永久の問いかけ
「朝は四本、昼は二本、夜は三本。それは何卒や?」
守るべき門を通ろうとした者らに口をはさみ、やがて「それは人間」と応えられたスフィンクスは、「人間とは何卒ぞ?」と問い直し、得られぬ応えを得るために、一才になった子どもらの騒ぐその声を門に通らせて、守るべきその門を永遠の闇の中へと閉じた。
そうしてスフィンクスは、己の肉体をいくつもに分け、ライオンの姿で世界中へと散らばった。
誕生し、やがて滅んだ文明のあちらこちらで、姿を描かれながら彷徨う。
ライオンは耳をかたむける。親から子へと語り紡がれ、時代と共に変化していくその物語に。
ライオンは読む。嘆き哀しみ、それでも幸を願う人間の生き様をまとめし書を。
そうして再び問う。
「人間とは何卒ぞ?」
「人間よそなたは何を望む?」
「人間よ故きを温ねて新しきを知れ」
ライオンは、かつて永遠の闇に閉ざした門を書に改め、その書が集まる図書館の門番となり、書から人間達に問いを重ねる。