真実を聞いて終わりましょう
「え?家出?」
「そうよ」
「なんで?」
答えるのが辛かったのか、少し沈黙が続いた。
そのあとの第一声が
「うっ…うっ…」
泣いている声だった。
「大丈夫?三月ちゃん」
「ごめんね、本音を言うわ」
(少し長くなりますが、お許し下さい)
「私たち家族、最初はとても仲良かったの。だけどある日、夫婦喧嘩を聞いちゃって…。『お前が三月 三月っていうから、俺が莉音の世話をしなくちゃいけないんだよ!』『仕方無いでしょ!?三月は病弱なのよ!?莉音の世話ばかりしていられないのよ!』って言ってた。そこで私は思いついたの。(私がいなくなれば、すべて終わる?)ってね。それで家出した。ただそれだけよ。
でも、お父さんとお母さんならそんなこと、影でも言わないって信じてたのにな…」
そう言った三月ちゃんの目には、涙が溢れていた。
「泣いても、いいんだよ。強がらなくてもいいんだよ」
「―――え?」
「泣いたって、強がってなくなって、誰も怒らないでしょ?自分も、すっきりするでしょ?」
「・・・」
三月ちゃんは今まで、泣くことをどう思っていたのかな。強がるって事をどう思っていたのかな。
駄目なことだと思っていたのかな。
だとしたら、三月ちゃんが家出する前に、教えてあげれば良かったな。
「泣くことは、駄目なことじゃない。逆に、いいことなんだよ」
って。
まだ続きを書くとすれば、「このあと、三月ちゃんは無事に家に帰りました」