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炎天怪談  作者: にとろ


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八月半ばのツーリング

 夏の夜、まだまだ深夜でも蒸し暑い夜の話になる。裕太さんは高校生の頃奇妙な体験をしたそうだ。


「当時は俺も褒められた人間じゃなかったんでね、普通にバイクの免許を取ってたんだよ。高速に免許を取るなと書かれていたような時代の話だ」


 彼の話によると、夜にツーリングに出た時に奇妙な体験をしたらしい。


 夜のツーリングなのだが、いかんせん当時のバイクは普通にうるさかった。家の前でエンジンを掛ければ爆音で家族どころかお隣さんまで目が覚めるくらいにはうるさい乗り物だった。


 彼も一応そこは配慮して、少し離れたところまでバイクを押していってから乗った。エンジンを掛けると結構な排気音が響く。住人からすればうるさいだけだが、乗っている本人には心地よい音だ。


 彼はツーリングにいつも使っている山を走ることにした。無論町中の方が道をよく知っているが、警察が張っている可能性もあるので、免許を持っているとは言え、難癖をつけられて減点されたくはなかった。そこで町中をのろのろ出来るだけふかさずに走って、音が聞こえなくなるところまで走ってから好きなだけ音量を気にせず走るつもりだった。


「山の仲間では行けたんですよ。なかなか楽しかったです。定期的に走っているルートで、警察が張っていないのを確認済みの道路です。ついついスピードも出ちゃいますよね」


 そうしてなかなかの勢いで走っていった。楽しかったそうだし、大いに楽しめていた。山の中を歩いていると白いものが見えた。ブレーキで速度を調整し、スロットルを絞る。出来るだけ迷惑をかけないように音量を下げて横を通っていく。


 その時見えたのは、真っ暗な中、白装束で一列に並んで歩いている集団だった。いくら何でもこんな偶然があるだろうか? 不気味すぎるような気がするが、必死に気にしないことにしてバイクを走らせた。


 ようやく道の脇の歩道を歩いている集団が途切れたので、逃げるようにスピードを上げて走り去った。そこで気がつき後悔したのだが、この先まで走ると帰り道は行きと同じ道になる。つまりまたあの集団と出会うかもしれないと言うことだ。心底逃げたかったが、翌日が辛いわけで、しばらく走ってからいやいや帰り道についた。


 帰り道にはあの集団はいなかった。ただ、あの集団を見たところが墓地であることを考えると気が重くなった。


「それであの集団の正体なんですけど、はじめは新興宗教も疑ったんですが、結局は幽霊だったのだと思うんですよ」


「何故そう思ったんですか?」


 私は彼が幽霊だと断言したのを奇妙に思い、ついつい疑問が口から出た。


「シンプルな話ですよ、帰宅してカレンダーを見たらお盆の終わりの日だったんです。つまりあの集団はお盆で帰ってきた先祖の霊が再びあの世に帰っていっていたんだと思います。なんとも不気味な話なんですがね」


 彼はそう言って酒を煽り、私の謝礼を受け取ると、伝票を置いたまま帰っていった。真実は分からないし、ありきたりではあるが、案外そんなものなのではないかと思う。

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