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炎天怪談  作者: にとろ


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八月の秘密の楽しみ

 まだ小さい頃、サチさんには夏になると秘密の楽しみがあったそうだ。ただ、今にして思うと少しだけ怖くなるらしい。


「ようやく物心ついた頃でしたか、夏休みになると楽しみにしていたんですよ」


 彼女の楽しみというのは、夏休みに豪遊が出来ることらしい。


 知らない男の人がウチにやって来て私にお小遣いをくれたんです、それも一万円ですよ? 小学生にとって一万円がとても大きな金額なのは分かりますよね?


 その人が誰なのかは分からなかったんですが、幼稚園の頃から夏になるとやって来て『お父さんとお母さんには秘密にしなさい』と言い、私にこっそりお札を握らせてくれたんです。こっそり受け取りそれをバレない程度に使って夏休みは大いに遊べたんですよ。嬉しかったんですが、誰なのかは分かりませんでした。ただ、一万円は確かに本物だったんですよ。


 その人なんですけど、父より若いように見えるんですよ、それなのに何故かお年寄りみたいな雰囲気をしているんです。不思議でしたがきっとこの人は偉い人なのだろうと子供心に思ったんです。


 コソコソ漫画を買ったりしていたんですが、バレないように気をつけながらお金は使っていました。時には祖父や祖母の家に行った後で使うこともありました。父も母もこっそりお小遣いとして祖父か祖母が与えたんだろうと思っていたようです。


 ただ、その人が来ていたのも小学校の中学年くらいまでで、それからは来なくなったんです。理由は分からなかったですけど少し寂しかったです。


 それからは夏休みは遊ぶばかりだったんですけど、とある日に家の片付けを手伝わされたんです。面倒だなとは思いつつ、一応やっておくかと思いながら片付けをしていたんですが、古い段ボール箱を持ち上げようとすると底が抜けて中身が出てきたんです。それに入っていたのはアルバムでした。父も母も懐かしいなと言いながら掃除そっちのけでアルバムをめくっていったんです。


 始めは私の小さい頃の写真だったんですが、下の方にあるのは古いアルバムで、その中には白黒写真もあったんです。それをめくっていくと、毎年夏にお小遣いをくれていたあの人の写真があったんです。思わず『これ誰?』と聞くと、『サチのひいおじいちゃんだな。堅苦しい人だったtが優しかったんだぞ』と言われました。


 それからページをめくっていくと、ひいおじいちゃんという人は次第に年をとっていったんですが、私の記憶に残っているのは若い姿です。服も現代風のスーツを着ていました。


 理由は分からないんですけど、死んじゃったら年も関係無く時代に合わせられるんでしょうか? それと大分後になって気が付いたんですけど、あの人が現れたのはお盆でしたね。お盆にはご先祖様が帰ってくるってホントなんでしょうかねえ……


 彼女は今でもその人の顔を鮮明に思い出せるという。ただ、その曾祖父らしき人が家族と話をしているところはみたことがなかったのできっとそういうものなのだと納得したそうだ。

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