第十九話:遊び
「ここの駅は何人か人がいるね」
「そうだね」
「流石首都」
ついに首都トキウに到着し、私たちはそれぞれそんな言葉を溢していた。
「SNSではまだ何も情報出てないよね?」
「ボクたちが報告したこと以外は無さそうだよ」
「じゃあ現地インタビューには期待できなそうだね、まあそれでも聞いてみよっか」
既に他の情報が出てたら一部でもSNSなどに上がってるはずだ、でもそれが無いということなら、ここにいる人たちが新しい情報を持っている可能性は低い。
だけど、ただ発信してないだけだったり、情報を見つけられてない可能性もあるからね、一応聞いて回ろう。
「すみませーん――」
そう言うわけで駅に居座ってる人たちに情報を求めてみたんだけど。
「特に無いっぽいね」
大した情報は得られず。
「明らかに話しかけるなオーラ放ってる人もいたしね」
「みんなピリピリしすぎだよね」
「仕方がない」
「いや、こういう時こそ笑顔が大事なのに」
話しかけても素っ気なく返されたりして、みんな余裕が無いことを私は知った。でもねこういう状況だからこそポジティブ思考が大事だと思うんだよね。
「さ、気を取り直して。まずは駅を出ようか」
「そうだね」
「はぁ、全部電車で移動できれば良いのに」
「そんなだと太るよ? 紺鼠」
「私は太りにくい体質だから大丈夫、そんなに食べないし」
「あそう」
怠け者の紺鼠の話はどうでも良くて。
私たちは少し歩いて駅を出た。
「……廃墟ビル過ぎる」
「漫画とかゲームであるやつね」
「現実でこうなるのを見る日が来るとは……」
駅を出て最初に見たのは、破壊されている建物たち。特にビルは崩れてるものもあって、ここら一帯世紀末感がある。
「ちょっと廃ビル探索しない?」
廃ビルの中を探索するのって面白そう、というか前々からそういうことをしてみたかったんだよね。
「それボクも思った」
「えー、嫌」
黒白は賛成、紺鼠は予想通り反対。
「行こうって!」
「そうだよ……まあ危ないかもだけど」
確かに瓦礫とか沢山あるだろうし、建物が崩れることもあるだろうから危ないだろうけど、それでも一度やりたい。
「むぅ」
「どちらにせよ情報が欲しいんだから動き回るのは変わらないよ?」
そう、元々情報収集で来た、だから結局動き回ることには変わらないのだ。
「む……わかった」
「紺鼠も最初から分かってたでしょうが、何か別の理由があったりしたの?」
そもそも最初から動き回ることは承知の上で来たはずなのになんで紺鼠はこの場であんな反応をしたんだか。
相応の理由があると見た。
「……だって、瓦礫だらけの足場が悪い場所を歩き回るとか、絶対疲れるじゃん」
「……」
わぁ、流石紺鼠、理由がしょうもない!
◇
「自衛隊がいるね」
「前みたいにはなりたくないから、迂回しよっか」
「だね」
前は駄目だったけど、今なら地元の人たちは私たちを見逃してくれる。でもそれは必死にみんなに貢献したからであって、ここは首都、私たちの活躍なんてここに居る人たちは知らないだろう。
今まで全く関わりを持ってない人からしたら私たちはただの可愛い女子高生集団(?)だから、きっと前みたく帰らされる。
ということで私たちは目的の廃ビルへ行くために自衛隊を避けて行くことにした。
「おお、この雰囲気良いね!」
「足元気をつけてね」
ということで来ました廃ビル。溢れる世紀末感で凄い幻想的。
「もう、疲れた」
「体力無さすぎだよ紺鼠」
早速疲れた宣言の紺鼠。足場が悪いとはいえ、体力が無さすぎる。
「なんも無さそう」
「とりあえず探索、何も無くても今は良いの!」
「そうそう、この雰囲気を味わうのだけでも面白い」
「ふーん」
どうやら紺鼠はこの幻想的な雰囲気に面白みを感じないらしい。悲しいね。
「おや? 何故こんなところに人間が?」
「!?」
「誰?」
この雰囲気に浸っていた私たち、しかしそれは第三者の声によって中断させられることになった。
「二足歩行の狼?」
「なんかキモイ」
「誰だお前」
声の方を見るとそこには黒白の言う通り二足歩行の狼がいた。私たちはそれを見て各々正直な感想を述べる。
相変わらず紺鼠は辛辣、初めて出会った存在に開幕キモイはやばいって。
「あんたら生意気ね」
ほら狼も思わずこの反応。
……え、"あんたら"? 失礼な発言をしたのは紺鼠だけですよ、私は無罪!
「まあいい。お姉さんたちはどうしてここに来たわけ?」
「あんたら、かお姉さん、どっちかにしろよ」
「突っ込むところそこ? 頭大丈夫?」
「あ?」
紺鼠が辛辣だとか言ったけど、この狼も大概ですね。
許すまじ、こいつは生かしておけぬ。
「ちょっと、何で喧嘩になるの!?」
「黒白、こいつ多分悪い奴だから殺そう」
「物騒だね?」
冗談に決まってるって。
「良いよ、質問に答えてやる。私たちは世界を元に戻すことを目標として活動している千紫万紅というグループ。ここには情報収集で来た!」
間違ってはいないけど間違ってる。トキウには情報収集で来た、けどこの廃ビルには遊び半分で来た、というか遊びが大半。
しかし千紫万紅として、遊んでいるなどと口にはできない!
「いや、遊びでしょ」
「紺鼠ゥゥ!」
言いやがった、このナマケモノ。
「へぇ、世界を元に戻すという志を持っておきながら、ここには遊びで来たなんて。お姉さんたち案外お子ちゃまだね!」
「表出ろ」
「いや~だ。お子ちゃまの遊びには付き合いたくないよぉ」
ふーっ、ふーっ!
「狼さん? は何かボクたちに用があるの?」
「もちろん! わたし、なんで人間が能力を使えるようになったのか知ってるの。どう? 気になるんじゃないの?」
「なん、だと?」
こいつ、私たちが知りえない情報を知っている!?
「教えて」
「あ、やっぱり即答? でもな~、さっきから虹色頭さんが煩いからな~、どうしよっかな~?」
こいつ私のこと虹色頭とか言ってくるんだけど! なんなの!?
「決めた! 今から追いかけっこをしよう。わたしを捕まえられたら私の持ってる情報を全て教えてあげる!」
「三対一だけど良いの?」
「もちろん! 制限時間は無し、場所はこの廃ビルの中だけ、それじゃあ開始!」
「唐突に始めないでよ」
そうしてなぜか突然と追いかけっこが始まったのであった。
【あとがき】
ぬい葉です。
今回は私からのお願いです。
誤字脱字報告をしてくれたら嬉しいです! それと明らかにおかしいなって思うところとかの報告も大歓迎です!
是非、ご協力をお願いします!
あ、「絶対やらなきゃ」って思う必要は無いです、ほんと気が向いたらでも良いのでお願いしますって話です。




