第二話:出会い
「あ……」
外からは見えなかった、だけど学校の敷地に入ってから私は敷地内に人の死体が転がっているのに気が付いた。しかもその死体はこの高校の制服を着ている。
「……これ、もう幻覚なんかじゃ無さそう、だね」
死体から発せられているのだろう、私の鼻は血の臭いを感じ取っていた。
これは現実に起きていること、何がなんだか分からないけど、もう目を逸らすのは止めるべき。
「ご冥福をお祈りします」
私は亡くなった人々にそう告げる。
「……あの音の正体を確かめないと、まだ生き残りがいるかもしれないからね」
思考を切り替え、私は校門で聞いた爆発音のような音の正体と生き残りを探すために学校内を歩き回ろうとした。
「あ、生き残り!」
するとその時少し声の低い女の子の声がした。
私はその声の方へ視線を向ける。すると少し離れた場所からこっちに向かって来ている、私と同じ女子制服を着ている女の子が見えた。
彼女の容姿は、背中辺りまで伸びた、黒と白を程よく持ち合わせた髪をしていて。瞳は黒色。それと特徴的なのが頭の左上に黒いバラのアクセサリーを付けていて、バラから黒いリボンが一本……あ、いや二本か、二本の黒いリボンがバラのアクセサリーから垂れ下がっている。
正直可愛い。
「わぁ、やっと生きてる人に会えた」
ふと私の口からそんな言葉が零れる。
正直もう私以外は死んでるのかと思ってた、だけどこうして生きてる人に出会えて本当に良かった。
「わぁ、綺麗な髪」
黒と白の髪の子は私の近くまで来て、私の髪を見たのだろう、そんな言葉を呟いていた。
「でしょでしょ?」
自分で言うのもあれだが、私もそこそこ自分が可愛い方だと思っている。
何と言っても私の特徴は髪、外から見たら白髪だけど、内側から見たら虹色なのだ。まあつまり虹色のインナーカラーってこと。これのせいで苦労したこともあるけど、私はこの勇逸無二の髪色が好き。
親はお母さんが茶髪でお父さんが黒髪、だからどうしてこの髪色になったのかは不明なんだよね。
「あ、えっと自己紹介するね、ボクは二恵黒白気軽に黒白って呼んで!」
ボクっ娘!
黒と白の髪の子、彼女の名前は黒白と言うらしい、見た目通りだね。そして近くに来たから分かったけど背は私の方が少し高いみたい。
「分かった、じゃあ私も。私は七光変色、よろしくね、黒白!」
黒白が自己紹介してくれたので私も彼女に自己紹介をした。
「……ねぇ、黒白。なんで高校の人達は死んでるの?」
自己紹介を終えた私は恐る恐る、なぜ高校にこんなにも死体があるのか、ここで何があったのかを黒白に聞く。まあ多分あの化け物たちだと思うけど。
「……突然この高校に恐ろしい化け物たちが現れたんんだ、生徒も先生も大勢その化け物たちに殺された……けど、まだボクみたいに特殊な力を使えるようになって生き残っている人はいると思う」
黒白はこの高校で起きた出来事を簡単に話してくれた。やっぱりあの化け物たちね。あれ結局なんなの?
というか特殊な力って私のあれもそうなのかな。だとしたら黒白も自動販売機になれる?
「特殊な力ってどんなの?」
「この黒い力と白い力のこと」
そう言って黒白は私にその特殊な力とやらを見せてくれた。彼女の手には黒と白の玉がある。
てか。
「自動販売機になる力じゃない?」
「え、何それ」
黒白は私の言葉を聞いて目を丸くしている。
「えーと、私は今日突然自動販売機に変身できるようになったの……だから黒白もそうなのかなぁって思ってたけど違うんだね」
いや、よくよく考えたら自販機になる力とかわけ分からないね……いやまあそもそもとして、今分からないことだらけなんだけどさ。
たまたま自販機だっただけでもしかして私の力は変身する力とかだったりするのかな? だとしたら自販機以外にもなれたりしそう。
「自動販売機に変身……もしかして人によって特殊な力は違うのかも。ねぇ、自動販売機以外になれない?」
ちょうど私が考えてたことを言う黒白。
今まで余裕が無くて力について全く考えてすらいなかったけど、今は黒白もいるし、自販機以外に変身できるか試してみようかな。
「試してみる!」
えっと、何を試そう。うーんそうだなぁ、住宅街で電柱ばっか見てきたから電柱になれるか試そうかな。
自販機と同じように……電柱になるように……
「わっ!?」
「……あ、できた」
黒白が驚き、私は高くなった視線から自身の体を見る。すると私の体は細長いコンクリートとなっていた。成功したみたい。
「――――(これで分かったね)」
あれ、喋れない。電柱だから? とりあえず戻ろ。
「あ、戻った」
「私の力は変身する力っぽいね」
電柱からいつもの姿には簡単に戻れた。
「そうみたいだね、汎用性の塊じゃん!」
「でも上手く扱えるかな?」
「きっと使えるよ! ボクもこれを使って化け物と戦うことができたんだよ!」
あの化け物と戦う!? 私には到底無理な気がする……
というか。
「じゃあもしかしてさっきの爆発音みたいなのって……」
「爆発音? ああ、もしかしたらボクと化け物の戦闘音かも」
「……すごいね、私にはあんな化け物たちと戦える気がしないよ」
校門で聞いた爆発音はどうやら黒白が化け物と戦った時の音らしい。あの化け物たちと戦えるなんて、すごいなぁ。
でも逆にそれぐらいじゃないと、ここでは生きられないってことなのかな、やっぱ私そうそうに死んじゃうよ!
「大丈夫、戦えなくてもボクが守るよ!」
「黒白……!」
どうやら黒白が運命の相手なのかも、惚れちゃうね。
「あ、でもボクこれから校舎の中に入って生き残りを探すつもりだったんだよね、でも校舎内は逃げ場が限られるからもっと危険だと思うし……変色はどうする?」
なるほど、黒白は優しいね。生き残りが居たら助けるつもりなんだ。
私は、どうしよう。
正直家とか親のことも気になるし、外より自宅の方が安全だと思うから家に帰りたい。そう言ったら黒白は優しいから私を自宅まで送り届けてくれると思う。
けど、私はそれで良いの?
私も誰かを……
「って、危険だし帰った方が良いよね、ボクが変色を家まで送るよ、だから――」
「いや、私も黒白と一緒に校舎の中に入って生き残りを探すよ」
私は彼女の言葉を途中で遮り、自分も黒白と生き残りを助けるために動くと告げる。
「……いいの?」
「うん、私の力が役に立つかは分からないけど、私も人の役に立ちたい、だから私も行く」
「ありがとう! 変色が来てくれたらボクも心強いよ!」
……まあ実際変身する力が黒白の役に立つかは分からないけどね。むしろ足手まといかもしれない、でもいざという時に彼女の盾にはなれる。
「……準備は良い?」
「うん、行こう」
そうして私達は覚悟を決め、生き残りを探しにこの学校の校舎の中へと入っていった。




