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集結 一.

 西崎にしざき本部長は、アーク壊滅作戦の総責任者に任命され、特別部隊の指揮を執ることになり、意気揚々としていた。


 今、全国各地から精鋭たちが続々と集結しているところだ。二十人を一単位とする精鋭部隊は、合計五単位、百名がすでに到着を完了していた。それに準じた二百名で構成される機動部隊も、間もなく全員が揃うこととなっていた。


 作戦本部の建物は、急遽用意されたプレハブで、外見は工事現場の事務所に見せかけるつもりだった。しかし、三百名もの人数を収容するため、かなりの規模になっていた。


 西崎は、到着した各部隊の隊長が集合する会議室用のプレハブで、待機していた。

(それにしても、狭いな)

そう考えていた時、副部長の**松本まつもと**が入ってきた。

「やはりこちらでしたか」


「狭いな」


「仕方ありません。なるべく目立たないようにしないといけませんから。とはいえ、三百名を収容するのですから、かなりの規模です。いつまでマスコミに隠し通せるか、疑問ですね」


「マスコミには絶対に知られてはならん。パニックが起きてしまう」


「はい、できる限りの策は尽くしております」


 その時、西崎本部長の携帯に着信が入った。

「もしもし、西崎です……はい……ええ……なぜですか? 今、既に最高のメンバーになっています……しかし、それでは足並みが乱れます……分かりました」

 電話を切った西崎は、明らかに不機嫌な表情をしていた。それに気づいた松本が、声を落として尋ねた。

「何かあったのですか?」


「新たに、参謀として、一人加わることになった、という連絡だ」


「参謀に?」


 外は晴天で、風はほとんどなく、のんびりとした時間が流れている。しかし、これから始まるのは、日本、いや世界にとって重大なことだ。もし失敗すれば、もうこの作戦は隠し通せない。自衛隊が出動し、マスコミが騒ぎ立て、警察の威信は失墜するだろう。


 窓の外を眺めていた西崎は、松本に振り返って問いに答えた。

「特殊捜査室の副室長が、参謀としてやって来る。その人物の意見を尊重し、行動するようにと指示があった」


「特殊捜査室の副室長ですか! 警察に入って二年ほどしか経っていない、素人みたいなものだと聞いたことがありますが……」


 その時、突然プレハブの引き戸が開き、一人の小柄な人物が入ってきた。

「誰が素人だって?」


 西崎も松本も、すぐには声が出なかった。プレハブの遮音性は低いとはいえ、先ほどの会話が外に漏れるはずはないからだ。


「いや、その……」

松本がようやく、口ごもった返事をした。


「既に連絡があったと思いますが、私の言った通りにしてください」

 **神山明衣こうやま めい**が、そう言い放つ。


「参謀として、意見を尊重するように、とは言われたが、意見通りにしろ、とは言われていない」

 西崎本部長は、断固とした口調で反論した。


「『尊重しろ』ということは、『意見通りにしなさい』ということです」


「……」

 西崎は返答に詰まった。その言葉に、彼はひどくショックを受けていた。「張り切っていたのは何だったんだ? まるで道化役ではないか」と心の中で憤る。


「そんなに気を落とさないで聞いてください。確かに、私は皆からは素人同然だと思われているようです。だから、あなたには、そのイメージを打ち消すように動いていただきたい」


「それは簡単にはいかない」


「そうです。イメージは簡単には打ち消せません」

今まで黙っていた松本が、口を挟んだ。


「精鋭部隊の一部隊を私に貸してください。私が先陣を切って、見事任務を成し遂げ、そのイメージを覆してみせます」


「足手まといになると言って、精鋭部隊の者たちが嫌がるだろう」

 西崎は渋い表情で答えた。


「どの部隊にするかは、後の会議で私が選びます。それまで、一回りして目星をつけてきます。大丈夫です。納得してついてくる部隊を選びますから」


「そこまで言うのなら、後の会議が楽しみだ。目星でもつけてきたまえ」


 明衣はそう言われると、くるりと回れ右をして出ていった。


 後に残った西崎と松本は、何か話そうとして声を出しそうになったが、すぐにやめた。引き戸がガラガラと開いて、明衣が再び顔を出しそうだったからだ。



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