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紅万紫千  作者: ぬい葉
第一章:千紫万紅

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第九話:掃除開始

「早速、まずは人の死体をグランドの隅に集めよっか」


「了解」


「はぁ、頑張る……」


 私たちは校舎を掃除すると決めてからすぐに掃除を始めた。学校は大きいからね、早く行動しないと。



「人を運ぶのに台車を使おう」


「すごく雑に扱ってる気もするけど」


「一人ひとり運んでたらいつまで経っても終わらないよ」


 一人ひとり運ぶのは時間が掛かる、だから少し雑かもしれないけど体育館にあった台車を使って私たちは死体を運ぶことにした。


「まさか亡くなった人をこうやって抱えることになるなんてね……」


「正直臭いし、グロいし、気持ち悪い」


 死体を台車に乗せる為に一度私たちで死体を抱えなければならない、死体は数日経ったからか強烈な臭いを放っていて、更に虫も沢山こびり付いてる。死体は、体の大部分が無くなっていたり、肉が大きく抉られたような跡があるものも多くあった。だからか二人とも気分が悪そう。

 血まみれの死体ばっかりだけど、血が固まっているものが多いから死体を抱えても服はそこまで汚れない。とは言え、やり辛いね。


「二人とも頑張るよ!」



    ◇



「二階以上はどうする? 台車使えないよ?」


「電気が通ってるならエレベーターが使えるはず、使えないなら担架とか探そう」


「エレベーター使えるよ、確認してきた」


「おお、紺鼠やるじゃん!」


「ふふん」


「じゃあ今まで通り台車で運べるね!」


「うん、このまま今日中に終わらせよ!」



    ◇



「よし、人は多分これで全員だね」


「思ったよりも多かったね……」


「うん」


「……この人たちにも家族がいるんだよね」


「うん、しかもボクたちと同じ高校生が多い。みんな家族に『行ってきます』って言ってきたんだよね。それなのに『ただいま』を言うことができないなんて、可哀想だよ……」


「……そうだね」


 私たちは校舎内にあった人間の死体を全員集め終わり、そんな会話をしていた。


「……さ、次は化け物たちを片付けようか」


「えぇ、疲れた」


「うん、ボクも。明日にしない?」


 私は続けて化け物たちの死体を集めようと提案した、だけど二人はとても疲れた様子であり、黒白は明日にしようと提案してきた。


「あー、そうだね……うん、時間もお昼時、お腹も空いてくるだろうし明日にしよっか」


 確かに今日は二人とも肉体的にも精神的にも疲れたと思う。それなのに今日まだ続けようなんて、ちょっときついよね。反省反省。

 それに時間も丁度十二時近くだしね。うん、今日はもう終わろう。


 ……時間の確認にスマホを開いたら大量のメールと不在着信が表示されててちょっとびっくりした。勿論これは全て両親から。

 あぁ、帰ったら怒られる……。


「じゃあ、帰ろっか」



    ◇



 あれから数十分後、無事に自宅へ帰れた私であった、が!


「……」


「……」


「……」


 現在私は両親からジッと見られていた、玄関で。

 スタンバイしてたよこの二人。


「……あはは、お腹空いた。お母さんご飯作ってー」


 気まずくなり、私がなんとか絞り出した言葉がこれ。

 我ながらこの言葉は馬鹿だったと思う。お腹空いてたとはいえ。


「……変色?」


「はい……」


 そうして私はお母さんに睨まれたから全部話した。こんな活動を始めたとか、千紫万紅のこととか、今日やったこととか。


「今すぐ止めなさい」


「……そうだ、あまりにも危険だ」


 話した結果、返ってきた言葉がこれだった。そりゃそうだよね。自分の子供がこんな危険なことしてたら止めるよね。


「いーや、私はやるもんね! 絶対に!」


 ここで私は反抗する、千紫万紅の活動は決定事項なのだ。両親に言われてもやめるわけがない。


「なんでそこまで……そういうのは、大人に任せておくべきよ」


「そうだ、いずれ国がやってくれるだろう」


 お母さんとお父さんの主張は、"大人に任せるべき"、"高校生がやらなくていい"。だって。


「……でも、国だって人命救助が忙しい、それに"もう高校生"だよ? 大人の階段を上ってるの。『他の人がしてくれる』皆そう思ったら誰がするの? 誰かがやらなきゃいけない。だから他人がしてくれるのを待つんじゃなくて、自分が、私がやるの!」


「……」


「変色……」


 どうかな? だいぶ良いスピーチだったでしょ!


「それに、私色んなものに変身できるんだよ?」


 駄目押しに私は冷蔵庫に変身する。この能力を見せれば大丈夫だと思ってくれるはず。


「え、なにそれ」


「変色!?」


 あー、能力の説明しなきゃ。




「……なるほど」


「世界がおかしくなったことを更に実感したわ」


 私は能力の説明をした。と言っても私も全然分からないことだらけだから、うまく説明できたか分からない。

 伝わりはしたみたいだけど。

 というか、お父さんとお母さんは能力が無いんだね。私があって二人が無い、何か法則みたいなのがあるのかな?


「ね? だから良いでしょ?」


 それはともかく、能力の説明をした私は、最後に二人にお願いする。許可して、と。


「……はぁ」


「俺はそこまで言うなら良いと思うぞ」


「……本気?」


 おお! お父さんは前向きみたい。それを聞いたお母さんは少し目を見開いていたけど。


「ああ、変色の言う通り"もう高校生"だ。アドバイスする分には良いが、親が高校生の子供の道を直接的に塞ぐのは良くない。高校生なら親が道を作るんじゃなくて、自分で作るべきだ。だから俺は許可する」


「自分で道を作るべき……それにその能力とやらがあれば、大丈夫、か…………分かったわ、変色、私も許可するわ。ただ、十分気を付けてね」


 やった。許可された!

 まあ、許可されなくても続けるつもりだったけどね。


「ありがとう! 私頑張る!」


 こうして私は無事に両親から活動の許可を貰ったのであった。

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