第二十四話:目指せ、世界平和!
「ここは高校だ、制服を着ろ!」
「というか私たち以外に生徒がいるって珍しいね」
「ね」
「聴いてるのか!」
さっきから制服を着ろ着ろうるさくて、ちょっとうざいけど、何気に他の生徒と、あと制服を見るのが久しぶりで新鮮味がある。
「お前たち! 良いか、規律を守れ! 校則を守れ!」
「うるさぁぁい!」
「大声を出すな、近所迷惑だろう!」
「……」
いや、あなたもうるさいけど。
「また変なのと関わるの?」
「紺鼠、変なのとか言わないの」
「というか、またってことはわたしのことを含んでる?」
この三人は相変わらずですね。
というか、紫私以外にはなんか優しくない?
「聴いているのか!」
「はいはい、聴こえてますよ……言わせて貰うけど、こんな状態の世界でそんなルールまだ気にしてるの? 人は大勢死んで、電気、ガス、水道が止まってるところも出てて、生きるのにみんな必死なの。それにもうガイアノのルールなんてほとんど機能してないでしょうが!」
「……」
はい、私の勝ち。
「変色の攻撃が命中、クリティカルヒット~」
「さぁ、スタイルの良いお姉さんはどう来る!?」
なんか紺鼠と紫が実況し始めてるし。いいよ、追い打ちを入れろ!
「……だが、だからと言って、人々が規律を守らなければ今よりも治安が悪化することになるだろう」
「正論パンチ」
「これには流石の変色も!?」
「……」
「効いてるぅ!」
いや、確かにルールが機能してないとしても、それがルールを守らない理由にはならない。
とはいえ。
「今、この世界で重要なことは、学校の制服を着ることではない」
「変色の必殺、論点ずらしだぁぁ!」
「勝てないと悟ったから逃げてますね」
お前ら!
「まぁ、でも元の話題が制服を着ろって話だからさ」
「でも論争点はルール云々の話」
「あ」
黒白が私を庇うも、無駄であった。
なんなら私に追い討ちをかけてる……いや、一体いつから論争点がルール云々になっていた?
『それにもうガイアノのルールなんてほとんど機能してないでしょうが!』
あ、ここからか。
いや、私が言いたいのは制服を着るという校則は今守らなくても良いことでしょって話ぃ!
「……」
あ、でもスタイルの良い生徒がなんか大人しくなった。
「よし、あんな人放っておいて、会議室に行こう!」
◇
「じゃあ早速会議を始めまーす!」
「職員に許可を取れ」
「なんで付いてきたの?」
「規律を破らないよう監視だ」
おうおう。この人も紫と同じぐらいめんどい。
「というか職員居るの?」
「いるぞ職員室に、数人だがな」
「は!? もしかしてこの状況で仕事してるの?」
「ああ」
まじかよ。こんな状況で仕事……?
「え、いつからいるの?」
「昨日からだそうだ」
「なにかあったの?」
「生徒の安全確認や、死体の処理、それとここを避難所として扱う準備を進めていると言っていた」
「そうなの!? やっとここを避難所指定するんだ……遅……それで、安全面は大丈夫なの?」
「能力に目覚めている職員が多いから、ある程度安全だそうだ」
「そうなんだ」
いや、まじでこの高校を避難所として使い始めるの遅いって!
いや、一応聞いたよ? この学校では学業に専念したいとか、少し前に一つの避難所に人が集まりすぎて、感染症が大流行したから人がバラけるように使わないようにしたとか。
だけどもっと早く対応できたと思うんだよね。ちょっと最近政府とか市に思うところがある。
あ、あと私たち以外で情報を得てる感じが無いっていうのも思うところの一つかな、いやそれは世界中にも言えるか。
「……それと、死体に関してはお前たちが集めたのだろう? 職員が助かっていると言っていたぞ」
あ、それは良かったや。私たちの掃除は自分たちのためにやったのが大きいけど、こうして役に立ってたなら嬉しい。
「とりあえず、許可を取れ」
「はいはい。じゃあみんなはここで待ってて、私が許可を取ってくるよ」
結局、許可を取れという真面目ちゃんが煩いので、私はさっさと職員に許可を取りに行くことにし、黒白、紺鼠、紫の三人にそう言った。
「行ってらっしゃい」
「頼んだー」
「さっさと行ってきてー」
「はいはい」
多分声を聞かなくても、セリフだけで誰が何を言ってるのか分かっちゃう自信あるわ。
◇
「ただいま、許可貰ったよ~」
「あ、おかえり」
「……」
「そんなに真面目で楽しい?」
「楽しい楽しくないの問題ではない」
職員室にいた教師から、教室を使っていいと許可を貰った私は、会議室に帰ってきた訳なのだけど。
私のただいまに返事してくれたのは黒白だけ。紺鼠は寝てるし、紫は何やら真面目ちゃんと言い合ってる。まじで黒白が癒しだ、私のお嫁さんにならない?
「あ、職員室の人たちすごい感謝してたよ、掃除のこと。あと千紫万紅の活動も知ってたみたいで応援の言葉も言われた」
「そうなんだ、嬉しいね!」
「え、なに? 感謝してた? 流石わたしだね!」
「いや、紫は掃除の件関わってないでしょうが。三人で掃除、大変だったんだからね!」
「だよね、わたし一人分の情報すら集められてなかったんだから、そりゃ苦労したよねぇ!」
「いつまで言うんだよ!」
「んぅ……おはよう」
「あ、紺鼠が起きた」
あぁこの空間、本当に愉快ですね。
◇
「で、黒鉄はいつまでここに居るの?」
「お前たちの監視を続ける」
あの後、私たちは一先ず手に入れた情報を纏めた。その際私はこの真面目ちゃんの名前を知った。
彼女の名前は藤野黒鉄。どうやら高校二年生らしい、私たちの一つ上の先輩ってことになるね。
で、彼女は私たちの会議にも参加しないで、ただずっと腕を組みながら壁に寄りかかって私たちを見てる。ねぇ、暇じゃない?
「悪いことなんてしないけど?」
「現に、お前たちは校則を破っているが?」
「性格堅すぎぃ!」
本当にこの人は堅い。そんなんじゃ生きづらいでしょ。
「ま、良いけどさ」
この人はこの人。今は会議よ。
「じゃあ、これからは異怪物の王、アールっていうやつに会いに行くこと、ドリーノと会うこと、異怪物との対話をもっとすること。この三つを目標に活動していこう」
紫からの情報はとても重要な情報だった。何よりも異怪物について少し知れたことがデカい。
紫によると、彼らには仲間を思いやる気持ちがあるらしい。なら、その感情があるとすれば、ガイアノ侵略を良く思っていない異怪物も、もしかしたらいるかもしれない。
それに私もあの苦戦した巨人と話した、けど彼は悪い奴じゃなそうだった、情報も教えてくれたし。まぁ、あれはあの巨人が特殊ってのもあるかもしれないけど。
私は、無駄な争いをしたくない。
だから、期待してしまう、『人間と異怪物は共存できるんじゃないか』って。現に巨人は自衛隊と敵対してないし。
でもそうするにはあまりにも失われた命が多すぎた……ってのはそうなんだけど。
このまま衝突し続けても更に多くの命が失われるだけ。
私がしたいことは世界を元に戻すこと、戦争じゃない。
「みんなそれで良い?」
だから、なんとかしてガイアノ侵略を止めさせて、この争いを終わらせる。
共存は人間側から猛烈に反対されるかもしれない。
「うん!」
「もちろん!」
「良いよー」
「……」
異怪物側は侵略を止めないかもしれない。
でも、諦めないよ!
目指せ、世界平和だ!
【あとがき】
ぬい葉です。
これにて第一章は終わりです!
書き溜めのストックがもう無いので、ここからはすごい不定期で連載速度が落ちますがご了承ください!
ちなみに現在、変色が言っていた『目指せ、世界平和!』というセリフをタイトルにした曲を制作中です。紅万紫千が完結したら公開する予定なので是非楽しみにしていてください!
……まだメロディーしか作れてないので曲の完成が間に合うかは分からないのですがね(^^;
頑張ります。




