敵機が発射したミサイルが離陸して速度の出ない友軍機をとらえる。搭載した兵器に誘爆し、大爆発を起こしながら近くのビルに突っ込み、ビルが倒壊する。


「ミサイル迎撃されました!」

「撃ってくるぞ! 迎撃用意!」


刹那、敵艦が煌めいた。

そしてほどなく4発の砲弾が『ブラッディスカル』の周囲に降り注いだ。1発は艦右舷の地面を穿ち、1発は近くのビルを貫通して大量の瓦礫と共に停まっていたトラック群を巻き込んで爆発した。

残り2発は艦直撃コースを飛来していた。迎撃しようと機関砲が無数に撃ち上げられるが、砲弾相手では分が悪い。ミサイルと違って直線で飛んでこない砲弾を捉えることは例えコンピュータ制御だとしても生半可なことではない。それでも1発を撃ち落としたが、最後の1発が艦前方に着弾した。


着弾と同時にハンマーで殴られたかの衝撃を受け、艦内での火災を知らせるサイレンが響き渡る。


「ダメコン急げ! 撃ち返すぞ!」


ボヘミアンの声が艦橋に響き渡り、全員が呼応したかのように動き出した。


「では諸君、戦争を始めるぞ」


ニタリと、ボヘミアンの口元が吊り上ったのを見た者は誰もいなかった。


作者「はい、どうも作者です」


道男「おい、これはもうやらないんじゃなかったのか。というか前回やらないと言っていたじゃないか」


作者「後書きで何も書くことがない時はこれで行こうかなあ、と思いまして」


道男「はあ、こんな適当な奴がよく小説書けるな」


作者「まあ、いろいろありまして……。それはともかく、二十話突破しました」


道男「頑張ってはいるな」


作者「どうも。まだまだ続きますので、読んでいただけると嬉しい限りでございます」


道男「同感だな。こんな駄作を読んでもらっている時点で奇跡なんだが」


作者「ありがとうございます、ありがとうございます。次回から激しい戦闘が始まります。作者も無い文才を振り絞ってでも頑張りたいと思います」


道男「俺からもよろしく頼む」











道男「それより、これ←はどうにもならないのか?」


作者「無理。お仲間増やすなら聞かないでもない」


道男「なに?」


??「…………え、僕?」






後書きは適当です。とにかく適当です。


気まぐれで書いてますから。


ただ前回と言っていることが違ってしまって申し訳ありません。


本当は書くつもりもなかったのですが……。


ここで止めたら2度とやらないだろうなあと思い、本編にはない笑いを少しは入れられたらなあと思っています。


とはいえ、適当ですのでご了承ください。



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