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炎天怪談  作者: にとろ


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夏に会う女

 イクタさんは夏になると何年かおきに出会う何かがいるという。それが何とも気味が悪いので話してくださるそうだ。


「夏が来る度にあの女のせいで憂鬱な気分になるんですよ。始まりは幼稚園のことでした」


 幼稚園で遊んでいると黒いワンピースを着た女が先生と何か話しているように見えました。当時はお客さんかなと思っていたんですが……問題はそんな人を見たことがなかったんです。ただ、子供だったので『そういう人も居る』となんとなく納得しちゃったんです。


 そのときはなんでもないことだと思っていたんですが、数日後にその女と話していた先生が骨折で入院しまして……問題は骨折の理由が疲労骨折だそうなんです。若い方なんですよ? 普通そんな骨折をすることなんてあるんでしょうか?


 ただ、それは後日になって聞いたことなので後知恵なんですけどね……


 彼女は物憂げな顔をして更に続ける。


 それからその女は私が夏に誰かと居ると時折現れるようになったんです。年数回のこともあれば全く見ない年もあります。ただ、あの女はいつもニヤニヤとした邪悪そうな顔をして私の知り合いに勝手に話しかけています。


 小学校に上がって三年か四年生になった頃にはもうあの女が自分にしか見えない存在で、見えてはいけないものだと分かりましたね。だからあの女が見えてもだんまりを決め込むことにしていました。


 ところで、『フルメタルジャケット』って映画を知っていますか? あの映画で海兵隊の抜けている人がミスを起こす度それ以外の全員が罰を受けるんです。当の本人は何のお咎めも無し、当然その人は嫌われちゃうわけですが……なんとなくその女がやろうとしていることも同じようなことの気がするんですよ。私に姿を見せては来るものの、絶対に危害を加えず私の周囲の人を傷つける、そういう存在じゃないでしょうか?


 ああ、その女がこの世のものじゃないって言うのは別に誰かが必ず怪我をしたりするからじゃないんですよ。私が幼稚園に通っている頃から見ているのに、こうして社会人になった今でも全く姿を変えず、若いとも年寄りとも言えない不気味な顔で私の前に定期的に出てくるんです。始めはあの女は実在していてこっそり傷害事件でも起こしているんじゃ亡いかと思ったりもしましたが、小学校の六年生になっても幼稚園で見たのとまったく同じ格好の同じ顔をしているのを見て確信したんです。


 大学でも相変わらず見ましたよ、夏に三回も出てきたときは敵いませんでした。しかも友人が三人も怪我をしたんですからね。


 今では私はあの女が私に話しかけるのを待っているんです。何を言っているのかはさっぱりですが、私があの女に一発殴りを入れてやらないと気が済まないのは無理もないでしょう? 今まで私を傷つけてきたあの女を締め上げてやりたいと考えて何が悪いんでしょう?


 彼女はそう言って話を終えた。今のところその女は知り合いに話しかけていても、近寄ると消えているらしい。しかも消えていたとしても怪我をするのに代わりは無い。だったら自分に喧嘩を売ってこいと言うのが彼女の主張だった。

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