関森家 四.
青島孝は、急いで地下室を出た。
地下室の扉を閉めると、すぐに携帯電話で110番通報をし、同時に救急車も呼んだ。
やがて、遠くに微かなサイレンの音が聞こえてきたかと思うと、近くで車のエンジンが始動する音がし、そのエンジン音は急速に遠ざかっていった。おそらく、地下室に侵入した三人の男たちの仲間だろうと、青島孝は直感した。
左肩を見ると、衣服に穴が空き、赤く血が滲み出ていたが、既に血は凝固していた。痛みはもうなく、肉体に食い込んでいるはずの弾丸は、少しずつ体外に出ていこうとしている。常人ではあり得ない、凄まじいスピードで、弾丸によって傷ついた細胞が修復しようとしていたのだ。
青島孝は内心「困ったな」と思った。このままでは、駆けつけてくる警察官や救急隊員に左肩を見られたら、尋常ではないことが露見してしまう。
次の瞬間、青島孝は手に持っていた**智石**に息を吹き込んだ。地下室で関森由紀が「誰か来た」と叫んだ時、彼は行動を開始し、**抗石**を手にした。そして停電になり、麻酔ガスが忍び寄ってきた時、抗石のパワーを得るために、智石と同じ方法で息を吹き込んだのだった。その時は一か八かの賭けだったが、見事に成功した。今回は、その方法をすでに知っていたため、安心して息を吹き込むことができた。すると、あっという間に智石のパワーを得ることができた。
「左肩を隠すことなど、簡単なことだ」
青島孝は小さく呟くと、急いで再び地下室に降りていった。
通報の際に、簡単な状況説明を受けていたため、駆けつけた警察官も救急隊員も、酸素ボンベを持参していた。家の中に入ったが、通報者である青島孝が見当たらない。とにかく地下室に行かなければならないため、手分けして地下室への入り口を探した。
程なくして地下室への入り口が見つかり、警察官も救急隊員も、酸素ボンベを背に階段を降りていった。