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死淵の箱庭  作者: 楓 海
2/11

自殺者が来る場所

 読んで戴きましたら、嬉しいです。

 彼女は椅子に座ると指を組んで言った。


此処(ここ)は自殺した者だけがやって来る死後の世界なんだ

 此処には三大欲求の内の性欲が存在しない

 何も生まれないのだから当たり前だね


 思考する事は肉体を失っても止める事ができないから、眠りたいと云う欲求は必要みたいだ

 ただし眠っても夢は見ないよ

 思考が無の中に漂うだけだから」


「..........詳しいんだな」


 彼女は答える代わりに肩を竦めて笑った。


 オレは取り敢えずその場に胡座(あぐら)をかいた。


 彼女が此処に詳しいのなら、必要な情報を訊こうと思った。


「此処はどう云う場所なの? 」


 彼女は言った。


「自殺は、どの宗教でも良しとはしていない

 だから、自殺した者は二通りに分けられる


 恨みなどで現世に執着の強い者は、苦しみや恨みと言ったマイナスの念に縛り付けられ、肉体を失っても尚、苦しみを抱え現世に留まる


 比較的マイナスの念の少ない者が此処に訪れる


 本来、死んだ者は生命エネルギーの続く限り輪廻転生を繰り返す

 けれど自殺と云う罪を犯した者は此処で何も知らされず思念を具現化する

 具現化するには生命エネルギーを消耗する

 生命エネルギーを消費し尽くした時、その存在は消滅する」


 オレは言った。


「じゃあ、思念を具現化しなければ、存在し続けられるんだ? 」


 彼女はうっすらと笑い言った。


「そんなに生存本能剥き出しなのに、君はどうして自殺なんてしたの? 」


「憶えてない、さっきから頭がぼんやりしていて何も思い出せないんだ」


「ああ、生命(いのち)が肉体から離れる時の強い衝撃を受けたせいだね

 大丈夫、直ぐ思い出すよ」


「それはどうも

 消滅するなら、そんなもの思い出しても意味ないと思うけどね」


「前向きな意見だね」


 彼女はいたすらっぽい笑みをオレに向けた。


「何処が前向きだよ」


 オレは笑った。


「確かに」


 彼女も笑った。


 彼女は十代の少女らしく屈託なく清潔感に溢れ、ピンク色の口唇が熟する前の果実のように輝いている。


「キミは綺麗だな」


 彼女は一瞬表情が曇ったが直ぐ笑顔になって答えた。


「それは有り難う

 彼が聞いたら喜ぶよ

 彼にとってボクは美の象徴だから」


「そうだろうな.........

 その羽根は飛べるの? 」


「さあ、試したこと無いから解らないな」


 彼女は腕を交差させて指先で羽根の端を撫でた。


 そうするだけで彼女は一枚の絵のようにサマになった。


「飛びたいとは思わなかったの? 」


 彼女は硝子の室内を見回しながら言った。


「この羽根を広げるには此処はスペースが狭過ぎるよ」


「キミの創造主の彼は、キミの意思までは考慮してはくれなかったんだな」


「ボクはただの動く絵画だよ、意思なんて意味が無い」


 そう言った彼女の顔は、少し哀し気だった。


 オレは言った。


「意味があるのか無いのか解らない世界だな」


 そう言って笑おうとしたが、突然、全身が重たくなって何かの威圧に(さいな)まれ、オレは地面に両手をついた。





 読んで戴き有り難うございます。


 今日、初雪が降りました。

 一面が白くまだらになって覆ってました。

 冬になると樹氷やダイヤモンドダストと言った美しい現象が起きて、ニュースになったりしますが、住んでると寒いの一言に尽きます。笑

 

 いくら綺麗でも、綺麗に感動する前に足の先が冷たかったり耳が千切れそうな感覚に苛まれ、美しさに感動する余裕は無いです。

 ひたすら寒いの一言に尽きます。笑


 テレビで流れて初めて「へーぇ、そうなんだ」と感心します。笑

 現実なんてそんなものですよね。笑



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