エピソード 07
「え? ……??」
もはや、俺はどんなお気楽なお言葉でもいいから、今の状況やこの現象を理解できる説明をジンからぶんどりたい気持ちになっていた。
「な?! な? なななー? ちょっと待ってくれーーー!! 何? 何? 何? 何が起きてるの? どうなってるんだ? シンフォニック・エラーは?! 廃棄物処分場は?! おい! イルス! ここはどこなんだ?」
マスターも街のど真ん中で、真っ青な顔で混乱して騒ぎ出している。通行人のあやかしたちが興味深げにこちらを見ていた。
「なんで、俺はいきなり知らない街で迷子になってんだ!! ジンちゃん? それにイルス? どうして、雑居ビルなんかに俺は入らなきゃならないんだ?!」
ジンも古い雑居ビルを眺めて、しきりに首を傾げながらこちらを気にしながら、早歩きで向かっている。
「あやかし……だからみたい。多分、あやかししか知らないの。あの文様」
「え? ……あ、そうか。地面にあったあの文様か?! あやかししか知らない何かがあったのか?」
「あやかし……って、イルス? ジンちゃんって、あやかしだったの?」
「すみませんマスター。ジンはあやかしです。狐の化身なんです」
「そうそう。隠してたけどね」
「……つまり、ジンは元々知ってたんだな。アンダーワールドのヴァーチャルミレニアムの場所を……そして、行き方だけよく知らなかった? うん? 来たことあるのか? ここへ?」
「うーんとね……。来たかというと……来たには来たんだと思う」
「え?」
「小さな時に住んでたの」
ジンは古い雑居ビルの中へと入っていってしまった。