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炎天怪談  作者: にとろ


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ホラゲーの舞台

 O田さんはある夏、エアコンの効いた部屋で夏らしくホラゲーをプレイしていたそうだ。エアコンが効いていたので別に暑いわけではないのだが、やはり夏はホラゲーでスリルを味わうのが楽しいのだそうだ。


「中古屋で数百円で売っていたレトロゲーをプレイしていたんですよ。当時は攻略wikiなんてありませんから、ノベルゲームだったんですが地道に総当たりのようなプレイをしていましたよ」


 当時は次世代ゲーム機が普及し始めた頃で、カセット式のゲームはある程度安くなってきていた時代だ。O田さんはそういったワゴンゲームを適当に買ってきて、思わぬゲームとの出会いを楽しむ人だったそうだ。


 ある時、彼は中古ショップでそのゲームを買ったのだが、カートリッジには何のシールも貼られておらず、ぞんざいにホラーの棚に入っていた。何がどうとは言えないが、当時は正規ルートで捌けないメーカーの認証を得ていないゲームがあった。彼もご多分に漏れず、そういったゲームの存在を知っていたので『アレ』かと思い、話の種くらいにはなるだろうと五百円で投げ売りされていたそのゲームを買った。


 帰宅するなり汗をシャワーで流し部屋に入ると早速ゲーム機にカセットをさした。期待というか怖いもの見たさというか、とにかくアングラなゲームが案外簡単に手に入ったと、何が出ても楽しもうと思っていた。


 しかし、意外なことに起動したゲームはホラーゲームだった。そういった要素があるのかとも思ったが、それならそれで何か表示があるだろう。そういったものは無く、あっさり始まったのでただ単にラベルの剥がれたゲームだったのだろうかと思った。不思議なのはメーカーロゴもタイトル画面も表示されず、いきなりゲームが始まったことだった。


 とはいえ当時のゲームではカツカツのROMにゲームを詰め込んでいたので、削れるところはとにかく削れという風潮があったため、オープニングを削ったんだろうなと思い、そのままゲームをプレイした。


 そのゲームは学校を舞台に、移動しながら怪異を探すというゲームだった。オープニングが削られていたくせにしっかりとチュートリアルは入っていた。『だったらOPも入れられたんじゃないか?』という考えもよぎったが、ゲーム会社の都合など知らない、何かそれが出来ない都合があったのだろう。そう考えて話を進めた。


 一通り舞台の説明がされたのだが、何故かデジャブを感じたO田さんは、何がおかしいのか分からなかったのだが、チュートリアルが終わってマップに放り出された時点でその違和感の正体に気がついた。舞台になっている高校が、自分の通っている高校なのだ。マップの通りに高校の教室と一致している。偶然だろうか? たまたま似たような舞台になったゲームが偶然地元のゲームショップで売られていたと?


 いくら何でもそこまでの偶然をたまたまで片付けることは出来ない。しかし導かれるようにゲームをプレイしていくと、そこに出てくる怪談は、彼の高校で語られているものだった。そのまま簡単にゲームをプレイしたのだが、勝手知ったる高校が舞台だ、怪談も学校で流れた噂にそっているのでサクサクと進めることになった。


「最後まで一応プレイしたんですけど……後味の悪いゲームだったんですよ。最後に知らない話が出てきたんですが、そのシナリオが気持ち悪くって……」


 最後のシナリオは学校のどこかに死体があるからそれを見つけてくれと幽霊に頼まれるものだった。様々な選択肢を試したのだが、進送に何時まで経っても近づけなかった。うんざりしたO田さんはスコップを装備して敷地を根こそぎ掘っていくローラー作戦に出た。


 ゲームなんだから頭を使わないとという考えには面倒くささの方が勝っていた。なにしろろくにヒントを登場人物が教えないのだ。一々聞いていって話を進めるくらいなら、当時のゲームのマップサイズなら総当たりで掘った方が早いと踏んだ。


 そうしてゲームをパワープレイで進めたところ、校庭の片隅で死体が見つかった。それは殺人事件となって警察の管轄になりゲームはエンディングを迎えた。


 後味の悪いゲームだなと思いつつ、そういうゲームもあるなと納得し、ゲーム機からカセットを抜いた。その時に焦げ臭い匂いがしたのでカセットを見ると、端子のの一つが真っ黒に焦げていた。ショートする要素は無いはずなのだがと不思議に思いカセットをさして起動させてみたのだが、今度は一切画面が写らなかった。どうも先ほどの匂いは内部の回路が焼けた匂いらしい。


 不良品を掴ませやがったと腹が立ったそうだが、小銭目当てにクリアしたゲームをショップに返品する気にもならず、その日はゲームを一本攻略しただけで終わった。


 翌日、登校するとき、ふとあのゲームのラストで死体が見つかった場所が気になった。そちらに目をやると、慰霊碑が建っていた。普段気にしていなかったのだが、そこには第二次大戦で空襲を受けた人の慰霊碑が建っているのだった。


 そこでなんとなく、あのゲームの端子が焼けた時にやたら焦げ臭かった理由が分かったような気がしたが、あまり考えたくはないのでいつも通りの生活をしていった。


「真相なんて知りたくもないですが、あそこには何かあるんでしょうねえ……」


 彼はそう言って話を締めくくった。


 一つ不思議なのは、彼の地元を調べた時に空襲があったという情報は出なかったことだ。どうしてそこに空襲の慰霊碑が建っていたのかは分からないままだ。

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