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炎天怪談  作者: にとろ


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旧校舎で出会ったもの

 アコさんたちは夏休みに肝試しとして高校の旧校舎へ忍び込むことを計画した。リーダーが計画を立て、一人が一緒に忍び込む男子を三人集める役で、アコさんは旧校舎へ入れるところを探す役目だった。


 一番面倒な役目を押しつけられたような気はしたものの、高校に入ったが思ったより退屈をしていたのでその計画には惹かれるものがあった。そこで男子を集める担当のユキに『いい人頼むわよ』と言い、敷地の隅の旧校舎に向かった。今の校舎が建ったせいで日当たりが悪くなっているが、そのおかげでコソコソしていても見つかりにくくなっている。噂だがタバコを学校で吸うような連中が時々来ているという話しも聞いた。


 そんな根拠のない噂はともかくとして、旧校舎の玄関扉を押してみたが、鍵がしっかりかかっているようで入れそうもない。映画のようにピッキングが出来るようなことはないため他の進入口を探した。その結果、一カ所の窓の鍵が腐食して壊れているのを見つけた。その窓に手をかけて少し力を入れると錆びて朽ちた鍵は壊れて落ちた。これで自由に侵入できるようになったので大いばりで侵入経路を見つけたと報告した。


 さらにユキが集めた男子はなかなか評判のいい人揃いで、どうやって集めたのか不思議だったが、尋ねてみても『秘密』と言われてしまった。そしてリーダーのアイは旧校舎の図面を手に入れてスマホに入れていたので、それにそって肝試しのルートが作られた。


 夏休みの補習が休みになった時を狙って彼女と彼らは集まって、深夜の学校へ忍び込んだ。警備はされているが、警備会社と契約をしているようなものではないので忍び込んでも通報がすぐに行くわけでは無い。旧校舎の方は見回ってすらいないのではないかと思われた。


 そうして女子と男子、合わせて六人で旧校舎へ忍び込んだ。鍵は壊していたが、実際調べたところで腐食して自然に壊れたのと区別が付くとは思えなかったので、慎重に入って中のものを壊さずに出ればバレることも無いはずだ。


 アイの決めたルートで肝試しは始まったのだが、生物教室は標本も人体模型も無く空っぽだし、音楽室の肖像がは無かったし、当然グランドピアノなど置かれているはずが無いのでほとんどの教室が空っぽだった。アイは図を見てルートを決めたらしいが、下調べをしたわけではなく、教室の名前から怖そうなところを回るよう計画していたのですっかり肩すかしな肝試しになってしまった。おまけにスマホのライトが六人分もあるので暗くさえ無かった。ユキと男子の一人がモバイルバッテリーを持っていたのでスマホの電池切れの心配も無く、明るく周囲を照らしながら一通り回って白けたムードで帰ることになった。


 入ってきた窓から出ようとそこに向かっていたところ、間の悪いことに男子トイレから水を流す音がして警備員さんが出てきた。灯りまでつけてワイワイ騒ぎながら歩いていた六人には言い訳の余地もなく、その場でこってりとお説教をされてしまった。


 長話を聞かされ、『危ないことをしないように』と厳しく言われ、散々な肝試しとなってしまった。


 翌日、日曜日なので補習もないのだが、昨日のことについてスマホのメッセンジャーで愚痴っていた。あの場にいた六人がそれぞれ愚痴っていたのだが、一人が書き込んだ言葉によって空気が変わった。


『なあ、あの旧校舎ってつかわれなくなって長いよな? なんであの警備の人がトイレから出てきたときに水音がしたんだ?』


 全員がゾッとした。よく考えてみればあの旧校舎の水道料金を払う道理は無い、普通に考えれば水道など止めているに決まっている。


 なんとなくその質問で空気が悪くなり、一人また一人とルームから退出していった。


 これがアコさんの話なのだが、付け加えると、彼女たち六人は卒業までそのとき旧校舎を警備していた人をついに昼間に見ることは無かったそうだ。

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