表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎天怪談  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/74

直感してしまう不幸

 ハルノさんは雨が降るのが事前に分かるのだそうだ。しかし、自分のその特技について疑問に思うことにあると言う。その件について伺った。


「なんというか、分かるんですけどあまり歓迎できない特技なんですよね……」


 初めて分かったのは小学生の頃でした。あの頃はなんとなく空気が湿っぽいなと思っているとき、翌日に雨が降るようになったんです。それが何度かあって、『明日は雨かあ……』って分かるようになったんです。


 それから良かったことといえば天気予報を当てにする必要が無くなったことくらいでしょうか、あまり役に立つものではなかったんです。だから特に人に話すでもなく、ただ単に自己満足の範囲で済ませていたんですよ。


 その勘が不気味に思えたのは中学に上がったときでした。帰り道で突然、まるで水を浴びせられたかのような感覚を覚えたんです。体は濡れていませんし、そこを少し離れると何故か湿っぽさが消えたんです。いくら何でもあそこだけに雨が降るのは不自然ではないかと思っていたんです。


 翌日、そこで道路工事をしていた業者が雑な施工をして水道管を傷つけ、水が噴き出したのを知りました。自分の力が人災にまで影響があるのかと思うと怖くなったんです。


 誰かに言うわけにもなんとなくよくないような気がして話さなかったんです。それから暫くは平穏な生活が送れました。時々『降るな』と感覚で分かる程度で不都合はなかったんです。黙っておきましたし、大学にいる間は精々こっそり鞄に折りたたみ傘を入れるくらいでした。もっとも、雨が降る時なんて多くないので気にもならなかったんですけどね。


 そこまではよかったんですよ、そこまではね……


 大学を卒業したら実家に帰れと両親に強く言われまして、形ばかりの就活をしたんですよ。やる気は無かったんですが、学費から仕送りまで全額出してもらっていたので、一応実家に帰ることにはしたんです。おかげで都内での就活が出来ませんでしたよ。迷惑ではあるんですけど……親頼みで大学に行った以上そう言ったことになるのは仕方ないかなと思いました。


 実家に帰ってからしばし就活をしていたんです。とはいっても大学で学んだことを役に立てられるような職場はありませんでした。無理もないことではあるんですが、田舎って就職先がないなって思っていました。


 最悪のことがあったのはある日うなされて目が覚めたときでした。息が出来ないような感じがしたんです。深呼吸して落ち着くと、今までで一番湿っぽい感覚がありました。


 その日はもう雨が降っていたんですが、どうしてそんな感覚がしたのか分からなかったんですが、落ち着くと窓の外の音がやたら激しくなっていることに気が付いたんです。


 翌日、堤防が決壊して町の多くが浸水しました。我が家は幸い無事だったんですけど、そのせいで親も地元で就職しろというのを諦めて、私を送り出しました。だからこうして都内で働けているわけですが、幸い今のところあの時の感覚は体験してないですね。あんなことはもうゴメンですよ。


 彼女はそう言い力なく笑う。一番つらいのは何かあると分かっていたはずなのになにもできなかったことで、未だに後悔を引きずっているそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ