エピソード 20
サイバージャンクシティへ行くには、ジンの言う通り簡単のようだった。来た時と同じに、市場の喧騒の中から、地面に浮かび上がる文様を見つけるのだ。それから、眼前の空間から現れて、膨張してくる廃棄物処分場の鋼鉄の壁に激突。もとい、壁を通り抜ければいい。
元来た廃棄物処分場まで、たくさんの軽い荷物を抱えたマスターを励ましながら、俺たちはマスターのオンボロ車がある広域施設の駐車場へ急いだ。
オンボロ車は意外なほど、無傷でどこも故障していなかった。
俺は、ジンを後部座席に乗せると、朝日も差さず黒い色の雨が降りしきる空を仰いだ。
マスターは軽い荷物を全て車に押し込むと、料理屋「キアニーナ・ビステッカ」を後回しにして、いつもの場所へ行くようだ。
「ふんっ。サイバージャンクシティは無事のようで……シンフォニック・エラーか……何事もなくだな。街をお綺麗にしている天からの洗浄液もご健全だし……」
「おい、イルス……早く乗れよ……」
「あ、すいません。マスター」
マスターのカギの差し込み方が取り分けて良いのか、オンボロ車のエンジンは文句も言わずに快調に回転した。だが、行き先であるいつもの場所とは、当然マスターしか知らなかった。
「マスター? これからどこへ?」
「いつもの場所だよ」
「ええ……だから、どこなんですか?」
「え? 聞こえないのか? いつもの場所だよ」
「はあ……」
オンボロ車は至ってご機嫌なようで、ハイスピードでいつもの場所とやらへと広域施設の道路から、サイバージャンクシティの中央にある中央通りへと向かっている。時計を見ると、朝の10時だ。情報をマルカから得るだけなら、昼には「キアニーナ・ビステッカ」で飯が作れるだろう。




