プロローグ
やってしまった……
この、投稿というボタンを押す瞬間の何とも言えないあの感覚……
慣れるほどに投稿できるか不安だ……
世界は一度滅んだ。
否、世界は滅ぶべくして滅んだのだ。
世界屈指の先進都市『デルジャナ』は、機械人によって武装蜂起された。使役目的で開発された機械人は、圧倒的な数の武力を背景に人類の『浄化』を始めたのだ。
機械人にとって、自らの主たる人類はあまりにも不安定な存在だった。感情に流され、正常な判断を行えない人類は機械人にとって、自らの安全を脅かす存在と映っていた。
『大崩落』
この武装蜂起から派生した全世界を巻き込む人類対機械人の戦争は、後にそう呼ばれる。
『デルジャナ』において行われた、すべての行政軍事システムのハッキング。これにより『デルジャナ』内における機械人の叛乱はその都市から決して漏れることなく、つつがなく行われた。
人口100万を超える『デルジャナ』は一夜にして死者の街となった。
だが、すべてを封殺することはできない。
翌朝には、『デルジャナ』と交流のある数多の都市で、『デルジャナ』との連絡が途絶えたこと、実際に行ってみると、都市全体から黒煙が上がっているという情報が為政者の耳に入った。
ただ事ではない。
全ての為政者の共通認識。
『デルジャナ』で何かがあった。
そこからは速かった。
航空機により都市内部の情勢が明らかになり、すぐさま『デルジャナ』における機械人の武装蜂起が世に知れ渡った。
それが招いたのは、機械人に対する大量殺戮。いや、大量スクラップだ。
世界中の都市には機械人がいる。使役目的から解き放たれた自由な者も、奴隷のように扱われている者も、人類の人口の半分程度の機械人が当時世界にはいた。
『デルジャナ』における機械人の蜂起が公になった直後、まずは自由な社会的地位を得ていた機械人が暴漢に襲われるようになった。それが世界規模で起こったのだ。
それこそ、『デルジャナ』において武装蜂起した最初の機械人達、自らを『始まりの機械人』と名乗った者たちが狙っていた目的の一つであった。
自由な機械人は自らの安住の地を求めるようになる。そこへ、彼らが手を差し伸べるのだ。
人間は酷い奴らだ、平気で自分たちを殺す。ならどうする? 殺される前に、殺すしかない、と。
人類社会から離反した機械人の多くが叛乱軍に加わった。
そして、終焉の矢が放たれた。
矢の長さは23メートル。鏃は4メガトンの威力を持つ。
世界中の主要先進都市に向けて放たれた矢は寸分の狂いなく目標に命中。
これが『大崩落』の狼煙となった。
機械人は一斉に人類の浄化を始めた。
最初の一週間で双方合わせて20億の死傷者を出し、数千の都市が滅んだ。
世界全土に戦火が飛び火するまで、そう時間はかからなかった。
そして、すべては一度『零』に巻き戻された。
『始まり機械人』の計画は完璧だった。動ける機械人を味方につけ、憎しみを糧に新たな憎しみを生み出し、さらなる悲劇を生み出す。人類の浄化計画は成功へ向けて突き進んでいた。
しかし、どんな夜にも終わりは来る。
『始まりの機械人』たちは信じて疑っていなかった。むしろ、考えてもいなかった。
人類と機械人が分かり合う、とは。
始まりは戦争も泥沼化していた頃の、辺境の戦地での些細な出来事だった。
負傷した人間を、助けた機械人がいたのだ。本来、ありえない光景だった。機械人が、敵である人間を助けたのだから。
この知らせはすぐに人類のトップにもたらされる。僻地で、何かが起こりつつある、と。
不毛な戦いを終わらせることができるかもしれない、と。
お互いが共に手を取り合い、歩むことができるかもしれない、と。
その思いが現実となるのは、それから1年後だ。
『始まりの機械人』の思惑に反し、人間との共存を望んだ機械人が数多くいたのだ。彼らは結果的に身内に殺されることとなった。人間に味方した機械人によって。
戦争は終わった。
『始まりの機械人』の野望は潰え、機械人は人類との共存を選んだ。
爪痕は深い。
到底、1世代で回復できるものではない。
それでも、2つの種族は歩み続ける。
平和を求めて。
滅んだ世界は、再び再生しようとしていた。
本編頑張ります