エピソード 09
俺はホテルの窓から外を眺めてみた。
マスターも連られて外を見ているようだ。
雑居ビルの外は、今は水色の雨が降っていた。
通りを狐、たぬき、犬、猫などの種々雑多な動物の化身であるあやかしたちが、動物の色々な耳をそのまま露出しながら歩いている。中には、動物の姿のまま通りを二本足で歩くあやかしもちらほらと見える。どうやら、ここはヴァーチャルミレニアムの市場のところらしい。灰色の天幕が張った市場のそれぞれの店と道路を台で仕切っているだけの売り買い所には、多くのあやかしたちでごった返している。
あやかしたちは、日用品や惣菜、果物など生活に必要なものを買っていた。
市場から少し離れたところには、学校があった。あやかしたちが通っている。隣に図書館もあって、住み心地はよさそうだ。市場から離れたところには、白一色の豪奢な建造物群がある都市があった。
こんなにいるんだな、あやかしたちは……。そもそも一体どこに需要があるんだ?
「イルスとマスター。早くこっちへ着て! ここ。ここに住むの。このホテルに昔住んでいたから」
「うん? そっかー、わかったぞ。ここにジンちゃんの母がずっと住んでいたんだろ? ジンちゃんがいない間も?」
「マスターそうなんですか? ジン? そうなのか?」
「そうそう……でも、途中で連絡がなくなっちゃったの……ホテルの受付の人から、ここが昔のある組織の人たちに見つかったって聞いて……」
「それが、人身売買組織なのか? マスター。ここでは、なんですから、ジンの部屋へ行きましょう」
「ああ……」
ジンの部屋へ入ると、そこは大豪邸でも顔負けの豪奢な装飾で飾られた大部屋だった。調度品から、箪笥ですらとても高価なのだからジンが金持ちなのが頷ける。
この部屋に感じたものは、そのくらいだ。
あとは、使用人と蛻の殻くらいだな。
殺風景で違和感があるのは……。




