第十五話:巨人
「で、でか」
「明らかにやばそう」
あのマゾ男から逃げた私たちは、その後いつもは来ないような場所へと足を運んでいた。ここはそこそこの大きさの広場。だいぶ遠くに来たね。
で、その広場になんか肌が薄い青色の巨人が居たんだよね。手に巨大な斧みたいなものも持ってるし、明らかにやばい異怪物。
「に、逃げる?」
「そ、そうだねぇ。大人しそうだし……ん? あれ、なんかこっち見てない?」
「終わった」
デカくて斧を持ってる異怪物に見つかったりしたらまずいと、私たちは三人とも考えていた。デカい異怪物が変に辺りを荒らしていないのも見て、一時撤退をしようとした時。なんとあのデカい異怪物と視線があったのであった。
こりゃ、紺鼠の言う通り終わったかも。
「あ、歩いてきた」
「……二人とも構えて」
はい、そうしてるうちに巨人がこちら目掛けて歩いてきました。まじで私たちどうなっちゃうの?
「お前たちが、人間だな」
「!?」
「!!!!!!」
シャベッタァ!
「同胞共が手を焼く人間とはこんな矮小な存在とはな」
マタシャベッタァ!
つ、ついに、対話できる異怪物が見つかった!
「あ、あの! お話しませんk――「まあいい、人間の力、私がこの手で測ってみるとしよう」――え?」
あの、斧構えないでください、お話を――
「変色!」
「はっ!」
黒白の呼びかけで気づく、巨人の斧が私たちのすぐ近くまで迫っていることに。
避けれ、る?
「はぁ!」
「っ」
「うわぁぁぁ~……」
「紺鼠!」
近くまで迫っていた巨大斧、それは黒白が放った巨大な黒の刃によって勢いが相殺され、防がれた。
その際に強烈な衝撃波が生じ、私は飛ばされそうになるが、なんとか近くのものを掴んで踏ん張ったことで飛ばされなかった。だけど紺鼠は耐えきれなかったのか遥か遠くへ飛ばされていってしまった。いやいくら何でも飛びすぎでしょ。アニメかよ。
「対話は、一旦無力化してからってことね!」
こんなデカいのを無力化できる気がしないけど。でもやるしかない。
私は戦うために黒白の姿に変身する。
「五割の力しか出していないとは言え、私の攻撃を受け止めるか」
「えぇ、こっちは全力だったんだけど……」
「もう一人は姿を変えたか。人間、存外面白いやもしれん」
こいつ戦闘狂かなにかですか?
「少しは楽しませてくれ、人間!」
戦闘狂だ!
「うわぁっ! あぶな!」
早速私目掛けて斧を振ってくる巨人、その攻撃を私は体を仰け反らせて、すれすれで躱した。いや死ぬかと思った。
「やあ!」
すかさず私は槍状の黒を飛ばして反撃。
「弱い!」
「効いてない!?」
私の槍は巨人に当たったけど、やつの体には傷すら付いていなかった。
これは確信しました、紺鼠が必要。でもこんなにデカいから紺鼠の能力が通用しない場合もありそうで怖い。
「えい!」
「……ほう、お前の攻撃は少し効いたぞ」
「いや、ちょっと切り傷が入っただけじゃん」
「……でも、黒白の攻撃が効くならまだ希望は多い」
なんと、私と違って黒白の攻撃はあの巨人にダメージを与えることができるみたい。と言ってもあの巨人の肌に切り傷ができた程度だけど。
というか黒白状態の私が傷を与えられなくて、本物の黒白が傷を与えられるってことは、私の変身能力が本物の劣化版にしか変身できないってことを表してるのかな?
まあこれについては後で考えるとして。
「黒白」
「分かってる、紺鼠が戻ってくるまで時間稼ぎだよね!」
「うん、正直あれに勝てる気がしないからね」
ということでここからは耐久!
紺鼠、お願いだから早く戻ってきて。
■
一方その頃
「痛い、もうやだ。動きたくない」
紺鼠は捻った右足を少し引きずりながら変色たちが戦っている場所へと向かっていた。
「全身痛いし、今すぐ寝たい」
彼女が怪我したのは右足だけではない、地面に体を強く打ち付けたことで体の様々な箇所に打撲を負っている。
しかし、そんな彼女だが、歩くことは止めない。
「でもきっと苦戦してる、私が助けないと」
面倒くさい、今すぐ帰りたい。そんな気持ちが彼女の中で激しく渦巻いているが、彼女は変色と黒白を助ける為に動く。
なんだかんだで紺鼠は変色と黒白の二人と過ごす時間が好きであった。この短い期間で彼女はすっかり二人に対して、友達としての好意を寄せていたのだ。
故に仲間思い、仲間好きである彼女が動くのは当然であった。
「もう、失わない」
そう呟いて紺鼠は歩みを速める。




