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紅万紫千  作者: ぬい葉
第一章:千紫万紅

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第十七話:知る

「気絶してる」


「わぁ、紺鼠すごいね……」


「怖いけど、起こしてみようか」


「何かあったら紺鼠お願いね」


「うん、任せて」


 どうやら巨人は気絶しているようで、改めて紺鼠の能力のヤバさを知った。やっぱ私が紺鼠に変身すれば良かったのか……。

 ただ、対話をするために、この巨人を起こさないといけない。


「お、おーい。起きてー!」


 ビクビクしながら、私は巨人の顔をペチペチ叩いて起こそうとする。


「ぐぅ……」


「あ、起きた?」


「私は……そうか負けたのか……聞きたいことでもあるのだろう? 私は敗者だ、何でも聞け」


「う、うん、物分かりが良くてありがたいよ」


 良かった、この異怪物、負けたら従うタイプだ。これでやっと千紫万紅の活動に進展が!


 ……でも、その前に。


「でもその前に、二人とも。良い?」


「? うん」


「なに?」


 私は黒白と紺鼠を呼ぶ。

 今日気づいたんだ、改めてしっかり話すべきだよね。


「ねぇ、二人はこれからどうする?」


「? どうするって?」


「急にどうしたの変色」


「えっとね、今日全員本当に命の危機を感じたと思うの、私がこんな活動をするなんて言い出さなければ二人がこんな目に会うことなんて無かったはず。だから、二人はこれからどうする? ってこと今更だけどさ……」


 そう、今日は真面目に命の危機を感じた、いや私が紺鼠に変身してれば良かったのかもしれないけど、あの巨人は紺鼠の能力に少し抗ってた。私が変身して彼女の能力を使っても、多分効果が劣化版的なものになるから駄目だったかもしれない。そう考えるとどちらにしろ、紺鼠が来るのが遅かったら私は死んでただろうし、黒白も多分死んでたと思う。紺鼠だってあんなに飛ばされて相当痛い思いしただろう。

 だからこそ、ここで一度聞いておかないといけない。まだ私と千紫万紅の活動を続けるのか。


「これからも、千紫万紅として活動するかってこと?」


「うん」


「今更辞めるわけないじゃん、それにボクが自分の意志で入ったからね!」


「私も同じく、怠くて面倒くさいけど。安眠の為に必要だし」


「二人とも……!」


 凄い嬉しい! 二人が辞めても私は一人で千紫万紅を続けるつもりだったけど、やっぱ寂しいからね。


「ありがとう!」


「うん」


「どういたしまして」



「……話は終わったのか?」


 黒白と紺鼠の二人に話したいことを話し終えた私は巨人の方へと体を向けた。そんな私を見た巨人はそう聞いてきた。


「うん、じゃあ色々聞く」


 そうして私たちは巨人へ尋問を開始するのであった。



「まずあなたたち異怪物は何なの?」


「なに、とは?」


「どういう生き物とか、どこから来たのかとか」


「……私たちは『ガスノータ』という地からやってきた。そこには様々な姿形の私の同胞が住んでいる。どういう生き物かと言われてもな……個性豊かな生き物、とでも答えておこうか」


 私の質問に巨人はそう答えた。ガスノータね、覚えておかなきゃ。


「じゃあ次、なんであなたたちはここ、ガイアノに来たわけ? 迷惑してるんですけど、いや迷惑どころの話じゃないよ」


 次に、ガスノータというところから来たと言うのならば、なぜ来たのか、私はその理由を聞く。


「私たちには王がいる、その王がこの地を侵略をしろと言った、だから私はそれに従っているだけだ。他の者も大方そうだろう」


「王……」


「魔王的な存在?」


 つまりその王をぶっ倒せば解決ってことかな?


「じゃあ、能力について。なんで私たちは能力を使えるようになったの?」


「能力とは?」


「ん?」


「え、これのことだけど?」


「それはお前たちが元々持っている力ではないのか?」


「いや、違うけど?」


 能力のことを聞いた私、だけど巨人の反応が思ってたのと違くて頭がハテナで埋まる。黒白が能力を見せるが『元々持っていたのではないか?』なんて言う始末。


 これもしかして能力の原因って他にある? 一つの共通した原因じゃない?


「嘘ついてる?」


「私は勝者には正直だ」


「まあそんな気はする」


 うん、正直この巨人は嘘をつかないって感じがする。単なる私の感覚だけどね。


「はぁ……一先ず纏めよう。まず異怪物は『ガスノータ』という場所からやってきた……ってそうだ聞き忘れるところだった、あなたたちはどうやってここに来たわけ?」


「私たちは、『ドリーノ』という者によって転送させられてここにいる」


「ふーん、それ戻れるの?」


「戻るつもりは無いようだからな、奴が私の前に現れない限り無理だ」


「えー」


 こんな巨人さっさと地元に戻してほしいものだよ。あわよくば乗り込みたかった……いやそれはまだ危険かな。


「あと、聞き忘れたことをもう一つ思い出した。他の異怪物は今のところ対話できないんだけど、なんであなたは私たちと対話できてるわけ?」


「ガスノータでは私たち全ての知的生命に、学習型の翻訳の術が埋め込まれる、その翻訳の術のお陰で私たちはこうして会話ができるわけなのだ。だがドリーノ曰く、私たちの故郷ガスノータとこのガイアノは、"空気に含まれる物質に違いがある"とのことだ、そのせいで私たちは自我を失うことがあると言っていた。恐らく今他の者は自我を失っているだけだ、元は会話できる。ただどうやら時間経過で自我を取り戻せるらしいが」


 色々言いたいことがあるけど、情報量が多い。

 翻訳の術とか良く分からないけど、それはガスノータの中での話だろうから今はあんまり重要な情報ではないかな。

 それよりも時間経過で異怪物たちが自我を取り戻すってことはだよ?


「つまり徐々に異怪物たちは全員本来の力を発揮するようになるってこと?」


「めんどくさすぎる」


「うーん、困ったね」


 そういうことだろう、いずれ全ての異怪物は自我を取り戻し、この巨人のように理知的に動くようになる。

 普通にやばい、全ての異怪物が完全に自我を取り戻したら今度こそガイアノは終わりかもしれない。


「あ、それと空気に含まれる物質の違いって具体的にどんな違いがあるの?」


「すまないが私はその専門ではないからな、これ以上は分からない」


「そっか」


 うーん、結構情報は知れた、か。


「じゃあ今度こそ纏めるね」


 色々知れた、だから纏めなければ。


 異怪物は王に命じられて『ガスノータ』という場所からやってきた。全員が『ドリーノ』っていう異怪物から転送されてる。ガイアノとガスノータには空気に含まれる物質が違うから今多くの異怪物は自我を失っていて会話ができない。ただ自我の問題は時間が経てば解決してしまう。で、異怪物には翻訳の術が埋め込まれているらしいから徐々に対話できる存在が増えていく、と。


「だいぶ知れたね」


「もう帰ろ」


「うーん、そうだね、今日は疲れた。けどこの巨人どうすれば良いと思う?」


「私か」


 恐らく知りたいことはほとんど知れた、まだ聞き忘れてることあるかもしれないけど。

 で、最後の問題がこの巨人の始末である。正直殺せる気がしないし、そこまで悪い奴じゃなさそうだし。

 だからどうしようって話なんだよね。


「殺すなら殺せ、敗者には似合いだ」


「うーん、ここで大人しくしていれば良いよ?」


「それは私にはとても苦痛だ、私の生きがいは戦闘であるからな」


「でも敗者でしょ?」


「……それもそうだな、であればそれに従うとしよう」


 うーんなんかここまで正直だと可哀そうに思えてきた。


「……じゃあ、しばらくあなたの住処はこの広場、基本自分から人間に攻撃を仕掛けないこと、でももし人間が攻撃してきたらちょっとは反撃して良い、殺しはしないこと、あくまで対話での和解を目指して」


「私は対話が苦手だ」


「だったら行動で示したら? 困ってる人間を助けてあげるとかしたら少しずつ信用を得られると思うよ」


「……そうか、善処する」


「お願いね」


 ふぅ、こんなところかな。


「じゃあ帰ろっか」


「やったー」


「うん。あ、帰りながらボクが体の傷を治療するね」


「え、黒白治療できるの?」


「うん、お母さんができてたから多分できる」


「だったら早くやってくれればいいのに」


「ごめん、忘れてた」


「どうでも良いから早くやって、体が痛くてよく眠れそうにない」


「紺鼠、道中寝ないでよ?」


「……そうか、善処する」


「巨人の真似しなくていいから」


 そうして私たちは帰路についた。

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