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紅万紫千  作者: ぬい葉
第二章:結束

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第二十六話:再び会う

 ◇――side 変色――



「ハッ! マイプリンセス、俺をいじめてくださいッ!」


「ねぇ、ごめんだけど気持ち悪い」


「はぅッ! なんてもったいないお言葉! ありがとうございます!」


「変色……助けて」


「何この男」


「なんか黒白に纏わりついてる変態」


 千紫万紅のこれからの目標を決めたあの日から早くも数日が経ち、私たちは今日もいつも通り、街の見回りをしていた。だけどそんな時、あのドМ男が私たちの前に現れ、黒白に絡み始めた。

 実を言うと、私たち(紫と黒鉄以外)はもう何度もこの男に会っている。そしていつも会うたびにドМ男は黒白に絡みに行く。

 見ているだけの私も流石にうんざりだよ、私でこれだから当事者である黒白は大丈夫なのだろうか。


 お前なんかに黒白は渡さないんだからね!


 それとそう、あれからちゃっかり黒鉄も私たちと行動していた。もはや黒鉄も千紫万紅の一員でしょ、なんて私は思っているのだけど、彼女はそのつもりではないみたい。

 まだ監視とか言ってるんだよね、ほんと懲りないねぇ。


 ……あれ? なんか周りに変人ばかり集まってない? どうしよ、千紫万紅の未来が不安になってきた、勿論ドМ男は千紫万紅の一員じゃないけど。


「い、いじめればどっか行ってくれる?」


「マイプリンセスのお言葉とあれば」


「そ、そう、じゃあ苦しんで」


「お、お゛おぉッ! き、気持ちいぃ!」


「「「「「……」」」」」


 こいつキモすぎ。みんなドン引きよ?



    ◇



「我々はガイアノ侵略へ来た、これはアール様の命令だ、だから死ね」


「うわッ!……もう、やるしかないんだね」


 まだ極一部だけだけど、段々と異怪物たちは喋れるようになってきている、だから私たちは彼らに対話を試みるんだけど、どうにも上手くいかない。

 王の命令とは言え、みんななんか感情が籠り過ぎじゃない? もしかしてガイアノ侵略って異怪物の総意とかだったりするのかな?


 ……そうなると、苦しいなぁ。


 対話が上手くいかないと毎回戦闘になるんだけど、完全に自我を取り戻した異怪物はこれまでの異怪物とレベルが違うと感じるほど強いんだよね。普通に負けそうになるレベル、多分群れで来られたら紺鼠が居ない限り負ける。流石に紺鼠無しで外出できないとかはやばい。

 だから本当に苦しい。


「そこまでだ、やめろ!」


 だけど今日は違ったみたい。

 どこからか声が聞こえ、私たちはその声の方向へ視線を向ける。すると声の主の姿を視認できた、それは黒い毛と頭に付いた歪な形の角が特徴の、猿っぽい異怪物だった。


「っ、あなたは!」


「……ああ! あの時の猿!」


 先程私が対話を試みていた異怪物は、その猿の異怪物を見ると、驚いた様子でその場に跪いた。そして同じく驚いたのは黒白だった。


 ……黒白の口ぶりと猿の容姿からして、前に黒白が言っていた頭のいい猿の異怪物かな?


 それよりも、異怪物が跪くってことはこの猿、異怪物の中で地位が高い?


「久しいね、白黒の子。あの時はいきなり襲い掛かってしまって申し訳ない。僕も自我がほとんど無かったんだ、どうか謝罪を受け入れてくれないか?」


 ……なんかこの猿、結構紳士的じゃない?


「あ。そ、そうなんだ。うん、気にしてないよ」


「ありがとう」


 黒白も猿に困惑してるみたい。だよね、私が間違ってるわけじゃないよね、前に黒白から聞いた感じだとこの猿は『ジャージャー』言って襲い掛かってきたんだもんね。


「それと、僕はあなたたちと話をしたい。聞いてくれるかい?」


 話? 突然だね、なんだろう。

 でもこんな紳士的なんだから悪い話ではなさそう……大丈夫だよね?


「……良いよ」


 しばらく悩んだ後、結局私はその答えを出した。異怪物とまともに話せる機会なんて、そうそう無いからね。


「みんなも良い?」


「うん、変色の判断を信じるよ」


「どっちでもいい」


「良いよー」


「私は知らん」


 おっけー、問題ないね。これで何かあったら私の責任なのが怖いけど。


「みんな良いって」


「うん、ありがとう」



    ◇



「僕の名は『リーズ』。単刀直入に言う、僕はこのガイアノ侵略を止めたい」


 あれから移動し、ここは私たちの学校。

 今ここには千紫万紅全員と黒鉄、そして猿もといリーズと、先程私が対話をしようとした異怪物がいる。


 そしてそんな中、リーズがそう言い出した。 


 え、マジ? そっちから積極的に来てくれるなんて初めてだよ?


「しかしリーズ様、これはアール様の命です!」


「こんなこと、してはいけない。それにガイアノの民はまだ何もしていないじゃないか」


「しかしですね、あのような出来事がまた起こるかもしれないのですよ!?」


「だからと言って、いきなり侵略を始めるのは違うだろう、対話から始めて確認すれば良いだけのこと」


 ……なんか、私たちの知らないところで言い争いしてる。一体何の話?


「あのー……」


「おっと、すまない。あなたたちにも説明しよう。父、そして僕たちがガイアノ侵略に走った、その経緯を」


 何の話をするのかと思ったら、めっちゃ重要な話だった件!

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