エピソード 11 シンフォニック・エラー研究所
「うーん……っと、いまいち話がよくわからないんだが……要するにジンちゃんは、どこかの組織に捕えられていた。ってことでいいんだな?」
「そうそう。それでいいよ」
「そうか。わかったよ」
「うん」
ジンが「ふうっ」っと息を吐いて、この部屋の中央にある。真っ白なふかふかベッドに腰を降ろした。今日は色々あって、疲れたのだろう。
俺の方は、まったく疲れていないので、身体を働かせることにした。いや、正確には……頭脳をだ。
「一体? あやかしを捕えることができる組織とは、どこなんだ? ……?」
「イルス。検索してみてくれ」
「あ、今やっていますよ。マスター」
人工的なシナプスが動き大量のドーパミンを吐き出し、超高速で思考回路が働きだす。俺はすぐにマスターと、突っ立ったままで顔を見合わせた。
「マスター。ジンを捕えていた組織。あやかしでも捕えることができる組織は、サイバージャンクシティには、俺のAI情報網からは聞きだせないんです。恐らくはアンダーワールドにしかないんです」
「……。イルスの頭脳でも検索できないのか?」
「はい」
ジンが、狐耳をひょっこりとだして、興味深げにこちらを見ていた。ふかふかベッドとジンのもふもふ尻尾は相性がいいようだ。こちらの緊張感と危機感が混ざったような。ヘドロのように淀んでいる焦燥感を和ませてくれる。
「あ、ジンちゃん。イルスはサイバージャンクシティの戦争中に、生まれた優秀な生体兵器なんだよ。メガジュール級の出力を持つ高エネルギーレーザーガンの威力は、高性能爆薬250gと同様のエネルギーと言われているけど、そのレーザー光線銃100丁分の戦闘能力があると言われているんだそうだ」
「ふむふむ。イルスが強い理由がわかったわ」
「眠そうなところ悪いが、ジンは今、かなりヤバい状況の中にいるんだ。俺のAI情報網の検索でも見つけられないだからな」
「え?」
「多分、相手は研究所とかの国の機関だよ」
俺の頭からは、自分だけに聞こえる機械探知システムの通知音も聞こえない。さっきから頭脳内の自立した高度なAI情報網検索システムを使っているが、うんともすんともしない。
その時、窓の外から生暖かい風と共に水滴が入り。ジンの顔に幾つか付着した。いつの間にか、外は大雨が降っていたようだ。




