探り合い 一.
玄関で神山明衣たちを見送った後、**関森由紀は青島孝**を応接室に誘った。
応接室で向かい合わせに腰掛けた由紀は、深刻な表情で話し始めた。
「さっき帰ったあの二人、要注意よ」
「要注意?どういうことだ」
孝は由紀の言葉に、身構えるように尋ねた。
「普通じゃないわ。まず、神山さん。彼女の心には『助けてやった』という思いが強くあった。私が生死の境をさまよっていた時、彼女は私にエネルギーを与え、死の淵からよみがえらせた。私とは少し違うけど、彼女は癒しの力を持っているわ。それから、透視能力も。あなたの左肩にあった銃弾がどうなったのか、透視して探っていたのよ」
由紀の言葉に、孝は小さく息を飲んだ。自分の超常的な回復能力が、すでに彼女に知られていることに驚きを隠せない。
「男の方はどうだった?」
「中原さんは、すごいテレパシストよ。私たちの心を探ろうとしていたわ。だから、私も必死で彼の心を探ろうとしたけど……」
「それで、どうだった?」
「探り始めた途端に気づかれて、防御されたわ。まるで突然、目の前に厚い壁が立ちはだかったみたいに、何も分からなくなった」
「その間、相手に心を探られていたのか?」
「それをさせないように、私は必死で壁の隙間を探した。でも、見つけられなかった。その代わり、相手も防御に全力を尽くしていたみたいで、私の心を探ることはできなかったようよ」
「相手から何か探り出せたことはあるのか」
「『四石』のことは、もう知っているみたい」
「どうやって知ったんだ?」
「残念ながら、それは分からなかったわ。読み取ろうとしたら、また防御されてしまったから」
「そうか……。ところで、お父さんとお母さんはいつ退院されるんだ?」
「さあ、もうすぐだと思うけど」
「次の石を早く手に入れないといけない。お父さんが帰ってこないと、いろいろ尋ねることができないな」
孝は、新たな使命に向けて、気を引き締めた。