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炎天怪談  作者: にとろ


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ある梅雨の日

 梅雨の頃のこと、ケイコさんがした体験だそうだ。


「あの時は雨がしとしと降っていて、湿っぽいのに愚痴りたくもなりながら会社から帰宅をして居た頃のことです」


 その頃はそろそろ暑さがやって来た頃なので日が伸びてきていたんですよ。それで太陽が沈む前に会社から帰宅をしていたんです。


 帰り道に自販機が置いてあるのは知っていたんですが、その日は雨だというのに自販機の下を探っている女がいたんです。身なりはまともなのになんでそんなことをしているんだろうって思いましたよ。


 出来るかぎり目を合わせないようにして出来るだけ離れて歩いていきました。怖かったんですがここを通らないと大回りになるんですよ。仕方ないのでそっと目を付けられないように出来るだけ離れてコソコソしていたんですが、私もそんな時に限って運が悪いのか、自販機の近くまでいくと女が急にこちらを向いて歩いて来たんです。完全に目が合ったので無視するのも無理があるなと覚悟を決めてその女の対応をすることにしました。


 近づく女に『何かご用でしょうか?』と出来るだけ平静を装って声をかけると、女は手を出して『お茶が買いたいの……おかねちょうだい』って見た目に合わない高齢者のような声でそう言ったんです。


 私はこの女に関わらない方がいいと直感して差し出された手に百円玉を二枚置いて早々に逃げ帰ったんです。あの女がなんにせよ、関わりたくないタイプの人なのは間違いないでしょう。


 そうして家に付くと早いところ一通りのことをして寝ることにしたんです。寝れば忘れられる、そんな気がしたんです。


 でもね……夢の中では自分があの場所に立っているんです。ぼんやりと動けずに眺めていると、轟音と共に自販機が壊れたんです。怖かったんですが見えているのですけど動けないんです。こんな夢を見るなんて最悪だと思いながらそれをぼんやり見ていると目が覚めました。


 目が覚めたのはテレビからの音のせいでした。昨日テレビをつけた覚えは無いんですけど……


 ちょうどローカルニュースをやっていて息を呑みました。そこはあの自販機があったところなんです。そこを映しながら『先日単独事故で……』と放送していたんです。寒気が走ってどうしようと思っていると、『この事故による死者はありません』と流れたので、アレは死霊じゃ無かったんだと妙な安心をしました。


 それから出社準備をしてアパートを出たんですが、昨日のことは気のせいだろうと思っていたら、ビニールシートがかぶせられているとしてもかなり歪んだ形の、おそらく自販機だったであろうものがあったんです。昨日見たものは何だったんでしょうね? いや、ただの変質者ならともかく、死者も出ていない事故で幽霊が出るのもおかしいし……結局あれがなんだったのかは分からないままなんですよ。


 そう言って彼女は話を終えた。彼女の話によると、自販機に車が突っ込んだのは朝のことらしい。何故朝に壊れた自販機が夕方に帰る彼女に壊れていない状態で見えたのかは謎のままだそうだ。

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