エピソード 13
「う!!」
俺は手を引っ込めたが、間に合わない。
プシューっと、気の抜けた空気が抜ける音と同時に、目の前が真っ白になった。瞬間的に、後方へバク転をして、少爆発を回避した。凄まじい暴風と熱が俺の頬の傍を勢いよく通り過ぎていく。
時限式ミクロ型FAEBだ。
FAEBとは、Fuel-Air ExplosiveBombの略で、燃料気化爆弾のことだ。火薬を使わずに酸化エチレン、酸化プロピレンなどの燃料を一次爆薬で加圧沸騰させ、BLEVEという現象を起こして空中に秒速2,000mの速さで散布する空気爆弾だ。時限式ミクロ型は、それを時間を指定する形の超小規模にした代物になる。
今まで使っていたホテルの廊下は、大量の黒い煙をガラス窓を開け放って逃がしてやると、どうやら崩壊寸前へと変貌していた。
「用意周到な!! これは?! 大きな掃除が増えたな……」
俺たちが使っている部屋のドアが開いて、ジンがひょっこりと顔を出した。辺りの惨状を見ては、ジンが警戒するかのように狐耳をピンと立てた。
「けほっ、けほっ……どうしたの? ひどい爆発の音がしたけど?」
「あ、ただの掃除だ。何でもない。部屋へ戻って、明日のために荷造りをしていてくれ」
「え??」
「ジン。ここは危ないんだ。明日、出発するから、ホテルから持ち出したいものがあったとしても、ポケットに入るような小物だけにしておいてくれ。別のホテルへ行くんだ」
「??? え? え? ええー! どうしてなのイルス!?」
「ここに、俺たちがいることが大きな研究所か何かに筒抜けなんだよ。だから、危険なんだ。誰かが逐一連絡しているんだろう。ジンは前々から誰かにマークされているんだ。気がつかなかったのか?」
「え?! え? マーク??? 気がつかなかった……ぐすん。一体誰だろう?」
受付のスタッフは違う。ここから見ても、爆発に巻き込まれて机ごと吹っ飛んで床で気を失っているからだ。




