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炎天怪談  作者: にとろ


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蛍の光

 ケイタさんはそれなりの年だが、かなり昔不思議な体験をしたそうだ。


「一体何があったんでしょうか?」


「ああ、古い話ですが……そうですね、空に星が見えていた頃の話です。まぁ……田舎ですからここほど夜が明るかったわけではないですが……」


 どうやらケイタさんが昔住んでいたところで起きた話だという。今となっては地上の光りに覆われて空に星が見えないが、かつて夜がきちんと暗かった頃、星と共に何か奇妙なものを見たそうだ。


「あらかじめ言っておきますが、オチらしい物もないのと、アレが何だったのかは推測くらいしか出来ません」


 彼が子供の頃、昔の家では庭から空を見れば綺麗な星空が広がっていた。ただ、夏の夜に家族で線香花火をした。パチパチ燃える炎が落ちるとそれを貯めておいた見ずにツッコんでお開きとなった。その時に空を見上げた、たまたまだったそうだがそこで見てしまったという。


 彼が見たのは緑色の小さな光りだ。手が届くようなところではなくかなり上空に光点が浮かんでいた。はじめは飛行機かとも思ったのだが、それにしても珍しい。ぼんやり見ているとそれは上に登っていき、ついには光が見えなくなった。UFOという言葉が浮かんだが宇宙人なんて言えば笑われるのが分かっていたので見なかったことにした。


 その翌日、村の中で一人の老人が亡くなった、老衰だそうだがそのおばあさんが前日まで元気にゆっくりとだが散歩をしていたのを覚えている。彼によると『もしかしたらそちらの方が気のせいかもしれない』と言うことだが、とにかく一人が亡くなったということだけは事実だ。


 そしてすっかりあの出来事を忘れかけた頃、夜に遊び歩いていたのにたまたま空を見るとまた緑の光が見えた。前回のことを急に思いだしていやだなあとは思ったそうだが、気のせいだろうし、ちょうどその光が緑だったので蛍がたまたま飛んでいるのだろうと無理矢理納得した。蛍があそこまで上空に上がれるかということと、当時の川でも蛍はかなり珍しかった事からは目を逸らした。


 そして翌日、また一人の村人が亡くなった。事故ではあったそうだが、偶然にしてはおかしかった。そしてその葬儀が行われているのを見ながら、『アレは魂なのではないか』という推測を立てたそうだ。


「ま、なにが正しいかなんて分からないんですが……」


「しかし偶然がそこまで重なるのでしょうか?」


「分かりません、ただ、昔のことなのでもう心配はしていないんですよ」


 なぜだろう? もう見えなくなったと言うことだろうか?


「しかし、今でも亡くなる方はいるんでしょう?」


「そうですね、ですが今ではもうすっかり夜空が明るいので見えないんですよ。もしかしたら相変わらずあの光が飛んで行っているのかもしれません。ただ、それが見えなければ私には関係の無いことですよ」


 そう言ってスッキリした顔をするケイタさん。今では安心して夜道を歩ける良い時代になったと言う。

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