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炎天怪談  作者: にとろ


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色違い昆虫

 ウチダさんが小学生だった頃、夏休みの宿題に自由研究があった。彼のそのときの体験が未だに忘れられないそうだ。人間の幽霊が出てくるわけではないと前置きをして彼は話し始めた。


「自由研究はこの辺で捕まえられる昆虫を集めるってテーマにして……要するに昆虫採集ですね」


 時代って言うんですかね、当時はまだまだ開発が進んで折らず、その辺に小さめの雑木林があるような時代でした。そこで結構昆虫が捕れるんですよ。それもあって、自由研究に昆虫採集くらい簡単だって思ったんです。


 八月が来て昆虫が活発に動き出した頃に課題を片付けるべく雑木林に虫かごを持って入りました。日の光がさえぎられて少し涼しい中を探索していきました。


 ところが昆虫と言ってもカナブンや蛾のような大したことのない昆虫ばかり見つかるんです。デカいカブトムシやクワガタは姿も見えません。ただ、木々を見ていくと、所々に樹液の出ている木があったんですよ。それを覚えておいて夜にチャレンジすることにしました。昆虫採集をして発表するなら見栄えの良い昆虫が欲しいですから。


 林を出て家に帰ると、父親が帰ってくるのを待って、夜に出かけることの許可を得ようと思いました。


 夕方を過ぎた頃に父親が帰ってきたので昆虫採集に夜間出かけてもいいかと聞くと、今日はもう遅いから明日のもう少し早い時間なら構わないって言われました。そこでさっさと寝て翌日を楽しみにしていました。後の手強い宿題は自由研究と読書感想文でしたから、感想文はあらすじの引用で文字稼ぎをして済ませるつもりだったので、実質大変なのは自由研究だけでした。


 そうして次の日の夜、雑木林に高輝度のライトを持って入ったんです。いまなら不法侵入がどうだこうだって言われそうですが、当時は放置されていた土地を真面目に管理している人が居なかったんです。


 林の中でライトをつけると、昼とは全然違うゾクリとする空気をはらんでいました。


 しかしこんなことで退くわけにはいかないので、それを無視して前に確認している樹液の出ているいくつかの木まで歩いていきました。


 始めの二三本は樹液こそ出ているものの、昆虫が居なかったんです。夜なのにおかしいなと思いながら、当時問題になっていた農薬を多めに撒いたりでもしたのだろうかと、無理矢理理屈を付けて自分を納得させ次の木に行きました。そこで私は立ちすくんだんです。


『怖い……この世のものじゃない』


 それが始めの感想でした。そこに居たのは黄金色に輝く大きなクワガタでした。ただ、驚いたのはそこではなく、そのクワガタがカブトムシを食べているんです。クワガタが肉食なわけないですし、どう考えてもおかしいと思いました。


 ふと気が付いたんですがその金色のクワガタには口の部分に牙のようなものが見えたんです。『これに関わっちゃいけない』いくらレアな虫だとしても本能に勝てず虫かごを落としたまま逃げ去りました。


 親には虫かごは落としたと言って誤魔化し、休み明けに自由研究をしていないことを思いきり怒られました。それは分かりきったことですが、それを回避するためにあの雑木林に入ろうとは思いませんね。


 彼はそれ以来虫が苦手になったそうだ。家の中に害虫がでてくると困るので月一で薬剤を使って自宅の虫を駆除しているそうだ。今のところあの金色のクワガタを見たことはないと言う。

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