表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎天怪談  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/74

ピックアップとプリペイドカード

 サイトウさんはソシャゲをプレイしていたのだが、夏になり、夏イベントで当然のように水着キャラのピックアップガチャが実装された。なんでも、そのときに奇妙な体験をしたので話してもらった。


「いやあ……なんでぼくのところへ出てきたのやら」


 あれは夏イベントの周回で集められるガチャチケットが底をついたときのことです。当然このイベントのためにため込んでいた無料石やログボのガチャチケットもこのガチャに突っ込みました。それでも……それでも出なかったんです。


 ここまで引いたのだから後には引けないと、財布を掴んで近所のコンビニに行きました。クレジットカードは今月限度額まで使っていたので後は現金をまとまった額引き出して、プリペイドカードで課金することにしていたんです。


 早速コンビニに着いたらATMで現金を引き出しました。ガチャの天井まで引ける額を引き出してプリペイドカード売り場に行きました。そこで高額なカードを数枚持ってレジに行きました。


 そこでサイトウさんは少し落ち込んだ雰囲気を出す。


 なんかレジの人がものすごく会計を渋るんですよ。『詐欺の恐れはありませんか?』とか『ウイルスの警告が出ていませんか?』なんて事を延々と訊いてくるんです。老人ならそういう古典的な詐欺に引っかかるかも知れませんが、ガチャを引くとはっきり言っているのに渋るんですよ。


 それからチラチラとよそ見をしながら僕のことを見てようやく会計をしてくれたんです。レジの札入れにまとめて一万円札を入れて会計を済ませ、外に出たんです。


 コンビニから出るとタバコの匂いが漂ってきました。あまり良い香りではないのでそちらを見ると、おじいさんがタバコを灰皿に入れながらこちらを見ていました。あまりいい気がしなかったのでさっさと自宅に帰ったんです。


 それからプリペイドカードの裏のスクラッチを削ってスマホで読み込み、クレジットをチャージして、流れるようにゲームの石を大量に買いました。


 ま、結局天井まで出なかったわけですが……


 虚無を感じてからふとコンビニを出たときに立っていたおじいさんを思い出したんです。何故忘れていたのかは分からないんですが、あのおじいさんは、頑固にこの町で一人暮らしをしていたんですが、典型的なリフォーム詐欺に遭って息子夫婦に半ば無理矢理引き取られていったおじいさんでした。


 一時期回覧板で注意情報が出たくらいに悪名高い業者でしたが、その事件で遠くに行ったはずのあのおじいさんが何故僕の前に現れたんでしょうね? やはり詐欺かもしれないと思うといてもたってもいられなかったんでしょうか?


 ただ、なんとなくなんですが、ガチャの天井までピックアップが出なかったのはあのおじいさんの仕業のような気がするんですよ……何の根拠も無いんですけどね。


 そう言って思い出話をしたサイトウさんだが、今夏もまた水着のピックアップを出るまで引くつもりだそうだ。彼によると、天井ができたのは神のようなシステムだと語ってくれた。私は今度こそ彼が良い引きを出来ることを祈っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ