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炎天怪談  作者: にとろ


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蛍を見に行く

 夏頃にメグさんは蛍を見に友人と出かけることにした。最近の環境保護の流れで、近所の川のほとりにも蛍が出てくるようになったと噂が立っていたのでコレは見なければなどと思っていた。


 しかしメグさんには彼氏がいなかったので友人と出かけることにした。彼氏と出かけるのは来年でも良いだろうと思っていたらしい。


「安易に決めるべきじゃないですよねえ……友達を無くすなんて……」


 友人とメグさんの車に乗って蛍の出ると噂の小川に向かった。話によると、そこはその噂から駐車場がきちんと整備されているらしい。そんな至れり尽くせりな観光地に行かない手はない。人がたくさん集まれば環境が悪くなるのではないかと言う単純な疑問は無視した。


 多少山奥に入っていくと小川の脇に、雑な駐車場があった。砂利の上にロープが打ち込んであって、区画わけされているだけだ。夜がメインだというのにこんな雑な駐車場でいいのかといいたかったが、悲しいことに田舎なのでそれで十分と言えるほどの車しか停まっていなかった。この数ならいっそロープさえいらないのではないかと思ったが、友人と車を降りてまわりを観察した。


 蛍は数匹がフワフワと飛んでいた、一緒に来た友人と『綺麗だねー』なんて呑気な話をしていた。そんな時友人が『まるで人魂みたいだよね』と不気味なことを言うので『やめなよ、せっかく綺麗な景色なんだからさ』と言うと『ごめんごめん』と謝った。そんな他愛ない話をしていると、蛍がまた飛んできた。


 掴めそうなところに蛍が本で居るのを綺麗だなと思い見ていたのだが、次第に蛍の数が増えていった。せっかく来たから蛍がサービスしてくれているのかなんてくだらない考えが浮かぶ。綺麗なものだと思いながら一人で蛍を見ていると、ぼんやりと川の方に誘われて、足がぴちゃんと水に入ったところで我に返った。いけない、いけない。綺麗だからって追いかけるようなものじゃない。


 そんなことをしていると『メグったら、何してるのよ』と友人が笑う声が聞こえてきた。『もう、笑わないでよ』と友人の方を見て固まった。


 蛍は友人の周囲に大量に浮かんでいる。問題は蛍が友人の口や鼻、耳の穴から一匹ずつぷかぷか出てきていることだ。吐き気を催す光景を見せられ、逃げたくなったのだが、必死に友人に『もう帰ろう』と言い『まだいいじゃあない』と言う友人に体調が悪くなったからと説き伏せて車に乗った。


 車の中が蛍でいっぱいになったらどうしよう、そんな不安もあったのだが、車に乗り込むと友人から蛍が出てくることはなくなった。


 帰り着いた頃にはすっかり普通の光景が広がっていたのだが、友人と別れてから急いで家に帰って布団をかぶって寝た。


 それからその友人とは多少距離を置くようになってしまった。


「こんな体験をしちゃいまして、友人が一人離れちゃったんですよね。私が安易に誘ったのが悪いんですが、残念ですよね」


 彼女は未だに蛍が苦手らしい。

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