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炎天怪談  作者: にとろ


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どっちが先か

 天海さんは子供の頃不思議な体験をしたそうだ。


「鶏が先か卵が先かって言いますけど、未だにどっちなのか分かってはいないんですよ」


 そう言う彼の話は小学生の頃にまで遡る。


 彼の通っていた学校は集団登校をしていた。その日も皆で集合場所に集まって登校が始まった。一応年長者が下級生を守る形で登校するのだが、残念な話だが半ば形骸化していた。


 まだ少子化が社会の問題となる前の話だそうだ。


「あの時は近所の皆で集まって登校をしていたんですよ。今でも集団登校に意味がどれほどあるのかは不明ですがね」


「え? 低学年の子供たちが危ないことをしないようにやっているんですよね? それなりに意味があるのでは」


「いやあ……あんなことがあると集団登校をしていようが意味がないって思うんですよ」


 彼が集団登校に懐疑的になったのは夏休みの真っ只中の登校日だった。小学生なので仕方ないが子供がせっかくの夏休みを一日潰されるということで不満たらたらだった。かくいう天海さんも『面倒くさいなあ……』と思いながら登校を始めたそうだ。


 そんな調子なので登校へのモチベーションは総じて酷い、やる気がないと言うべきだろうか? 口々に面倒くさいとか、休みが潰れたとかの愚痴を延々と話していた。当然それは彼も同様の様子だった。


 皆やる気がないので集団登校も雑になる。本来であれば車道を渡る時はきちんと左右を確認して信号が青になってから渡れと言われていた。しかしその交差点は車はほぼ通らず、やる気も無い生徒の集団だったのでそれを真面目に守らなかった。


 赤信号だというのに車が来ていないのをいいことに皆して気にせず横断歩道を渡っていた。集団心理と言うべきか、皆でやっているので信号無視も気にしなかった。


 しかしその時、彼が横に数メートル吹き飛んだ。車は間違いなくいない、誰かに押されたわけでもない。どうしてそんなことになったのか誰も分からなかった。


 その時最年長の生徒が一瞬戸惑ってから急いで天海さんのところへ来た。しかし肝心の彼は怪我一つしておらず、痛いところはどこにもなかった。数メートル飛んだのに怪我一つないというのはなんとも不思議な話だった。


 キツネにつままれたような気分で登校を開始した。怪我はなかったが、あえて被害を言うなら制服が少し汚れた程度だ。登校しても教師は転んだか遊んでいて倒れたかした程度に思ったのだろう、追求されることはなかった。


 そして帰り道、帰りの方に向いて看板が設置されていたので気がつかなかったが、その横断歩道には事故注意の看板が帰りの方向に進めば見えるところに立てかけてあるのに気づいた。


「とまあ、これが私の体験したことの顛末なんですが、未だに分かっていないことがあるんですよ」


「今まででも十分不思議だと思うんですが、なにが分からないんですか?」


「そこに車がほとんど通らないのは言いましたよね? 私はなにか分からない力に吹き飛ばされたわけですが、何か幽霊らしきものがいて、それが通る人を押したりしているから事故が起きたのか、事故が起きたから生霊や怨念みたいなものがああして吹き飛ばしているのかは分からないんですよね。ただ、中学になるとそこを通らなくなったので気にならなくなったんですがね。幽霊が事故を起こしたのか、事故を起こしたヤツが幽霊になったのか、それは未だに分からないんですよ」


 そう言って酒をいっぱい飲む彼を見ながら、私は誰が原因か分からない幽霊というのもなかなか面倒なんだななどと思いながら、話をどうまとめるか考えて、彼の見解をそのまま書き記すことにした。

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