関森家 五.
警察官と救急隊員たちが地下室に降りていくと、そこには四人の男と二人の女が倒れていた。男たちのうち三人は上半身裸だ。そして、一人だけマスクをして酸素ボンベを背負った男が、静かに佇んでいた。
「僕が通報した者です」
「君が? なぜ上で待っていなかったのかね?」
刑事が不審そうに尋ねた。
「三人の男たちに止血をするために、地下室に戻りました。最初は僕の服を脱いで止血をしましたが、自分の服だけでは足りず、彼らが着ていた服を使いました。結局、自分が裸でいるのも嫌だったので、彼らの一人の服を借りました。こんなことなら、最初から自分の服を使わなければよかった。血まみれでもう着ることができませんからね」
青島孝は淡々と説明した。
「そうか、わかった。ここはもういいから、上で待っていてくれたまえ」
「わかりました」
そう言って青島孝は地下室を出ていった。
地下室では、倒れている六人の搬出作業が慌ただしく行われた。その間、後から到着した鑑識の担当者が、地下室の中を細かく調べていた。そのうちの一人が、先ほど青島孝と話していた私服警察官に話しかけた。
「西野さん、ここを調べるより、不審な三人の男たちの所持品を調べたほうが面白いですよ」
「何を持っていた?」
「いくつかありましたが、見たこともない、製造元が不明な22口径のオートマティック銃。精巧な携帯無線機。そしてファイティングナイフもありました」
「そうか、後で見に行く」
地下室から出てきた青島孝は、待っているように言われ、応接間でソファに腰掛けていた。することもなく、ただぼーっとしている。
程なくして、ドアをノックする音がした。
「どうぞ」
青島孝が返事をし、立ち上がろうとした時、ドアが開き、一人の女性が入ってきた。
「そのまま座っていて」
そう言いながら、女性は室内に入ってきた。彼女は目を見張るほどの美人で、まるでオーラを放っているかのようだった。
「貴女は?」
「私? 警察関係者よ」
女性はそう答えながら、大きな瞳で青島孝を射るように見回した。
「こんなラフな格好だから、警察官っぽく見えないよね。でも、私が警察関係者だと証明してくれる人がすぐにここに入ってくるわ」
そう言ったのと同時にドアが開き、先ほど地下室にいた西野刑事が険しい表情で入ってきた。
「君は誰だ?」
西野は女性に刺々しい口調で尋ねた。
「私はこういう者です」
女性はそう言って、バッグから身分証明書らしきものを取り出し、西野に見せた。
西野はそれをちらりと見ると、苦々しい口調で返した。
「わかった。いても構わんが、邪魔はしないでくれ」
そして、青島孝の方を向き直る。
「色々尋ねたいことがあるから、署まで来てもらいたいんだが」
「残念ながら無理です。この家は留守番が必要なので。鍵がどこにあるかわからないので、戸締まりができませんから」
青島孝は冷静に断った。
「仕方ないな。じゃあ、少し待っていてくれ」
西野はそう言って、部屋を出ていった。