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炎天怪談  作者: にとろ


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快適だった部屋

 初夏の折、ムトウさんは引っ越したマンションで初めての夏を迎えていた。そんな時に起きた奇妙なできごとと少しの後悔があるというので語っていただいた。


「未だにどうするのが正解だったかは分からないんですが……」


 引っ越してきて初めての夏ということでそのマンションのエアコンに期待していたんです。結構いいやつだったんですよ、マンションに付いてきた物で、結構立派なやつでした。


 ただ、始めは立派なマンションなので断熱も完璧なのだろうと思っていたんです、何しろ初夏になりつつあるというのに全く暑くないんで、エアコンの出番がまだ無かったんです。ただ、表を歩くと近所のコンビニに行くのにも汗びっしょりだったので暑くないわけではないと思うのですが、自室に入ると涼風が部屋を満たしていたんです。


 涼しいのは良かったんですけどね……エアコン、つけてないんですよ。どうして涼しいのか分からないんです。ただ、それから時々夜中に目が覚めることがあったんです。ああ、別に暑苦しいわけではないですよ。なんて言うんでしょうか……直感的な物が働いたんでしょうかね。


 寝ているときに、目が覚めると視線を感じるので部屋の中を見回すんです。別に何もないのでおかしいなと思っていると窓の外の方にうっすら光が見えたんです。そちらを見ると能面が浮かんでいました。


 笑っているんですよ、ソレ。


 いや、般若面ではないですし、元々笑っている面なんですが、その笑い方はもし面に歯茎があったなら歯茎まで見えそうなくらい口を開けて大笑いしていたんです。それを見ると気が遠くなって目が覚めるとベッドの上だったというのがお決まりでした。


 ベッドで目が覚めるのでただの夢かとも思ったんですけど、同じ夢を何度も見るのはおかしいですし、不気味だったので仕方なくお祓いを頼んだんです。近隣の住人に怪しまれても困るのでスーツで来てもらいました。結構な料金だったんですがお寺と神社でそれぞれ有名なところでお願いしました。


 どちらが功を奏したのかは分からないですけど、とりあえずあの能面を見ることはなくなりました。ただ……それから妙に……いや、普通に季節なりの暑さになってエアコンをガンガンかけるようになりました。能面を見るのが嫌でお祓いまでしたのにその結果がこれかって思うんですけど、エアコンをかけていれば涼しくはなるので構わないんですが、理不尽じゃないですか?


 それと一応心霊関係ということで、不動産会社に実は瑕疵物件なのではないかとそれとなく尋ねてみたんですけど『そのような事実は全くありません』と全否定されたんですよ。家賃も他の部屋と変わらないようなので今までも異変はなかったんだと思います。なぜ突然出てくるようになったのかは謎ですが、なんにせよあれ以来ウチは普通の部屋になってしまったんですよ。


 ねえ、お祓いをするのが正解だったんでしょうか? あなたはどう思いますか?


 私は曖昧に『まあ……そういったものが害をなすこともありますから』と答えておいた。彼の話のかぎりでは相場通りの値段なのだから幽霊が出なくなったと言ってもマイナスがゼロになっただけで悪いことが起きたわけではない。たまにそういう理不尽なこともある、今のところ彼にはまだ何も起きていないそうだ。

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