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炎天怪談  作者: にとろ


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雑誌と偶然

 起こりうることは必ず起る、そんな言葉の意味は可能性がどれだけわずかだろうがゼロでないのなら十分な時間があればそれは必ずあり得ることだという言葉だ。


 私はある冬、いつも買っているマンガ雑誌を買った。美少女が日常を送る話の多い雑誌だ。冬らしく表紙にはクリスマス風の衣装を着たキャラが描かれている。


 それをいつもの習慣で書店で購入し家に帰った。そして早速その雑誌を読み始めた。ページをめくると肌色面積多めの巻頭カラーが載っている。どうやら水着回のようで、キャラが海に行って泳ぎの練習をするという話だった。真冬に水着回をやるという読者サービスをしっかりしてくれる漫画家に敬意を払いつつそれを読んでいった。


 季節感以外はしっかり話が通っており、十分に面白かった。その勢いでページをめくったのだが、次の作品も水着回だった。設定上の月や日の差はあれど、真冬に夏の話をやると言うことがかぶるのは珍しいと思いつつ読んでいった。


 なんとも奇妙な事があると思ったくらいだったのだが、四作目くらいから笑って済ませるには難しい偶然が重なった。


 なんと最後まで読み進めたのだが、全作品が水着回だったのだ。夏ならまだ分かる、読者の需要として水着回をやる、それなら自然だし理解も出来るのだが、この寒い中作品中では全て夏だというのはなんとも奇妙に思えてならない。グラビアが水着で夏だったという位なら理解できるのだが、マンガではクリスマス回をせずあえて夏の話が続くのは偶然で片付けていいのか分からない。


 その本を読み終えて読者アンケートを送ろうかとハガキのページを見たところ、何故かその号にはハガキが付いていなかった。切手を貼る方式なのでハガキをつけていようともコストは無視できるほどのはずなのだが、ページを全てめくってみてもアンケート用紙は見つからない。


 困惑しつつそれを本棚に収めた……ところでふと気が付いてその雑誌の巻頭と巻末を読んでみたのだが、どこにも読者アンケートを送った人に対するプレゼントのページが無い。はて? 別に雑誌が休刊するわけでもないのにどうして今月号にはないのだろうかと思いつつ、何かの事情かと思いながら本棚へ再びそれを収めた。


 それから話は翌月になる。同じ雑誌を発売日に購入してみると、その月の号にはきちんと読者プレゼントのページと、アンケート用紙が付いていた。先月号はなんだったのだろうと思いながら読んでいったのだが、先月号で水着回をしたはずなのにお正月の話が載っている作品があった。マンガの時系列がおかしいのではないかと思ったし、先月号と話の繋がらない作品もあった。


 キツネにつままれた気分でアンケート用紙に記入して雑誌を本棚に収めようとした。そのときに気が付いたのだが、本棚に並んだ雑誌の右端には十一月号があった。十二月号が欠けているのだ。本棚に並べると十一月号の次が一月号という据わりの悪い歯抜けになってしまった。


 何の表紙で十二月号が消えたのか、それは分からないが、重なる偶然と消えた本には何か関係があるのではないかと思っている。その年かぎりのことであり、翌年からはきちんと毎月続けて本棚に収まっている。あの十二月号は一体なんだったのだろうか?

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