表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎天怪談  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/74

悪臭のもと

 ユイさんには今も夏になると起きる怪現象があるそうだ。オカルトかどうかは不明だが、不気味なことには変わりないらしいと言う。


「夏になる度に起きるんですよねえ……」


 彼女は非常に嫌そうな顔をして言う。何か嫌なことでもあったのだろうか?


「夏になると起きるとのことですが、一体何が起きるんですか?」


「臭うんですよ、それもかなり」


 臭い? 夏場は冬より臭うのは当然のような気がするが……


「一体どのような臭いなのでしょうか?」


「ああ、アレはなんと言っていいのか分からないんですが、良い匂いではないですね。据えた臭いと言えばいいんでしょうか、お肉の腐敗したような臭いなんですよ」


 肉が腐敗、その言葉だけで嫌な予感が頭をよぎった。そういった匂いがすると言うことは……夏場に肉が腐る……つまり……


「その匂いとはもしかして」


 私の言葉を遮って、彼女はその件の始まりから話し始めた。


 はじめは別になんてことないことだったんです。自炊をしていたら酸っぱいような匂いが漂ってきたので痛んだものでもあったのかなと思い、食材を見たんですが、どれも新鮮なものなんですよ。だからこの匂いが気持ち悪いなとは思ったんですよ。でも、その時は自宅内に特別なものもなかったので多分どこか別のところから臭いが垂れ流されているのだろうと思いました。


 それから臭いは数日続いたんです。しばらくしてアパートの前にパトカーが止まっていまして、嫌な予感がしたんですよ。孤独死という言葉が頭をよぎりました。警察の方はバタバタと私の真下の部屋へ出入りしていたようですが、部屋に帰ってしばらくして帰っていったようです。別段私は何も聞かれませんでした。後になって臭いはしたけれど、警察まで呼んで何も無かったと聞きました。


 でも、それから毎回夏になると臭うんですよね、据えた臭いがぷーんと漂ってくるんですよ。気持ち悪いですよ、ただ、どこにも腐ったようなものなんてないし、下の階は別の方が入っていて、その人が何か言っていることもないんですよ。つまり私の部屋が狙われているようなものです。本当に勘弁して欲しいですよ。


「何か起きたことはないんですか?」


 実際何も無いのにそんなことが起きるものだろうか? 何か原因が無いと納得いかないんだが、彼女は首を振って答える。


「それが、不動産会社にも問い合わせたんですが、そのアパートで心理的瑕疵物件が出たことは一度も無いとハッキリ言われてしまったんですよ。だから原因はそれ以外にあるんでしょうけど……何故か向こうも家賃の減額を認めてくれたんですよね。一体何が起きたのかは分かりませんが、我慢していれば悪い物件ではないだけに、未だに離れられないんですよ」


 彼女は未だに臭いを嗅いでいるらしいが、今ではもう慣れてしまったらしい。原因は不明でも、それで家賃が安くなるなら我慢しようかという考え方のようだ。


 私は彼女に謝礼をして地域の図書館に向かった。何か原因があるのではないかと郷土史などを調べたが、彼女の住んでいるところで何かがあったとはまったく書かれていない。なんとなくだが原因があった方がまだマシなのではないだろうかと思ってしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ