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いなくなった町

長い旅に出かける準備は整った。

だが男には心残りがあった、それは疎遠になってしまった友人たちとのことだ。

今でこそスマホやSNSなど連絡とる手段は様々だが、当時は携帯電話の普及がはじまったばかりの頃で、別々の高校に進学して会う機会もなく、気がつけば連絡を取る手段がなくなっていた。

男は旅に行く前の心残りを解消すべく、かつて住んでいた町に向かった。


最寄り駅に到着すると、記憶にある駅前と違っていて知らない町にきた気分だ。

先ずは自分が住んでいた家に行くと、そこに建物はなく駐車場になっていた。

家の近所にあった駄菓子屋もなくなっていて、知らないカフェができていた。


一日かけて、こどもの頃遊んだ公園や友達の家を巡ってみた。

公園は遊具こそ変わっているものの残っており、少し懐かしさを覚えた。

だが友人達の家は建物は残っているものの、空き家になってたり、住んでいる住人が変わっていたようだ。

かつての友人たち――

タカシ、ケンケン、大佐、ユウキ、山田、ショータ、ハヤシ、タケ、平、ユウタ、コウタはもうその町には住んでおらず、中学の卒業式が今生の別れになってしまったということを男は悟った。

よく遊んだ友人や反りの合わないやつも誰も彼もその町からいなくなっており、自分のことを知っている人はいなくなっていて、それだけ長い月日が経ったということを実感した。

まるで最初からいなかったかのように……


男の心残りは解消されて、もう思い残すことはない。

明日からは新天地に向かって長い旅が始まる……

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