バーチャルダイバー(プロローグ)
バーチャルダイバー(プロローグ)
ある喫茶店。コーヒーを飲んでいる彼の名前はジン。ハッカーだ。だが彼の目的は企業機密や敵国の情報では無くセキュリティーの甘さを指摘すると言う事だった。通常そう言うハッカーをホワイトハッカーと言う。
ジンはいつものようにある企業のホストコンピューターに侵入しセキュリティーを調べていた。
「このファイルはセキュリティーが甘いな」ジンは時間を忘れてセキュリティーレベルを調べている。
「このファイルは覗けないな」ロックが掛かっているようだ。
そこにどこかから他の人間がアクセスして来た。誰?IPアドレスを調べる。他のサーバーを経由してまた他のサーバーを経由してとイタチごっこのようだ。追い詰めて行くと自分のIPアドレスまで知られてしまう事になる。だがジンはではこの方法ではどうだ?とキーボードを叩く手を止めて思念をパソコンに込めた。
他の者には休んでいるようにしか見えないジン。だが彼の思念はパソコンの内部に入って行った。パソコンのVR(仮想空間)に彼はいた。CPUやRAMそしてHDD、ドライブの回路の中だ。CPUからのバス回路を通って行く彼はバイクのような物に乗っている。そして入って来た他のハッカーを調べようとしている。
パソコンの回路の中に通っている回路の中は機械的な壁があって通路は何本もの配線が並ぶ。それがCPUからのバスだ。電気的な動きが全部1と0で表される。他のハッカーを言い易くする為にBとしよう。
Bを追跡してジンはHDDの中を探索する。様々なファイルがある。画像ファイルや文書ファイル。それらは空間に浮かんだ仮想現実のようにいくつものパネルに映し出される。アダルトなファイルも隠されている。そんな物に心を奪われている場合では無いので視点をBに移す。
Bは自分のキャラクターを作っていた。それはヘリコプターだ。詳しくないのでヘリの型は書かないが攻撃型のヘリだ。時々ヘリからファイルを攻撃していた。マシンガンが付いているタイプの攻撃ヘリだ。まず攻撃する前にファイルをコピーしてから攻撃しているようだ。
ジンも自分のバイクを攻撃型に変形させた。マシンガンを付けて攻撃ヘリを逆に攻撃する。文書ファイルや画像ファイルのうち幾つかが壊されてしまった。そのままだともっと被害が出る。ジンとBとのマシンガンの打ち合いが始まった。
ヘリの攻撃。ジンはバイクでは有り得ない方向に、壁をバイクで登って行きヘリの上を取ろうとする。Bもヘリを上昇させて行くとVR(仮想現実)が変わりそこにあるはずだった壁が無くなって行く。ジンはここまで来ては追いつけないと悟ってそのまま重力に逆らっては行けず落ちて行く。だが防御は忘れない。
そのまま落ちて行ってしまうのか?と思われた時、バイクにあった羽根を広げてジェットエンジンを噴射し再度高みを目指すジン。Bもこうなれば必死だ。今度はBが逃げ腰になって来た。今度はジンが後ろを取った。攻撃。ヘリはロールして逃げてしまった。
ヘリは左右上下に動いてジンの攻撃をかわす。攻撃を続けていればヘリを動かしているBもいつかは疲れると読んでジンは粘った。執拗に後ろを取る。
ジンは疲れて来た。相手も疲れて来ているとは思ったがそれでも容赦しないで攻撃を続ける。相手を攻撃すると言う事は相手のパソコンにダメージがあると言う事だ。だがジンには今の所ダメージは無い。ジンのダメージは自分自身のダメージなのだ。
Bはこれは勘弁とばかりにネットの接続をカットしてしまった。その間にヘリのキャラクターは大分壊されている。
「また会おうぜ!」ジンはそう言うとVR(仮想現実)から現実の世界へ戻って来る。今日の収穫をパソコンで調べていた会社に送りセキュリティの穴(脆弱性)の報告をメールでする。
そしてその会社からの報酬を貰うそれがジンの生活の糧だった。ただ普通のホワイトハッカーと違うのはジン自身をVR(仮想空間)で実体化させる能力がある事だった。




