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死淵の箱庭  作者: 楓 海
7/11

好きにすればいい 

 読んで戴いたら倖せです。

 生前の、カーテンを締め切った薄暗いオレの部屋で、聞こえるのはオレが存在しない食卓を囲む笑い声だった。


 無意味と言えばあの時のオレの存在ほど無意味なものは無かっただろう.....。




 絶望していた訳でも、大きな苦しみを抱えていた訳でも無い。


 だけどオレの内側でジリジリと腐敗して行くように重い感覚が侵食していった。


 一言で言えば老人になったような気分だった。


 訳も無くただ辛い。


 いつも身体が怠くて、胸が重苦しい。


 食べるのでさえ億劫だった。


 ぼんやりとした思考が死んでしまえと命令する。


 何が悪いのか解らない。


 どうすれば抜け出せるのかも..........。


 逃げ場はもう、死ぬ意外に何処にも無いのだと、悟るしか無かった。








 不思議だ...........。


 人に逢うのがとても苦痛だったのに彼女には、それを感じない事に気付いた。


 相変わらず内側は腐敗を広げるように重い。


 けれど彼女を見ていると和らぐ。


 彼女を近くに感じるだけで今まで感じた事の無い倖福感が染めて行く。


 染めると言う表現は内側の変化を含んでいない。


 つまり、本質を変えないまま変化しているんだ。


 彼女はオレを救えるかもしれないと思った。


 何故かは解らないけれど.........。


 気付けば彼女が、硝子に張り付くように手をついて身体を寄せオレの顔を覗き込んでいた。


 呼吸の音が聞こえそうなほど近くに居るのに触れる事ができないのは、なにかもどかしい。


 オレは彼女に触れたいと思った。


 彼女に体温があるのだと確認したかった。


 もしもこの後、彼女を創造した芸術家の生命エネルギーが尽きて彼女が消滅したら..........。


 オレは硝子越しに彼女の手に触れた。


 彼女はオレを見詰めた。


 こんなにも近い距離なのに限り無く遠い。


「この硝子壊せないのかな」


「何故? 」


 オレは俯いて黙った。


 此処で彼女に触れたいと思うのは、何か罪悪感のような物が伴った。


 オレは硝子から離れ、水面に足を投げ出して座った。


「キミに現世を見せてやりたいな

 こんな処に閉じ込められて、ただ観賞されているよりずっと楽しいよ」


「また、君は.........」


 彼女は眉をしかめた。


「どうせ、いつかは消えるんだろ?

 それが遅いか早いかが違うだけなんだろ?


 オレの考え方はこうだ

 つまらなく長く存在して行くなら、短く太く楽しみたい

 折角こんな楽しいことができるんだしさあ」


 彼女は深いため息をつくと後ろを向いた。


 そして、またテーブルに手を置いて椅子に座った。


「好きにすればいい

 君の生命エネルギーだ」






 読んで戴き、有り難うございます。

 

 投稿時、ジャンルを選ぶ項目の純文学の説明に芸術性を重視したとかなんとか書いてあったので、過去の作品でいくつか、芸術性に重点を置いて書いた作品のジャンルを純文学に変えました。

「エコラリア」と「デッサンの狂ったボクは」変えました。

 あの暗ーーーい作品です。笑

 書いた本人は凄くお気に入りなのですが、暗過ぎてまるで人気ないです。笑

 

 芸術的な物は大好きです。

 絵画も映画や演劇とかも大好きです。

 勿論、音楽も。

 クラシックは全然ダメですけど。笑

 オーケストラが苦手なんですよね。

 急にジャジャンとか音がおっきくなるとびっくりして背中が寒くなります。

 下手なホラーよかびびります。笑


 もっと芸術的な作品書けたらいいなあ。



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