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炎天怪談  作者: にとろ


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八月の違い

 ある八月の日、ムライさんは奇妙な体験をしたそうだ。


 その日、夜に寒さで目が覚めた。加えて言うが八月のある日だ。寒くなるとしたらエアコンを効かせすぎたのだろうと思い暗い部屋の中エアコンを見る。LEDは全て消灯しており、間違いなく電源が入っていなかった。それに部屋がやけに暗い、夜だとしても常夜灯くらい……そこで気が付いたのだが、家電製品についているはずのLEDの光が一つもない。混乱していると目が徐々に慣れてきて、部屋の様子が見えた。


 真っ暗なまま灯りをつけようとリモコンに手を伸ばしたところで轟々と音がした。思わずそちらを見るとさっきまで動いていなかったエアコンが稼働している。おかしい、間違いなくエアコンはついていなかったはずだ。


 そして手に持っているのは電灯のリモコンであり、間違えてエアコンがつくはずもない。不思議で仕方なかったが、更におかしな事にエアコンは暖房を吐き出してきた。この部屋は寒いし、今は八月ではあるのだが、『何故!?』という言葉以外出てこない。


 そんな困惑もお構いなしにエアコンは部屋の温度を一気に上げていく。すぐに部屋は暖かいを通り過ぎて暑いようになった。八月だぞとは思いながらエアコンのリモコンを探した。先ほどまでLEDは何一つ光っていなかったはずだが、エアコンのリモコンは液晶部分が光っておりすぐに分かった。


 それを手に取って液晶を見ると、設定温度は二十八度になっており、どう考えても真夏にそぐわない暖房に設定がなっていた。


 疑問は多々あれど、ひとまずエアコンを冷房にして眠りやすい温度まで下げた。しばらくしてきちんと眠れる温度になったので、眠りに就いた。汗が気持ち悪かったのだが、眠気の方が勝っていた。


 翌日、目が覚めたときは普通に涼しい温度になっており、一瞬、昨日のことは夢だったのかと思ったのだが、寝間着が汗でぐっしょり濡れていた。それが冷房で冷やされ寒くなっていたので下着含めシャワーを浴びて全部着替えた。


 なんて理不尽なことがあるんだと憤ったのだが、考えられることはエアコンの故障くらいしか思いつかない。今は冷房を出しているエアコンを取り替えるのは数日エアコンが使えなくなる可能性があるのでやりたくない。


 今動いているのだからそれでいいと無理矢理納得してスマホを手に取り時間を確かめた。まだ通勤まではのんびり朝食を食べる程度の時間がある。とりあえず冷たいものでも食べようかとスマホの画面をオフにしようとしたところで日付が目に入った。


 そう言えばその日は自分が子供の頃にお世話になり、とても面倒見がよくて優しい叔母の命日だった。忘れていた自分を恥ながら、叔母が晩年オーストラリアで悠々と老後を過ごしていたのを思い出した。


 ああ、南半球は今冬だったなと気が付いて、叔母もまだ自分のところへ来たんだと思い、たぶんオーストラリアのノリで暖房をつけたのだろうと思い至った。


 ふと笑みがこぼれ、週末にはお盆なので叔母のお墓参りもしっかりとしておいた。


 以上が彼の体験した不思議な話だ。彼は最後に『面倒見が良いにもほどがありますよねえ』と笑いながら言っていた。

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