第十四話:怪物誕生秘話
「見つからないね」
「うーん、覚悟はしてた」
あれから数日が経った。私たちはその間毎日、対話ができる異怪物を探し回っていた、んだけど。
未だに対話ができる異怪物は見つかっていない。
「まあ気長に探そう」
「でも最近明らかに異怪物たちの動きが変わったよね」
「ね、本格的にやばくなってきた」
対話ができる異怪物を探してるうちにどんどん異怪物たちが強くなってる。
というのも最近現れる異怪物の殆どは知能が高い。中に人が居るって分かってるのか、家のドアを壊そうとして来たり、戦い方が理知的になってたりする。
流石にドアを壊そうとしてくる異怪物がいっぱい出てくるものだから、今私はお父さんとお母さんと一緒に避難して、避難所で生活している。避難する際は近くに居た自衛隊たちと一緒に避難した、私一人で二人を守れるか不安だったからね。
避難所は自衛隊の人たちが常に見張ってくれてるから結構安全。
余談なんだけど、私たちが通ってる西野原高校が避難所じゃないの私は納得いってない。実はあの高校ニチ国でも大きいほうの高校なんだよね、だからあそこを避難所として活用する気にならなかった人たちどうかしてると思ってる。たとえ周りに避難所となる場所が多いとしてもさ!
ちなみに私は一番近い避難所に避難したよ。
閑話休題。
避難所は自衛隊がいるから安全、だけど千紫万紅の活動をするには勿論避難所から出る必要がある。だから始めは避難所を出るのにすごい苦労した、中々自衛隊の人たちが納得してくれなくてさ。黒白たちにも手伝ってもらって、自衛隊の人たちに実力を示してやっと出るのを許可されたんだよね。
今では私は外で手に入れた食料だったり、使えるものを避難所に持って帰ったりして皆に貢献している。貢献、できてるよね?
ちなみに黒白と紺鼠はまだ避難していないらしい。黒白のところは家に能力で黒い壁を作ってなんとかしてて、紺鼠のところは使用人たちが能力でなんかしてるらしい。家の周りに能力で棘を展開したり、トラップを設置したりとかしてるんだって、すごいよね。
「あ、来たよ」
「うん」
「ふぁいとー」
脳内で適当に考え事をして歩いていた私だったけど、異怪物が近づいてくるのを見てすぐに思考を止めた。
二人に声を掛け、私は即座に黒白に変身する。
私の言葉に黒白は答えたけど、紺鼠は応援の言葉だけ、いつも通りである。
異怪物の対処は基本私と黒白、紺鼠はめんどくさがってやらない。文句が無いわけじゃないけど、紺鼠の能力は強力、だから彼女を温存してるんだ、って思って私は納得してる、実際そうだし。あとしっかり戦って戦闘技術も磨きたいからね。
「ほい」
「躱した先にっと」
黒白と私の連携は上手く出来てるほうだと思う。片方が先に攻撃して躱されたらもう片方がそこへ攻撃をする、二人同時に別方向から攻撃して挟み撃ち、とか。散々異怪物と戦ってきて私たちも成長しているのだ。
「グヤー……」
「うん、対話はできないね」
「みたいだね、じゃあバイバイ」
手足を攻撃して異怪物を無力化した私たちは、異怪物の様子を見る、しかし対話ができないと判断。異怪物は黒白の手によって死んだ。
私たちがどんどん冷酷になってる? そうかもしれない、けど最近はこうまでしないと生きていけない環境だから。
「うーん、やっぱ進展が無いのはきついね」
「せっかちは良くない」
「確かに気長にやるべきだけど、一刻も早く世界を戻したいもんね」
紺鼠の言う通りせっかちは良くない、けど黒白の言う通り私は一刻も早く世界を元に戻したいんだよ、最近異怪物が強くなってるのもあってさ、焦っちゃうんだよ。
「そこの子たち、俺とお茶でもどうだ?」
……なんか聞こえたけど気のせいか。
「……進展ないかなー」
「もっと別の所を探すとか? 例えば首都に行くとか」
「おい、無視するな」
「あー確かにね、けど電車とか生きてるかな?」
「確かめないとね」
「おい、舐めてんのか? 俺は強いぞ?」
あー、対話できる異怪物居ないかなー。
「痛い目を見たくなければさっさとこっちを見ろ、今なら許すぞ?」
あーさっきからなんかうるさいな。あ、もしかしてこいつが対話できる異怪物?
「二人とも、やろっか」
「うん」
「了解」
「お、やっと見たな、いいだろう許してやる。さっ、どうだ? 俺とお茶を「うるさい」は?……な、ぐっ!?」
まずはうるさい男を紺鼠の能力で無力化。
「な、なに、が……」
「で? なんの用ですか?」
「おい、お前らが、やったんだな? ふざけるなよ。ただでは済ませない。俺が本気を出したら、お前らなんて……」
はいはい、能力を手に入れた結果調子に乗った人ですね。
「制裁が必要だねぇ」
「な、なんで力が入らない!? ちっ、あとで、お前らを殴って犯して、後悔させてやる。泣いて謝っても許さないからな!」
「あー、そういう感じ?」
こりゃ思ったよりもやばい人だ。重罪だね。
「ならこうしよう」
私が、この男の人をどうしようかと考えていると、黒白が先に動き始めた。
何をするのか楽しみにしていると……。
「な、なにをすr――ぐ、ぎゃー! 痛い痛い、や、やめろッ!」
「え?」
「わぁ、痛そう」
なんと彼は手に黒い玉を生成し、それを男の人の股間に押し当てに行ったのだ。連続的な痛みなのか、男の人はそれを受けてずっと悶絶している。
あの、黒白くんも男の子だよね? なのにそういうこと平然とやれるんだね……。あ、男の娘だからか。
「や、やめろッ、やめ゛、ぐが……」
「うるさいよ?」
黒白は黒い玉を当てながら、足を男の人のお腹の上に乗せて顔を覗き込む姿勢を取り始めた。
わぁすごい、ドSの黒白ちゃんだよ。これは男の人何かに目覚めちゃうんじゃない? なんて。
「ッ、な、なんだ……お゛ッ、この、感覚……」
ん?
「こんなの、ぎゃ、ガッ……知らない」
「あれ? もしかして慣れてきた? じゃあ出力上げるよ」
「んぎゃッ! お゛ッ……あ、れ。気持ちい? 気持ちいい……気持ちいい!」
「え?」
「もっと、もっと……もっとやってください!」
「えぇ……きも」
「あふぅ」
「……なんか目覚めてる!」
「嘘、でしょ」
何か様子がおかしくなっていった男の人。目覚めちゃうんじゃない? なんて冗談で言ったのにマジで目覚めちゃったよ!
「これでも、くらえ!」
「お゛お゛お゛お゛おぉッ! も、もっとください!」
「ひぇ」
あ、黒白が怯えちゃった。彼はすぐさま男の人と距離を取って私たちの方へ逃げてきた。おーよしよし可愛いねぇ。
「ま、待ってください! も、もっと! もっとぉ!」
「ちょ、二人とも逃げよう!」
「うん」
「了解」
立ち上がりそうな男の人が恐ろしかったのか、黒白が私たちに逃げようと提案してきた。勿論私としてもこんなドМ男の近くには居たくないので賛成した。紺鼠も同じ気持ちだろう。
そうして私たちは駆け足でその場を去っていったのであった。その間もドMの男の人は何か言ってたから、流石の私もちょっと恐怖を感じた。
◇
◇――side ??――
唐突だが俺は恋をした。
あの黒と白の長い髪を持ち、とても可愛らしいゴスロリチックな黒の服装に可愛らしいお顔の女の子。
仲間には優しい顔を向けているが俺には、"俺だけ"にはあの冷え切った軽蔑の目を向けてくれるお姫様。
あぁ、思い出すだけで脳が焼き切れそうだ。
きっかけは俺の最低な行いからだった。今では反省している、ただあの行為がなければ俺が覚醒することは無かった、だから後悔はしていない。
ありがとう、マイプリンセス。あなたのお陰で俺は変われた。
また会いに行きます、そしてどうかもう一度軽蔑の目で俺をいじめてください!
こうしてこの世に怪物が新たに誕生したのであった。




