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炎天怪談  作者: にとろ


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エアコンと鳥

 ナナコさんが小学生の頃から今でもしこりが残っている話だそうだ。


 当時、夏になるとエアコンが欲しいと両親に言っていたのだが、ワガママだと両親ともに決して買ってはもらえなかった。


 もちろんそれなりに高いものだとは知っていたし、当時は今ほど暑くはなかったが、それでも夏場に寝て目が覚めると寝間着が汗で濡れていて気分のいいものではなかった。


 両親が認めてくれないので、仕方なく寝るときは窓を網戸にしてなんとか寝ていた。快適ではなかったが、気持ちマシである程度の効果はあった。


 それでもやはり汗はかくし、朝起きて体を軽く流すことは変わらなかったが、窓を開けていると少しだけ寝るのが楽ではあった。


 そんな時、住んでいる町で鳥インフルエンザが見つかった。ニュースでは大々的に報道しつつ風評被害がどうこうと偉そうな人が深刻そうに語っていたが、当時畜産業と関係の無かったため、当事者には申し訳ないが気にしたことは無かった。


 そのまま寝るときに窓を網戸にする生活は続けたのだが、ある日家を出ると黒いものがころがっていた。なんだろうとよく見たときにヒッと悲鳴を上げそうになった。それは烏の死骸だった。


 すぐ家に入って両親に表で烏が死んでいると伝えると、突然深刻そうな顔をして玄関から出て行った。そして『学校にさっさと行け』と言い、追い払われるように死骸を避けて登校した。


 その日、帰ってきた時には死骸はなかったので、両親のどちらかが片付けたのだろうと思っていた。それから次の日もまた烏の死骸が玄関前にあった。気味が悪かったが、両親に伝えて今度は自分から面倒事からさっさと逃げることにした。


 そうしてまたしたいは片付いているだろうと思いながら帰宅すると母親に声をかけられた。


「ナナコ、アンタ部屋の窓を開けて寝ているの?」


 そう聞かれたので『網戸にはしてる』と答えた。その答えに深刻そうな顔をして『そう……』とだけ言われる。何故そんなことを聞くのか分からない。


 ただ、次の日曜日に父親に連れられて家電店に行った。そうして何か店員と話していたかと思うと、突然自分の予定を聞かれ、空いている日に工事の人が来るから待ってろよと言われ、アレだけ希望していたエアコンはあっさりと部屋につけられた。


 工事までの数日間の間、二三匹の烏が玄関先で死んでいたが、全て親が処理していた。


 そしてエアコンがついたので、夜は窓を全て閉めて冷房をかけながら寝るようになったのだが、それ以降鳥が玄関で死んでいることは無くなった。


 後で考えると、鳥インフルエンザの報道は続いていたし、そんな中鳥が何羽も死んでいるのに保健所が来た様子は無い。そして終息宣言が出たのは死骸が見つからなくなってからかなり後のことになる。


 なぜ窓を閉めると鳥が死ななくなったのかは分からない。ただ、その事を両親に問いかけると決まって嫌そうな顔をして『お前には関係無い』と言われたので数度尋ねて答えを返すことはなさそうだと諦めた。


 結局、真相は不明だが、彼女は今でもアレは鳥インフルエンザとは無関係の何かだと思っているそうだ。ただ、両親はその事を聞くと本気で嫌がるのできっとこれからも聞くことは出来ないのだろうと思っているらしい。

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